自動販売機を設置するメリット・デメリット&押さえたい6つのポイント
マンションやアパートを経営していて、自動販売機を設置しないかと勧誘されたことがある人もいるのではないでしょうか。自動販売機の設置に興味はあるものの、実際のところが気になるオーナーも多いことでしょう。
そこで今回は、マンションやアパートに自動販売機を設置するメリットとデメリット、設置するときに押さえたいポイントなどについて詳しく紹介します。自動販売機の設置を検討しているオーナーさんは、ぜひ参考にしてみてください。
自動販売機を設置するメリット
自動販売機の設置には、オーナーにとって次のメリットがあります。
メリット1.利便性をアピールできる
マンションやアパートの前に自動販売機があれば、飲み物を買うためにコンビニやスーパーに行く必要がありません。エントランス内に設置してあれば近所の人に会う確率も低くなるため、部屋着のままで飲み物を買いに行けるのもうれしいポイントです。
また、近くにコンビニやスーパーがない物件であれば、そのデメリットもカバーできます。高い利便性をアピールできれば、入居率が上がる可能性もあるでしょう。
メリット2.販売手数料を得られる
マンションやアパートに自動販売機を設置すると、マージンとして販売手数料を得られます。得た利益は、マンションの維持費や管理費、大規模修繕工事費用の積み立てなどに充てるのもよいでしょう。
ただ、売り上げが少なすぎると、金銭的なメリットをほとんど感じられないかもしれません。たとえば、マージンが売り上げの20%だったとすると、100円の飲料を月に150本ほど販売できたとしても、利益は月に3,000円ほどです。収支バランスには十分に注意しましょう。
メリット3.自動販売機の周辺が明るくなる
自動販売機は常にライトが点灯しているため、設置場所の周辺が明るくなります。マンションやアパートの入り口付近に街灯が少ない物件であれば、これは意外と大きなメリットです。
マンションやアパートの周りが暗いと、夜間の治安に不安を感じて入居をためらう人もいます。実際に、物件の入り口が暗すぎると不審者に気付きにくいため、ライトの設置は必須でしょう。
自動販売機を設置すればライトの代わりにもなるため、マンションやアパートの周りを明るくできて一石二鳥です。
自動販売機を設置するデメリット
自動販売機の設置には、デメリットもあります。次のデメリットを踏まえて、十分に検討しましょう。
デメリット1.美観を損ねる可能性がある
自動販売機を設置すると便利になる反面、美観を損ねる可能性があることはデメリットといえるでしょう。
中でも、
- 高級マンション
- デザイナーズマンション
- 新築マンション、新築アパート
といった美観性をアピールしたい物件の場合、自動販売機を設置するデメリットは大きいと考えられます。自動販売機がどんなに便利でも、入居率が下がってしまえば元も子もありません。
景観を損ねたくなければ、裏口付近に設置することで回避できるのではないでしょうか。美観性を意識して設置場所を選べば、自動販売機が入居率に大きく影響する可能性は低いでしょう。
デメリット2.掃除の手間が増える
自動販売機を設置するのであれば、こまめな掃除が必要です。
物件の外に設置してある自動販売機の場合、利用するのはマンションやアパートの住人だけではありません。すると、マナーを守れない人が空き缶やペットボトルを自動販売機の周りに捨てたり、飲みこぼしたりする可能性があります。
エントランス付近に設置した自動販売機の周りでこのようなことが起こると、住民からクレームが入る可能性もあるでしょう。あまりにもひどいと、退去される恐れもあります。内見時の印象も悪くなるため、常にゴミが散らかっている状況は防ぎたいところですね。
しかし、掃除の手間が増えることはオーナーにとって大きな負担となる可能性があります。また、管理会社と契約している場合、清掃を依頼することで追加料金が発生する恐れもありますので注意しましょう。
デメリット3.電気代がかかる
基本的に、自動販売機の電気代はオーナーが負担しなければなりません。
電気代の目安は、月に2,500円~3,000円ほど。電気代にこれだけかかれば、マージンで月に5,000円の売り上げがあっても、実質の利益は2,000円~2,500円ほどにしかならないということです。
自動販売機を設置する2つの方法
続いて、自動販売機を設置する方法を紹介します。
オーナーがマンションやアパートに自動販売機を設置する方法は、次の2つです。
方法1.業者に設置から仕入れまで任せる
商品の仕入れや管理を自動販売機の設置業者に任せる場合、初期費用や手間がかかりません。
ただし、得られるマージンが少ない点には要注意です。目安としては、売り上げの20%程度のマージンを得られます。
