【対談】編集長が収益不動産会社代表に聞く!今後の展望と業者のホンネ(前編)

不動産投資家なら誰もが気になる「物件の見極め方」から、「不動産業者との付き合い方」をプロの視点から解説します。どんな市況であっても、もっとも大切なのは何なのか……そして、これから不動産投資をはじめる方へのアドバイスもじっくりお聞きしました。大切なのは人とのつながり、そして、不動産業者さんと信頼関係を築けること。そのための秘訣もお伝えします!

 

ブームが落ち着いて「正常化」した!?

編集長:
昨年から激動している不動産投資業界ですが、この変化の波をどう捉えていらっしゃいますか?

柳田:
無理に買おうとしていた人は参入しにくくなったと思いますが、買うべくして買う人にとってはあまり関係ないのではないでしょうか。
それこそ私は、編集長のブログのファンで10年以上前から注目しています。そのころからやっている方で物件の入れ替えを上手くやっている人は、何もしてこなかった人より銀行との取引もあります。入れ替えを上手くできていれば、キャッシュポジションが増えているので銀行も貸したがります。

編集長:
「特殊な環境下で出ていた融資が出なくなっただけ」とは言い切れませんが、それが一番大きい要因かも知れませんね。新川さんはいかがですか?

新川:
自分はもともと頭金を3割出していたのが当たり前のころからずっとやってきています。これまで買えていた人が買えなくなっただけのこと。お金をある程度は持っていなければ不動産は買えない・・・いわゆる健全化されただけのことですよ。

編集長:
佐久間さんはどうですか?

佐久間:
私は不動産業界歴は10年くらいですが、ここ数年が異常と感じています。新川さんもお話されたように、それまでフルローンが出なかったものに出て、買えない人まで買えていただけ。ようやく今は正常化されたのでしょう。

編集長:
皆さん、ここ数年に不動産の世界へ入られたわけではなく、その前の状況もご存じですよね。僕もそうですが、元の状況にもどった感覚が強いです。
しかし満室経営新聞の読者さんは、その異常な頃から入ってきている人が過半数です。飲み会や懇親会、交流イベントでも、「10年やっています」という人は極少数。そういう方たちからすると、「もう不動産投資は終わった!」「これじゃ旨みがない!」と嘆かれるご意見もいただくんですね。それで別の投資に目移りしてしまうこともあるかと思います。皆さんの立場からすると、投資家人口は多いほうが会社が潤うでしょうから、その辺り残念な感じはされますか?

柳田:
もちろん投資ですから、パイは多いに越したことはありませんが、必ず思ったように利益が出ない方はいます。そこを飾って「絶対に儲かります!」と煽るものではありません。一頃の融資がすごく出ていて、物件も買い放題という状況に対しては、いい冷や水だったのかも知れませんね。
本来、投資というものは気を付けないといけないものです。ただし不動産が好きな人はいて、どの時代にも割安な不動産は出てくるので、そこを狙っていく。例えば編集長の神奈川県秦野(はだの)市にある2棟の物件も、「おお、行くなあ!」と感心しながら注目していましたよ。

編集長:
ええ、田舎ですが満室になりました。

柳田:
お客が入っている物件より、入っていない物件をいかに立て直すのか。利益を生む源泉で、いつの時代も変わらないと思うので、そういうニッチなところにもチャレンジしていけば、それほど市況にも左右されないはず。もちろん、それができる人は限られますけれど。

編集長:
去年まで安い物件が本当になかったですし、それでも不動産の流通に携わっておられますよね。

新川:
あるものしか紹介できないので、ないものねだりされても無理です。今あるその人に合う物件を提案することしかできなかったですね。

編集長:
あまり時代がよくないのか。それとも?

新川:
私はいつの時代でもやったほうがいいと考えます。かつては利回り15%の物件なんて珍しくない時代もありましたが、今や10%を下回るのが普通になりました。今後、15%が出るかは分からないのですが、やはり「買えない人」は定期的にいるものです。
10年間ずっと1軒も買えておらず、それでもまだ「一生懸命に探しています!」という人は、不動産ごっこをしているだけのようにしか見えず、もうやめたほうがいい。
過去にも「すごくいいからやったほうがいいですよ!」と勧めても、なかなかできない人がいました。皆さん最初の1戸が怖くて買えないものです。でも、そこで買えれば、そこからは買い続けることができます。

編集長:
価格はいくらでしたか?

