【連載】ニュージーランドの最近の不動産市況
- 2022/2/23
- 不動産投資
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こんにちは。ふりーパパです。
居住用不動産
ニュージーランドの最大都市であるオークランド市の不動産平均売買価格は、一昨年あたりから1百万ドル(約76百万円)を超えてきていました。
2021年11月の平均売買価格は、1.2百万ドル≒約一億円という大台に近い状況となっています。
以下の図のように、ニュージーランドの平均住宅価格が1年(2020年11月と2021年11月比較)で25%も値上りしています。これまで低価格であった地方都市の不動産価格の値上りは、30%を超えている地域も多くなっています。
👆TREDEME PROPERTY のレポートより👆
コロナ禍によって建築資材の供給も滞る中で、去年8月に再開されたコロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)が再び建築現場に悪影響を与えるようになりました。特に、当局による『建築確認検査済み証など』の発給の遅れなどから、新築物件の完成が当初の完成予定よりも半年程度、場合によっては約1年も大きく遅れるようになったことが影響しているようです。また、建築資材の値上りも激しく、場合によっては、建築自体がキャンセルになることもあるようです。
最近では、建設資材の高騰からアパートメント(日本でいうマンション)の新規供給もほとんどなくなりました。コンクリートなどの資材価格が、コロナ禍の前の2倍から3倍もするようになって、開発業者の採算が合わなくなってきたことが大きな要因のようです。
また、昨年12月からニュージーランドの金利上昇などの懸念からファーストホーム取得者(初めての住宅取得者)への住宅ローン条件も厳しくなってきており、住宅中古物件のオークションでもリザーブ価格(売主の最低売却希望価格)を超えなくなってきています。特に物件価格の高いオークランドでは、オークションによる不動産売買が不成立となるケースがかなり増えてきています。実際には、去年11月の不動産価格のピーク時よりも、10%くらい住宅価格が下がってきているのかもしれません。
現時点では、コロナ禍による低金利によって、住宅価格の値上りが激しくなっていた一昨年度から打って変わった状況になりつつあります。まだ活発に住宅の取得をしているのは、不動産投資家のようで、今年度から中古住宅のローン金利が経費化できなくなったこともあり、新築では住宅が建ってから20年以内であれば住宅ローン金利が経費化できるということもあり、中古住宅を売って新築住宅へののりかえの動きは続いています。
商業用不動産など
過去2年間のコロナ禍によるロックダウンなどによって、空きテナント物件が大きく増えています。最近になって賃料の値下げをしてもテナントを確保する動きが活発化してきており、コロナ禍明けに向けての動きがみられるようになりました。しかしながら、オークランドのクイーンストリートなどの目抜き通りなどは、今もテナント募集の看板が多くみられており、高騰していた家賃を下げてまでテナント募集をしようとしないオーナーの資金繰りが心配になります。
オフィスビルも、リモートワークが活発化したこともあり、コロナ禍が明けてもオフィス需要は戻らないという状況となりそうです。約2年間もリモートワークが続いたことから、従業員もリモートワークに慣れて、必要な業務を自宅などでも十分にこなせるようになっていることも影響しているようです。
物流倉庫などの物件については、コロナ禍によってネットショッピング需要が大きく増えたことで、郊外での新規開発が増えるようになりました。私のうちでも、毎週食材などをネットショッピングで買っていますが、それなりに便利に使えるようになりました。
食材のネットショッピングは、うちではコロナ禍以前から使っていたのですが、配送が遅れたり、送られてきたものに違うものが入っていたり欠品があったりしたのも、ある程度解消されるようになりました。約2年のコロナ禍で、各ショッピングサイトも慣れてきたのかもしれません。最近は、それよりも品不足による欠品が増えてきています。ネットショッピング業者も高いものを無理に仕入れて欠品をしないことよりも、採算重視で対処しているように感じられます。欠品している分については、値引きをして対応しています。ユーザーとしては届いたものの箱を開けて、送り状と入っているものの検品する手間がかかるのは面倒ですが、やむを得ないのかもしれません。
うちのかみさんは、このネットショッピング企業のヘビーユーザーだったこともあり、ユーザー対象の株式募集に応募して株主になりましたが、結構な配当金をもらって喜んでいました。
今後の不動産価格想定
世界的なインフレが発生している中で、ニュージーランドはアメリカ並みのインフレが想定されています。最たるものが人件費です。ニュージーランドの最低時給は、現在約21ドルとなっていますが、23ドルくらい支払わないと人手が集まらない状態となっています。
建設資材の値上りも激しいので、建築コストアップに伴う住宅価格の上昇は続きそうです。今年くらいは、過去2年の低金利で上がり過ぎた価格の調整局面とはなりそうですが、今後2~3年もすれば、現在の価格で買っても安かったというような状況になりそうです。
日本の投資家からみれば、ニュージーランドは不動産バブルだと思われそうですが、2010年の最低時給が、12ドルくらいで、現在はその約2倍に近い状況をみれば、住宅価格が2010年頃の2.5倍になっているのも理解してもらえるかもしれません。
以上