方法2.自動販売機をリースして自分で管理する
自動販売機をリースして自分で設置する場合、自動販売機の購入費用や設置の手間がかかります。管理や商品の仕入れなども全て自分で行うため、忙しい人には向きません。
その代わり、設置業者にすべて任せる方法と比べて、より多くのマージンを得られます。さらに、仕入れる飲料を自分で決められるため、実用性も高まるでしょう。
自動販売機を設置するなら押さえたい6つのポイント
自動販売機を設置する際には、次のポイントを押さえることをおすすめします。
ポイント1.住民の意見を取り入れる
オーナーの自己判断で自動販売機を設置することは避け、住民の意見を取り入れて設置するかどうかを決めましょう。特に管理組合のあるマンションでは、オーナーの独断での自動販売機の設置は大きな反感を買うことにつながります。
また、住民にとっては自動販売機を設置するメリットがあまり多くありませんので、住民の意見を尊重するのが得策です。多数決で決めるのではなく、住民の3分の1が反対した時点で取りやめるなど、基準を厳しく設定しましょう。
ポイント2.エントランス付近には設置しない
先ほどもお伝えしたように、物件のエントランス付近に自動販売機を設置することは美観性を大きく損ねることにつながります。
また、エントランス内に自動販売機を設置すると、自動販売機を利用するためにと不法侵入される恐れもあります。セキュリティによっては不審者かどうか自体を判断しづらくなるため、エントランス付近には自動販売機を置かない方がいいでしょう。
自動販売機を設置するのであれば、
- 裏口
- エントランスを出てしばらく歩いた辺り
- 共有廊下の角
などに置くことをおすすめします。
ただし、自動販売機の取り出し口に落ちる飲料の音で住民からクレームが入る可能性もあるため、設置場所は十分に検討しましょう。
ポイント3.自動販売機周りの掃除を徹底する
住民の意見を踏まえて自動販売機を設置する場合でも、周辺の掃除は徹底することが大切です。可能であれば、ゴミが散らかっていないかを毎日しっかりと確認しましょう。
掃除を外注している場合、自動販売機の周りだけは掃除の頻度を増やしてもらうようお願いすることをおすすめします。できるだけゴミが散らからないように、ゴミ箱は必ず設置しましょう。
ポイント4.売り上げ予測を立てた上で検討する
自動販売機のマージンを管理費や修繕積立金に充てたいと考えている場合は、売り上げ予測を立てた上で検討しましょう。
たとえば、1本100円で販売する飲料が月に300本(1日に10本)売れた場合、20%のマージンを受け取れるなら月に6,000円の売り上げを得られます。そこから電気代を差し引くと、手元に残るのは約3,000円~3,500円です。1年で約3万6,000円~4万2,000円、10年で36万円~42万円となります。
自動販売機を設置したことによって発生する費用は電気代だけではありませんので、しっかりと事前に調査をしてから検討することが大切です。
ポイント5.一般的な自動販売機よりも低料金に設定する
自動販売機といえば、1本当たりの価格は120円~150円に設定してある飲料が多いですよね。そのため、他の自動販売機よりも少し安めの価格に設定することで売り上げは上がると考えられます。
具体的には、1本当たりの価格を100円ほどに設定すれば、近くにコンビニやスーパーがあっても自動販売機を利用してもらえるでしょう。また、飲み物を安く購入できる自動販売機があることは、内見をした人にも好印象です。
ただし、飲料の値段交渉をできるかどうかは設置業者によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ポイント6.サポート力が高い企業を選ぶ
自動販売機の設置や管理を業者に任せる場合は、サポート力が高い企業を選びましょう。
もし自動販売機が故障したときの対応が遅かったり、賞味期限切れの飲料を回収しなかったりすれば、オーナーが損失を受けてしまいます。最悪の場合は、住民からクレームが入る可能性もあるでしょう。
また、自動販売機の管理を任せる場合は、夏はスポーツ飲料や炭酸水、冬はホットコーヒーやホットココアなど、季節に合わせて最適なラインナップに飲み物を入れ替えてくれるかどうかも確認が必要です。
反対に自分で自動販売機の設置や管理をする場合は、少しでも売り上げが上がるように戦略を考えましょう。
まとめ
自動販売機は利便性が高い反面、ゴミや汚れの問題が起きたり、美観性を損ねたりする恐れもあるため、よく考えて設置を決めることが大切です。管理費や大規模修繕工事費に充てるつもりで設置したのに、思ったより収益につながらなかったというケースは少なくありません。自動販売機の設置は、住民の意見も取り入れて十分に検討しましょう。