別荘といえば高級なイメージを持つ人も多いと思いますが、実はバブル崩壊後に全国各地の別荘が値崩れしたために格安で売買されているのが現状です。そのため、格安の別荘を投資目的で購入して賃貸物件として貸し出す人もいます。しかし、格安別荘には思わぬ落とし穴が隠れているケースもあるため、購入前には慎重に検討することが大切です。
本記事では、格安別荘の投資物件としての価値と購入前に把握しておきたい注意点を詳しく紹介します。
格安別荘の投資物件としての魅力
格安別荘には、投資物件としてのさまざまな魅力があります。どのような魅力があるのか、具体的に見てみましょう。
魅力1.値段以上の別荘を購入できる
全国各地で別荘が乱立していた高度経済成長期には、別荘が高額で販売されていました。
その後、バブルは崩壊し、別荘にかかる維持コストや資産状況の都合により乱立された別荘は相次いで売却されたのです。その結果、全国規模で別荘の値崩れが起こり、現在では150万円程度から購入できます。
150万円といえば軽自動車やコンパクトカーなどが買える価格ですから、この数字を見て驚いた人も多いのではないでしょうか。150万円ほどの別荘であれば、月々2万円~3万円のローンを支払えば約5年で返済を終えられます。
一般的に、安すぎる物件は事故物件や何らの事情があるものです。しかし、需要の低下によって値崩れしただけの別荘であれば快適に住める可能性は高いでしょう。
魅力2.安定した収益を見込める
格安別荘の中には、値段以上にハイクオリティな物件があります。クオリティが高い分、高値で賃貸に出せるため、投資をすれば大きな収益を見込める物件でもあります。
また、賃貸として貸し出せば年間を通して毎月の家賃収入を得られることもメリットです。たとえ別荘を使用しない月があったとしても、1年を通して安定した家賃収入を得られます。
ただし、一般的な賃貸物件とは違い、借り主が退去した後にまたすぐ次の借り主を見つけられる可能性は高くないため、注意が必要です。立地条件や前の借り主が退去した季節によっては、次の借り主が見つかるまでに何か月もの時間を要するかもしれません。
魅力3.手放すときの費用負担が少ない
不動産売却では売却額に応じた仲介手数料がかかるため、格安別荘を手放すときの費用負担は格安でない別荘に比べると少なくなります。
そのため、たとえ別荘を手放すことになったとしても莫大な借金を抱える可能性が低いのです。これも、格安別荘に投資するメリットの1つといえますね。
格安別荘を収益化するときの注意点
一般的な不動産投資には数千万円の費用がかかるため、数百万円程度で販売されている格安別荘に飛びつきたくなるのは仕方がないことです。
しかし、注意点を把握しないまま格安別荘を購入すると、後悔する可能性があります。格安別荘を購入して収益化したい人は、次の注意点を踏まえて検討しましょう。
注意点1.需要がない別荘を選ぶと損をする
別荘は全国のリゾート地に建てられています。
リゾート地と聞けば、いつもにぎわっているイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、実際にはリゾート地によってにぎわい方が大きく異なります。
マイナーなリゾート地の別荘を購入すると、なかなか借り主が現れず収益化に失敗する恐れがあるため注意が必要です。
にぎわっていないリゾート地の別荘が必ずしも良くないわけではありません。別荘地を欲しがる人の中には、都会の騒々しさから離れてゆったりとした時間を過ごしたいために、あえてにぎわっていないリゾート地の別荘を選ぶ人もいるからです。
とはいえ、知名度の高いリゾート地に比べると、やはり静かな別荘地は人気が劣ります。別荘を選ぶときは、立地条件と需要をしっかりリサーチしておきたいところですね。
注意点2.手放すときに買い手が見つからない可能性がある
先ほど格安別荘を手放すときに費用負担が少ないとお伝えしましたが、そもそも買い手が見つからない可能性もあります。