新川:
2000万円ほどです。でも、振り返ってみれば、10年前に利回り15%あったものを、当時10%で買ったとしても、結果として儲かっています

 

不動産投資に向いていない人の特徴

編集長:
不動産投資に向いていない人というのはわかりますか?

柳田:
リスクをとって利益を得る行為ですから「合う」「合わない」はあると思います。不動産で何がリスクになるのかといえば、空室率や修繕の読み違い。不動産投資に向いていないと思うのは、「お客さん思考」です。なんでも人任せにするのは不動産投資に向いていない人の特徴です。
それに向いてなさそうな方って、お話するとなんとなく分かるものです。うちは管理もやっているので、埋まらない物件の場合など「こっちは客なんだから、利回りこれくらいとれて当たり前だ!」というお客さんもいます。

編集長:
そのほかに、不動産投資に向いていない人の特徴は?

佐久間:
決断力が乏しい人です。とりあえずはやってみなければ分からない部分がある。そのときに「いいな!」と思ったものを買えるなら買って、そこから定点観測して「やはり高く買ったな……」と反省したら、そこを基準に安く買えるような努力をすればいい。そして「これは安く買えた!」と思ったら、それと同じような物件を買っていけばいいんですよ。

編集長:
決断して1戸なり1棟でも買わないと、自分の基準もできないわけですね?

佐久間:
家賃回収があるので、買えるものならできるだけ早く買ってしまうほうがいい。そうすれば2年、3年後に安く買うのと同じではないですか。3年も迷っていたら回収が遅れます。

編集長:
不動産はすごく儲かるのと、あまり儲からないケースがありますが、「かぼちゃの馬車」のような物件を掴まされない限り、買って損をすることもあまりないと思います。ですから早く始めるだけでもメリットはある。決断できない人は自分の基準ではなく、過去のもっといいものと比べているから?

佐久間:
これは投資家の性格によりますよね。

新川:
確かにいますよ。「あのころと同じ物件がほしい!」と望む人に対しては、「もうないです」と答えます。

編集長:
「あの子のことを忘れられない」って、いつまでも元カノに執着しているみたいですね(笑)。いや、付き合ってもいないのだから昔好きだった子か。

新川:
私はお客さんと面談しても、直接物件を紹介しません。「うちの会社のカラーに、合うか合わないか」という話をします。もしも合わなかったら「他に行ったほうがいいですよ」と断ります。今はお客さんが多すぎる状態ですね。

柳田:
情報がとりやすくなった背景もあり、物件を買いたがる人が増えました。SNSにしろ、この『満室経営新聞』を読まれている人もいる。ぼんやりと「不動産投資をやってみたいな」という数が増えているのかもしれない。

編集長:
その潜在層はとても大事ですが、確かに情報がとりやすすぎる。僕が不動産投資をスタートしたころは『健美家』も『楽待』も存在しなかったし、『Yahoo!』で売りアパートを検索すると、戸建てと一緒に載っていたレベルの実需でした。だから利回りなんて書いてありません。そんな状況で買っていたくらいです。その感覚があると、今は簡単になりすぎたのかもしれないですね。

 

閉ざされた融資、不動産業者も苦しい!?

編集長:
去年までバンバン融資がついてよかった・・・という感覚はないですか?

柳田:
それに越したことはないけれど、そうした融資を扱っているのはスルガで、儲かったのはサンタメ業者です。そこまで良かったという感じもないし、少しずつお客さんの広がりと共にやっている感じです。

編集長:
扱っていらっしゃる物件が各社によって様々だと思うのですが?

佐久間:
うちは最初こそ仲介で収益専門でしたが、そのうち戸建ての貸家の投資が多くなりました。そういうのを探しているうちに、リフォーム再販の大型が実需向けにくれるのではないかと。あと、最初は投資物件に絞って探していたのですが、取引業者を広げていくと土地情報や、人が亡くなっている、いわゆる事故物件がきたり。今は投資を軸に広がっています。ただし、会社の仲介は戸建てや築古アパートがメインです。

編集長:
クリスティさんも同じだったような気はしますが。

新川:
そうです。収益物件専門で基本は仲介です。種別も200万円の小ぶりの物件からで、上限でも5億円くらいです。

編集長:
大きなRC造マンションばかり扱っていた業者さんは、今は厳しい状況かもしれないですね。5年くらい前はそういう方法でガンガン攻めようとしなかったのですか?

新川:
いわゆるサンタメ業者・・・中間省略は続きません。ビジネスとしてはすぐダメになると思っていましたから、やっていないです。中間省略についていえば、もともと区分業者がしていた手法を1棟に取り入れたような印象を受けます。

編集長:
たしかに1棟物件を扱う会社でも、でも区分の販売会社出身の方は多いですよね。ワンルーム投資を販売していた人は営業力が並外れている?

