老後は持ち家と賃貸のどちらがいい?選び方のポイントと注意点を解説

  • 2019/7/22
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30~35歳で住宅を購入し、60~65歳でローンを完済して、住居費を抑えて老後を過ごすことが一般的です。しかし、必ずしも老後は持ち家がいいとは限りません。持ち家と賃貸には、それぞれメリットとデメリットがあるため、慎重に考えた方がいいでしょう。

今回は、老後に住むのであれば、持ち家と賃貸のどちらがいいのか、持ち家と賃貸を選ぶときのポイントや注意点を含めて、わかりやすく解説していきます。

 

必ずしも持ち家がいいとは限らない

まず、覚えておきたいのが、老後はマイホームで住居費を抑えて暮らすことが最良とは限らないことです。老後までにローンを払い続けられるとも限らず、途中で売却せざるを得なくなる可能性もあります

賃貸で家賃を払い続けるより、持ち家の方がいいと考えるのは自然なことですが、住宅ローンは大きな借金であることを忘れてはいけません。

持ち家がいいという固定観念を捨てたうえで、持ち家と賃貸のメリットとデメリットを確認していきましょう。

 

持ち家のメリット

老後に持ち家に住むことのメリットは、次のとおりです。

ローンを完済すれば住居費負担が減る

住宅ローンを完済すれば、家賃を支払う必要がなくなります。老後は、年金と貯蓄で生活していくことになるため、支出は極力抑えたいところでしょう。家賃6万円の賃貸物件に20年住む場合、家賃だけで1,440万円もかかります

また、老後は健康上の問題から医療機関にかかることが増える可能性もあります。いざというときに、家賃のせいで医療費の支払いに困ることは避けたいところでしょう。

住宅の価値は下がっても土地の価値は下がりにくい

築年数が経過すれば住宅の価値は下がります。しかし、土地の価値は下がりにくいため、資産価値が残るのです。また、周辺環境が充実していないときに安く購入した場合、開発が進むことで土地の価値が高まり、資産価値も高くなる可能性があります

土地は、資産として次の世代へ相続できるうえに、生活費が足りなくなった際に土地を売却して賃貸物件に移り住むことも可能です。

リフォームして住みやすくできる

持ち家は、自由にリフォームできます。老後は、足腰が悪くなり、バリアフリー化が必要になる可能性があります。賃貸物件は、家や部屋を借りているだけのため、無断でバリアフリー化はできません。

持ち家であれば、どのようなリフォームでも検討できるため、理想的な住まいづくりが可能です。また、賃貸用にリフォームして貸し出し、自分は手ごろな中古マンションに住み替えることもできます。

持ち家のデメリット

持ち家には、次のようなデメリットがあります。

多額の修繕費がかかる場合がある

賃貸物件の場合、経年劣化や災害による破損は、大家負担で修繕してもらえます。しかし、持ち家の場合、どのような破損でも自分で修繕しなければなりません。そのため、多額の修繕費がかかる可能性があるのです。

30歳で住宅を購入した場合、65歳の時点で築年数35年です。75歳の時点で築年数45年となります。ここまで築年数が経過すると、いつ大規模な修繕が必要になるかわかりません。

その度に20万~100万円程度の費用がかかれば、家計にかなりの負担がかかるでしょう

いざというときに住み替えにくい

持ち家の場合、簡単に住み替えることができません。新しい家を探して賃貸契約を結ぶにしても、年金収入のみだと入居審査に通らない場合もあります。また、持ち家の売り手がなかなか見つからなかったり、解体しなければ売り手がつかないような状態であったりすると、さらに住み替えに時間がかかるでしょう。

固定資産税がかかる

持ち家がある限り、毎年固定資産税がかかります。不動産の価値に応じて固定資産税が異なりますが、毎年の税金が増えることは家計への大きな負担に繋がります。10年や20年単位で見ていくと、非常に大きな負担になるでしょう。

賃貸のメリット

続いて、賃貸物件に住むメリットについてみていきましょう。賃貸物件は、家賃をどれだけ支払っても自分のものにならないため、コスト面に大きなデメリットがあります。ただ、メリットもあるため、確認しておくことが大切です。

老後に賃貸物件に住むメリットは次のとおりです。

住み替えやすい

賃貸物件は、物件ごとに定められている期間中に申し出ることで、いつでも住み替えられます。一般的に、退去の1~2ヶ月前までに伝えればいいため、住み替えやすくなっています。医療費負担が増えたため、家賃が安いところに引っ越したい、階段の上り下りが難しいため1階に引っ越したいなど、そのときのニーズに合わせた住み替えが可能です

