マンション老朽化問題とは?建て替えの難しさと修繕管理の重要性

都心部を中心に人気のマイホームといえばマンション。特に首都圏のマンションは人気ですが、一方で、マンション老朽化問題が叫ばれるようになっています。

人と同じで寿命が延びている・・・とは言え、永遠に残せるわけではないマンション。その何が問題で、どのようにすればよいのかを考えて行きます。

築40年以上のマンションのうち、建て替えられたものはたったの2%

日本にマンションブームが起きたのは1960年代。
国土交通省が2017年に発表した資料によれば、マンションのストック数は644万戸。住居人口は1500万人だそうです。人口の1割以上の人がマンションに住んでいることになりますね。
このうち、築40年以上のマンションは約73万個だそうです。

あなたの周りのマンションはいかがでしょうか?

築40年以上と聞くと非常に古い建物のように思いますが、年号で言えば、昭和50年代に建てられたマンション
「そういえば近所にある」という人も多いことでしょう。

ではもう一つ、それらのマンションの中で、建て替えられたマンションは見たことがあるでしょうか?

おそらくないですよね。
そこに大きな問題があるのです。 

築40年を超えるマンションは、現在のところ1割に過ぎませんが、10年後には200万個弱、20年後には350万戸以上になると言われています
旧耐震基準(昭和56年以前)に基づいて建設されたものが現在で約100万個以上。もちろん、その後の耐震補強などにより全てが耐震不十分とは言いませんが、少なく見ても、約6割が耐震不足のままだと言われているのです

そしてなんと!
建て替えが進んでいるマンションは、たったの2%!

ここに大きな問題があることは想像できるのではないでしょうか。

 

マンションを100年持たせるために必要なこと

マンションは、躯体部分のコンクリートや鉄筋に異常がなければ、耐用年数100年以上とも言われています。付帯部分とは柱や梁壁などのこと。
「100年持つなら大丈夫。問題なし」
そう考える人もいるかもしれませんが、実はそんなに簡単な話ではありません。

鉄筋は経年劣化などにより、雨がコンクリートに染み込み錆びてしまいます。そして腐食します。これを避けるために、10年から十数年ごとに大規模改修が必要です。例えば、外壁の塗装やタイル部分の維持管理は不可欠となります。

もちろん、古いマンションでもこまめに改修がなされ、本当に100年以上を目指しているところもあります。また、エレベーターなどの設備も入れ替えられ、住環境に配慮しているところもあります。

ところが、これらの改修には多額の資金が必要となります。その資金はマンション住民及び所有者にから徴収されるのですが、その管理が十分でなく、「修繕したくても積立金がない」という状況が発生しているのです。ここにマンションの老朽化問題があるのです。 

住民による強力な反対により十分な修繕ができないことも

私の母が住んでいるマンションは、関西では名の通ったデベロッパーが建てたもので、まさに100年持たせようとしているマンションです。見た目もキレイで、しょっちゅう補修工事も行われています。

ですが、数年前にベランダの補修工事をしようとしたとき、住民同士が揉めるトラブルがありました。

その時に補修をしようとしたのは、ベランダ。消防法では、マンションのベランダは住民の避難通路として利用することが規定されています。そのため共有部分扱いで、住民には「専用使用権」しか与えられていません。物置など避難の妨げになるものは置いてはいけないことになっています。

そのことを説明した上で、「補修期間はベランダにあるものを全て屋内にしまってほしい」と依頼しました。ですが、「ベランダに置いてある物置が多くて家には入れられない」とか、「全てを屋内に出ることはできないので、管理会社で預り所を開設するべきだ」などの意見が出ました。

これを聞いた住民の一人が、「お前らは間違っている」と怒りだし、説明会は大紛糾。もちろん無理な要求をした住民が間違っているのですが、売り言葉に買い言葉状態になり、当事者以外のマンション住民はうんざりするぐらいの長期戦になったのです。結局は、デベロッパーが一軒一軒回って説明をし、承認を得て改修となりましたが、着工まで1年半もかかりました。

根気強いデベロッパーだったので良かったのですが、最悪な場合、必要な工事ができないとか、工事をするために裁判沙汰になる可能性もあったそうで、世の中にはそういったマンションも多いということです。 

 

老朽化したマンションは建て替えをするしかなくなる。それは茨の道

さて、十分な大規模改修ができないまま老朽化したマンションはどのようになるのでしょうか?