新川:
区分業者の名簿に載っている、お客さんは属性がよく、しかもほとんどマイナスです。そうした人に対して「1棟物件を買うことでプラスになりますよ!」と営業をガンガンかけていました。

柳田:
ワンルームを売りやすかったのでしょうね。物件価格も大きくなるし、一応はプラスのキャッシュフローを見せられるので。

編集長:
おっしゃる通り、もともとマイナスの物件を買っていた人に売るのだからやりやすいはずですよ。よくマイナスのものを売れるなとは思いますが(笑)。

 

もはや「自己資金ゼロ」は幻想

編集長:
「○○銀行が融資を出している!」「基準がこうなった!」や、自己資金がいるのか、いらないのかは人によっても異なるようになってきました。実際にやってみるまで分からない現況ですが、お客さんに物件をご案内されるとき、どのように考えていますか?

柳田:
今はサラリーマン向けパッケージローンを扱っている使いやすい金融機関でも「自己資金を入れてください」と言います。それをアナウンスしながら、「本来はこうですよ」と話してやっていくところなのかなと思います。片や地方銀行ですが、まだフルローンを出している銀行もあります。金融資産が充実している人であれば、そこまで大きな影響が出てきている感触はありませんね。

編集長:
金融資産は大事ですね。でも、そういう話はメディア側として受けが悪い。セミナーで話したこともあるのですが、受けが悪い話のトップ3に入る。自己資金をちゃんと入れることで健全性が増す、出口まで考えたら一緒だとか、自己資金をどれだけ出したかなんて会社の決算書と何ら関係はありません。B/Sがよくなるわけでもない。例えば「現預金が減っても、借入がその分減るから資産は変わっていないんですよ」と話すのですが、「でも自己資金は入れたくない」、もしくは「自己資金がない」という人がほとんどです。

柳田:
逆に「自己資金ゼロでやる方法」が受けます。

編集長:
たしかに受けるのは「自己資金ゼロ」「フルローン」「リタイヤ」、この3本柱ですね。まだ本屋さんには『自己資金ゼロで~』という書籍が売っている。それに感化されて来られた人がトーンダウンすることは?

新川:
未だに来ます。「もうそんな時代ではないから止めておいたほうがいい」と忠告します。

柳田:
新川さんは「やめさせる派」なんですね。

新川:
失敗してもらいたくないからです。「不動産投資=成功」「絶対に儲かる」と信じ切っている。ですから本当に止めてもらいたい。たまに中間省略のお客さんと喋っていると、「売主から買うと、手数料はかからないからすごくいいんだ!」と言ってくる人がいます。実際はその分だけ利益が乗っかっているケースがほとんどですが、そこまでよく知らない人に対しては何も言いません。
基本的には仲のいい人には失敗してもらいたくない。それはうちから買うとか関係なく、成功してもらいたいんです。うちよりもいい物件があったら、それは仕方のないことですから。そのような姿勢でなければお客さんといい関係は保たれません。

編集長:
すごくいいお話です。そうすれば2棟目を買いたいとき、「また富士企画さんに相談しよう!」という人が増えますね!

新川:
今はうちに来たり、なごみさんに行ったり、いろんなところに足を運ばれますから、もう顧客を抱え込むことなど不可能です。業者同士も繋がっているし、お客さん同士も繋がっている。極論すれば、どこでやっても同じなんです。だからこそ、まずは成功してもらわないと僕らは次を買ってもらえない。どこでもいいからとりあえず買ってもらって成功してもらう。タイミングが合えば、またうちで買うかもしれないですから。

編集長:
抱え込みは実質無理だという話は確かにその通りですが、業者さんによっては、エビデンスの改ざんなどをやっていれば、抱え込んでいなければいけない事情がありますよね?