修繕費の負担が少ない

賃貸物件は、修繕費の負担が少ないことがメリットです。経年劣化による破損や汚染は、大家負担で修繕できます。例えば、エアコンが元からついている場合は、壊れても無償で取り換えてもらえます。

また、水道やガス、電気などのライフラインでトラブルが起きた際にも、機器交換などを対応してくれるのです。このように、費用負担と業者に依頼する手間を減らせます

不動産価値の下落の心配がない

賃貸物件の場合、不動産価値が下落する心配の必要がありません。それどころか、築年数が経過することで価値が下がり、家賃交渉ができるようになります。不動産価値は、周辺環境の変化の影響を受けるため、持ち家の場合は資産価値が大きく下がるケースもあります。

 

持ち家か賃貸か決める際のポイント

老後のことを考える場合、持ち家と賃貸のどちらに住むか早い段階で決めなければなりません。次のようなポイントを押さえて、正しく選択しましょう。

収入と貯蓄を踏まえる

現在の収入と将来的に得られる収入、60~65歳までの貯蓄の予想を踏まえ、持ち家か賃貸かを決めましょう。

賃貸物件の場合、家賃6万円の物件に30年住むと、2,160万円かかります。何度か引っ越す場合、引っ越し費用や仲介手数料、更新料などもかかるでしょう。持ち家の場合でも、仲介手数料や頭金、修繕費などがかかります。

そのため、60~65歳までにかかる費用で選ぶことは避けた方がいいでしょう。重要なのは、老後に家賃を支払い続けられるだけの経済力があるかどうかです。不動産収入のように、大きな労働なく収入を得られたり、多額の貯蓄ができたりする場合は、賃貸物件でも問題ありません。

しかし、貯蓄が難しい場合は持ち家を検討した方がいいでしょう。ただし、現在の収入が定年まで続くことが必須条件です。住宅ローンの利用により、借金を背負うことになるため、毎月安定してローンを返済できなければなりません。

老後の介護を考える

老後、老人ホームに入るのか、自宅で介護してもらうのかを考えましょう。老人ホームに入る場合、持ち家を選ぶメリットが小さくなります。資産を残したいのであれば持ち家の方がいいですが、身内に介護で苦労させたくない気持ちがある場合は、賃貸物件を選び、老後は老人ホームに入るのもひとつの方法です。

 

老後のことを踏まえた住まい選びのポイント

持ち家と賃貸のどちらを選ぶ場合でも、次のようなポイントを押さえて選ぶことが大切です。

周辺施設の充実度

老後は、足腰や体力の問題で、徒歩での移動が難しくなる場合があります。そのため、周辺にスーパーや薬局などがある地域に住むことをおすすめします。ただし、通販を利用すれば周辺施設の充実度の問題は解消できるでしょう。

駅やバス停からの距離

駅やバス停が近くにない場合、土地の価値が低くなりやすいため、住居費を抑えられます。しかし、老後は駅やバス停が近くにある方が暮らしやすいでしょう。医療機関にかかる頻度が増えることを考えると、公共交通機関はできるだけ充実していた方がいいと考えられます

バリアフリー化ができるかどうか

持ち家の場合、バリアフリー化できるかどうか考えましょう。階段は広いか、手すりをつけられるスペースはあるかなど、老後にバリアフリー化が必要になることを想定してください。

また、すぐにバリアフリー化しなくても、バリアフリー化できるようにリフォームするなど、将来のことを考えて計画を立てることが大切です。リフォームにも費用がかかるため、資金計画も忘れずに立てましょう。

 

まとめ

老後に持ち家と賃貸のどちらに住めばいいかについては、正解がありません。どちらにもメリットとデメリットがあるため、収入や貯蓄、老後の介護、資産を残したいかどうかなどを踏まえて選びましょう。また、持ち家と賃貸のどちらを選ぶ場合でも、周辺環境や交通アクセスが良好な住まいを選ぶことが大切です。

加藤 良大

加藤 良大

投稿者プロフィール

歴8年の専門記事ライター。不動産記事の執筆本数は500本を超える。不動産売却や税金の話、相続やM&Aによる不動産売買に関する記事を執筆。誰が読んでもわかりやすく、すべての疑問を解決できる記事の執筆を心がけています。

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