これは建て替えをするしかなくなります。立て替えには、修繕以上の膨大なお金が必要なだけでなく、様々な規制があるためにさらに困難になります。

例えば、容積率。
緩和措置を得られる恵まれた条件のマンションであれば、建て替えをして部屋数を増やし、その分を新しい住民に売ることで立て替え費を捻出できます。これまでのケースを見ると、建て替えに成功したマンションは、ほとんどが、区分所有者の負担がゼロであったそうです。ところが、そんなところはごくわずかしかありません。

しかも、建て替えには、区分所有者の5分の4以上の賛成を必要とします。老朽化したマンションは住民もともに年を取っていることが多く、「新しいマンションになっても長く住むわけじゃない」と反対する人が多くなります。

それでも頑張って、奇跡的に4/5の賛成を得ても、残りの1/5の人が退去してくれない場合、最悪法廷で争うこととなり、時間がかかります。建て替えに反対してるんですから、退去してくれるわけもないですよね。

中には、建て替えを考え始めてから10年、あるいは20年かかるというケースもあり、この間にマンションの老朽化はさらに進みます。そうしているうちにマンションの価値はどんどん下がり、歯抜け状態になり、建て替えどころか必要最低限の修繕費さえ捻出が難しくなるケースが出てくるのです。

 

新しい法制度「敷地売却制度」は有効か?

大規模改修も建て替えもできないという最終手段として、新たな法制度ができました。それが、「敷地売却制度」というものです。
この制度は、マンションの耐震性が不足している場合、区分所有者の5分の4以上の賛成があれば、マンションを事業者に売却できるというものです。

自分たちで費用を出して建て替えをする場合に比べ、売却金額が手に入るという意味で、いくらかの条件は良くなっているといえますが、マンションが再建築されてもそこに住める保証はありません。そもそも、売却した事業者がそこにマンションを建てないという選択肢もあるわけで、なかなか難しい問題が立ちはだかっています。

 

生活の場を変えたくない高齢者と、古いマンションに魅力を感じない若い世代

改めて、自分事として考えてみましょう。年齢が高い層の感覚は、「家は一生に一度の買い物」。生活パターンが変わったからといって、マンションを住み替えるという感覚はありません。高齢者になったら、変わらぬ環境でずっと暮らし、最期を迎えたいというのが当然の感覚です。

こうなると、中古で買った若い世代はそのマンションに魅力を感じなくなり、途中で手放すようになります。そもそも中古であるので購入金額は安く、ライフスタイルに合わせて住み替えるということに抵抗がない人が多くいます。

そうして歯抜けになったマンションは、相続などで持ち主もよくわからない状態となり、積立修繕費が積み立てられず、ますます立て替えが難しくなります。最悪の場合、スラム化してしまうケースも出てくるでしょう。

目安として、空室率が30%を超えてると修繕費や管理費が逼迫し、維持運営が難しくなると言われています。実際、過去には憧れのマンションだった場所が、限界集落化しているケースもあります。 

 

素人が維持管理責任者となる危険性

またマンションは、区分所有者がマンションの維持管理の責任者となります。管理をデベロッパーなどに任せていればいいのですが、途中から自主管理に変更し、場当たり的な修繕を繰り返しているケースや、いい加減な業者に管理を任せ、適切なメンテナンスがされていないケースもあります。 

そうこうしているうちに、そこかしこに老朽化の影響が出てきて、積立た修繕費では足りなくなっていきます。雨漏りなどはわかりやすい例。目に見えない部分では、配管の老朽化などが代表的なものです。不具合が出てから対応したのでは、さらに高額な費用がかかることもあります。

 

これから中古マンションを購入する人が注意すべきこと

中古マンションを探している人でも、旧耐震基準で作られた耐震不足のマンション好んで買う人はいないでしょう。古いマンションを購入するのであれば、耐震措置や日頃のメンテナンスがしっかりされている、100年持つマンションを選ぶべきです。

核家族化が進み一人暮らしも増えている中、ファミリータイプのマンションを購入する人は減っています。「子供が大きくなるまで住んで、その後は貸せばいい」 と安易にマンションを購入すると、将来手放せない自体や、借り手もつかないということも考えられます。 

古い中古マンションを選ぶときはもちろん、比較的新しいマンションを購入するときでも将来にこのような問題が沸き上がるかもしれません。価格だけにとどまらず、管理状況も考えて購入する物件を決めるべきです。

まとめ

なかなか難しい中古マンション選び。ここでは厳しい事を書かせていただきましたが、管理が行き届いた100年持つマンションもたくさんあります。多少費用がかかっても、将来的なことを考えれば、きちんと管理されたマンションを選ぶべき。後悔しないために、事前の調査はしっかりし、くれぐれも値段を最優先にしたマンション選びはしないことが大切です。

原田園子

原田園子ディレクター

投稿者プロフィール

「不動産の学校」のディレクター兼ライター。
住宅メーカーや不動産業者をクライアントに持っています。
不動産関連の取材実績も多数あり。
不動産投資から日々の暮らし記事まで、幅広く担当します。

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