新川:
それが、うちで金融資産のエビデンスを出したら、「金額がちがうのでバレた」というケースもあります。それはお客さんの勉強不足です。

柳田:
実際のところ、同意を得ずして業者さん側でやっていることも多いはずです。

新川:
知らないってことはないでしょう。

柳田:
去年、1回だけスルガさんの取引をしたのですが、彼らの叩き込みも尋常ではありません。本申込をして、間髪入れず金銭消費貸借契約をやって、伝票にサインさせる。それこそ「かぼちゃの馬車」で金額が入っていない伝票を書いてしまったことも騒がれています。本業が忙しく、ようやく物件が見つかって重説~売契を怒涛のごとく詰め込まれる。だからワケが分からない人もいるかも。本当はちゃんと把握してやらないと危ないですよ。

編集長:
安い買い物ではないのに面倒くさがる人が多いですね。

柳田:
忙しい人は特にそうですよ。

編集長:
だからこそニーズもあったのでしょう。安全性や収益性ではなく、とにかく「買いたい!」「お金を借りたい!」という人がいます。

 

「ジャンク新築」に群がる投資家たち

編集長:
最近、僕は狭小で場所の悪いところで、無理につくった利回りで売っている新築を「ジャンク新築」と呼んでいるのですが、それもニーズがあるんですよ。
地味でも利便のいい沿線に競争力のある、25平米ほどのロフトに頼らない、ゆったりとした部屋をつくると利回り7%です。それでは「足りない!」となり、狭小の利回り8~8.5%へ目が向くのです。
結果的にお客はちゃんと選んでいるんです。ジャンクフードと一緒ですね。サブウェイが減少していく一方で、マクドナルドは大好調でしょ。お客さんが選択しているんです。そこに対応していくだけという考え方もできる。だから業者さんだけでなく投資家さんも悪いのかな。

新川:
勉強不足は感じます。もっと知恵をつけないと危ないですよ。

編集長:
「何を勉強するといいですか?」と聞かれたら、どう教えますか?

新川:
先ほども述べた通り、私は物件を紹介していません。物件を売るのはうちの営業です。自分は気軽に相談できる立場になれたらいいと思っています。うちで買ってもらうことに関わらず、ひたすら不動産投資のリスクや安全性に触れて、「失敗しないように頑張ってください」と話をしているだけです。

編集長:
いい話ですね(笑)。

新川:
「わからないことがあったら連絡ください」と、自分は携帯電話を10年以上前からオープンにしています。知らない人から電話がかかってきても答えます。それは自分が現役で営業をやっていたときから、気軽に相談ができる人がいたら理想的だなと思っていたからです。
ただし、匿名や偽名を使われたら嫌なので、本名を名乗ってくれなければ応対できません。最初はメールでやっていたのですが、それではやり取りがまどろっこしいので途中から電話のみの応対にしました。

編集長:
大変ですね。電話に出られないときは?

新川:
折り返し連絡します。それをやり続けたら失敗する人が減ります。そもそもネット上でオープンにしていますから。自分は携帯電話を会社用、個人用と分けず1台しか持っていません。

柳田:
実際に電話してくる人は?

新川:
少ないです。メールが多いですね。どうせなら会社に来てもらったほうがいいです。自分は営業をしないし、相手の電話番号も聞きません。相談しに来て「ありがとうございます」と帰ってもらってもかまいません。その人が自分から買わなくても、その人の友だちが買ってくれたり、まわり回っていいのが入ってくるので。

編集長:
水戸大家さんの無料面談の先駆けというか、もっと早くからやられていたのですね!

新川:
不動産屋はみんなやっていたんじゃないでしょうか。それをやらないと前に進まないし。

 

対談はまだまだ続きます。
後編もぜひご覧ください。

→ 【対談】編集長が収益不動産会社代表に聞く!今後の展望と業者のホンネ(後編)

新川 義忠氏
株式会社クリスティ 代表 https://www.christy.co.jp/
富士企画株式会社 代表 https://www.fuji-plan.net/
1972年、福岡県生まれ。不動産投資専門会社でトップ営業マンとして実績を挙げた後、2012年に独立、富士企画(株)を設立。2016年より老舗不動産会社である株式会社クリスティの代表も兼任。近著に『物件サポート3500人! 事例で見る“勝ち組み大家”の法則』(ごま書房新社)がある。

柳田 武道氏
合同会社なごみ 代表 http://www.nagomi.org/
趣味のサーフィンに専念するために大学を中退後、収入を得る手段として不動産投資に興味をもつ。2006年、大手ハウスメーカーのグループ会社に就職。その後、自ら不動産投資を行うかたわら、中小規模の地域密着型不動産会社に転職。2011年、合同会社なごみを立ち上げる。著書に『勝てる! 不動産投資コンプリートガイド』(幻冬舎)がある。

佐久間 洋介氏
株式会社エフピーランナー 代表 http://fp-runner.com/
大学卒業後、リサイクルショップ、ネット通販、美容室などを開業。その後、不動産投資に興味を持ち、2007年に株式会社エフピープランナーを設立。

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