買い手が見つからなければ維持コストだけがかかり続けてしまい、最終的に赤字で終わる恐れがあるのです。
需要は時代の流れによって変わるため、そのときになってみないと買い手が見つかるかどうかは分かりません。格安別荘の購入を検討する際は、手放すときのリスクについてもしっかり把握しておきましょう。
注意点3.さまざまな経費がかかる
一般的な物件と同じで、別荘には多くの維持コストがかかります。
いくら別荘そのものの価格が安くても、入居者がなかなか現れなくて赤字続きになってしまえば元も子もありません。別荘には経費がどれくらいかかるのかをしっかり把握し、その上で収益化の計画を立てましょう。
注意点4.リフォームに多額の費用がかかる可能性もある
購入した格安別荘を、そのまま賃貸に出せるとは限りません。場合によってはリフォーム工事が必要となります。
特に注意が必要なのは、築50年以上の別荘です。古ければ古いほど、大規模なリフォームを要する可能性が高いと考えられます。
別荘においても「安かろう悪かろう」はあり得ますので、注意しましょう。
格安別荘の維持コストとリフォーム代
続いて、格安別荘の維持コストとリフォーム代を紹介します。
いずれも別荘の収益化を目指すのであれば必ず確認しておきたい項目ですので、それぞれにどの程度の金額がかかるのか詳しく見てみましょう。
格安別荘の維持コスト
格安別荘の維持には、次のようなコストがかかります。
1.火災保険料
別荘の空室期間中は、オーナーが火災保険料を自分で負担しなければなりません。火災保険料は、年間で約5万円~10万円ほどかかります。
別荘に借り手がついた際は、入居者に火災保険の加入をお願いしましょう。
2.固定資産税
固定資産税は、年間で約3万円~5万円です。
固定資産税額は物件や土地の評価額によって大きく上下するため、事前にしっかり調べておくことをオススメします。
3.ハウスクリーニング代
別荘の空室期間中は、状態を維持するために定期的な清掃が必要です。
居住地から遠い場所の別荘を購入した場合は、ハウスクリーニング業者に依頼することになるでしょう。自分で掃除するには交通費がかかる上に、プロが掃除するほどの状態には仕上げられません。時間や労力のコストも大きいため、ハウスクリーニング業者に依頼するのがオススメです。
ハウスクリーニング業者に依頼した場合、別荘全体の掃除に約10万~20万円の費用がかかります。ある程度の頻度で掃除する必要があるため、年間で50万~80万円ほどかかるでしょう。
業者によっては定期的なハウスクリーニングを依頼すると割引料金が適用されますので、その点も事前に確認しておくとよいですよ。
格安別荘のリフォーム代の目安
格安別荘のリフォームにかかる費用は、リフォームの内容によって大きく異なります。
足場を組んで外壁を修繕する場合は、50万円~100万円ほどかかるでしょう。別荘の外観が悪いと入居者も現れにくいため、外観は手を抜きたくない部分です。
そのほか、シロアリ駆除や床下換気扇の設置など、害虫やカビの対策に100万円ほどの費用がかかります。
- 水道管
- 屋根
- 浴槽の修理・リフォーム
などを合わせると、合計で300万円~500万円ほどの費用がかかるでしょう。
築年数が古い別荘は、外観のデザインが現代のトレンドに合っていません。別荘のデザインを魅力的に感じる人が現れなければ、空室期間が長くなる恐れもあります。
外観や内装、デザインなどを踏まえ、別荘のどこをリフォームすればいいのか慎重に検討しましょう。
まとめ
投資家にとって格安別荘は魅力的な物件ですが、リフォーム費用や維持コストについては十分な確認が必要です。逆にいえば、リフォームがほぼ不要な別荘は、それだけ価格も高くなると考えられます。古い格安別荘はリフォーム代が思いのほか高くなる可能性もありますので、リフォームせずにそのまま住める別荘を購入した方が安く済むケースもあるかもしれません。格安別荘の収益化については、魅力と注意点の両方を踏まえて十分に検討しましょう。