不動産オークションとは?競売との違いやメリット・デメリットは?

不動産売却の際には、仲介業者を通して買い手を見つける方法が主流ですが、オークションにかける方法もあります。物品のオークションと同じく、価格や入札者の評価などで落札者を決定します。今回は、不動産オークションの概要や競売との違い、メリットやデメリットまで詳しく解説していきます。

 

不動産オークションとは

不動産オークションとは、不動産を出品するオークションのことです。建物や土地など不動産を出品し、購入希望者が希望価格や用途、諸条件などを提示します。最も良い条件を提示した人物を落札者としますが、物品のオークションとは異なり価格だけで決めるとは限りません。

ただ、基本的な部分は物品のオークションと同じのため、物品のオークションの経験がある方はイメージしやすいのではないでしょうか。

 

不動産オークションの仕組み

不動産オークションの仕組みについて、詳しくみていきましょう。

落札者の選定方法

落札者の選定方法には、「最も高い価格をつけた人物を選ぶ方法」と、「価格の他、用途や名義、購入条件なども踏まえて選ぶ方法」があります。不動産に思い入れがある場合、大切に使用してくれる人物を選びたいところです。価格だけでは、落札者の性質はわからないため、総合的な評価で選定することも視野に入れるといいでしょう。

入札条件や最低落札価格の決定方法

不動産は性質上、誰でも入札できるようにするのではなく、ある程度の条件を定めておくことがポイントです。また、物品のオークションと同じく最低落札価格を設定し、最低限の利益を確保したいところでしょう。入札条件や最低落札価格は、オークションに出品する約1~2ヶ月前までに不動産会社と話し合って決定します。

決定事項は、入札を検討している人物に書類として配布し、その2~3週間後にオークションを開催します。

情報の公開範囲

不動産オークションには、購入の可能性がある人物や会社に対して、秘密保持契約を締結したうえで情報を開示する「限定公開」、不動産会社と相談したうえで公開先と公開範囲を決める「半限定公開」、一般に情報を公開する「一般公開」があります。

不動産の売却は、ときには秘密にしておく必要があるため、このような複数の方式が採用されています。例えば、会社の本社ビルをオークションにかける場合、情報が外部に漏れることで、倒産の可能性を疑われてしまうでしょう。株価の暴落など大問題に繋がる場合もあります。

入札形式

インターネットオークションと紙の入札方式があり、一般的に行われているのはインターネットオークションです。オークションの参加者にIDとパスワードを配布し、オークションサイトごとに定められたルールに従って入札します。

入札の最小単位もオークションサイトで異なりますが、一般的に10万円が最小単位となっています。その他、入札終了10分前までに入札があった場合は、終了時刻を10分延長し、以後繰り返すなど、細かいルールがあります。

また、紙入札では、会場に行って希望額を書いた用紙を提出し、最も高い価格で入札した人物が落札します。1回のみ入札でき、他の人物がいくらで入札したかは非公開です。そのため、いくらで入札したかがわかると、1円だけ高い金額で落札できるなど問題点もあります。入札額が漏れないように、様々な対策がされていますが、何らかの手段で情報を得て、不当に落札するケースもあるのです。

また、会場が遠方地の場合は、入札者がなかなか現れず、入札者なしでオークションが終了するリスクも伴います。

 

競売との違い

競売は、オークションと混同されがちですが、行われる理由と落札方法が異なります。競売は、住宅ローンの滞納などによって金融機関が不動産を差し押さえ、お金に変えるために裁判所が実施します。それに対してオークションは、自らの意思で出品するのです。

また、競売はオークションとは異なり、1回しか入札できません。そのため、他の入札者が高い価格で入札した場合、さらに高い価格で入札することができず、落札価格が上がりにくくなっています。

 

不動産オークションのメリット

不動産をオークションにかけることには、どのようなメリットがあるのか詳しく解説していきます。

高く売却できる可能性がある

オークションは、何度でも入札できるため、他の入札者が自分より高い金額で入札しても、さらに上乗せできます。また、終了時刻間際に入札しても時間が延長されるため、落札に技術が必要ありません。そのため、セリが続くことで落札価格が引き上げられていき、予想より遥かに高額な価格がつく可能性があるのです。

不動産仲介業者を通して買い手を探す場合、複数人の買い手が見つかってもセリは行われないため、価格を引き上げるのには限界があります。

期限までに売却できる

入札期間を定めるため、期限までに売却できます。自分で買い手を探す場合、売却までに半年以上かかるケースもあるなど、すぐにでも現金が必要な人には向いていません。オークションは、入札者さえ現れれば短期間で現金を手に入れられます。

このままでは住宅ローンを滞納して競売にかけられるといったケースでは、自らオークションに出品するのもひとつの手段です。

公開範囲を限定できる

出品する不動産の情報は、公開範囲を限定できるため、知られたくない人に知られる心配がありません。会社が倒産間近なことを知られたくない、近所の人に家を売ることを知られたくないといった場合には、公開範囲を限定してオークションに出品するといいでしょう。

 

不動産オークションのデメリット

不動産オークションにはデメリットもあるため、十分に検討したうえで選ぶことが大切です。次のようなデメリットがあります。

入札されないリスクがある

オークションは入札形式のため、入札されなければ不動産は売却できません。一切、入札されずに終了する場合もあります。ニーズが低い不動産をオークションにかけても、なかなか入札されず、不安な日々を過ごす場合もあるでしょう。

オークションにかけている間は、買い手を自分で探す売却活動ができないため、結局落札されなければ売却までに長い時間がかかってしまいます。早く売却したい場合にオークションを選ぶことはリスクになります。

信頼できる業者を選ぶ必要がある

不動産オークションは、様々な業者が行っています。それだけ業者の質も様々で、中にはトラブルを起こす業者もいるのです。信頼できる業者を選ぶのに時間と手間がかかり、売却が遅くなる可能性があります。

大手不動産会社が運営しているオークションサイトの利用をおすすめします。例えば、東急リバブル、野村不動産アーバンネット、三井不動産販売、東京建物不動産販売、三菱地所リアルエステートサービスの5社が共同で運営する「オークス」などがあります。

期待より安く落札される可能性がある

オークションでは、必ずしも多数の入札者が現れるとは限らず、場合によってはうまく価格が上がらず安く落札されてしまいます。ニーズに合った買い手を業者が探せなければ、それだけセリが活発に行われないでしょう。

どのような業者に情報を公開するのか、なぜその業者に公開するのか、担当者に詳しく確認することが大切です。

 

オークションか仲介か選ぶ際のポイント

オークションと仲介による売却は、いつまでに売却したいのか、いくらで売却したいのかを踏まえて検討しましょう。オークションは、成功すれば短期間で多くの利益を得られますが、入札者が現れないリスクを伴います。

仲介で買い手を探す場合、不動産の状況によっては売却までに時間がかかります。しかし、早く買い手が現れる可能性も十分にあるため、リスクが大きい方法とは言えません。このように、リスクだけを見ると、オークションより仲介を選んだ方がいいと言えるでしょう。

しかしながら、オークションにもメリットがあるため、まずは不動産業者に相談することが大切です。それぞれのメリットとデメリット、リスクを踏まえて、慎重に検討しましょう。

 

まとめ

不動産オークションは、うまくいけば高く売却できますが、場合によっては入札されずに終わります。オークションを成功させるには、適切な業者に情報を公開できるオークションサイトを利用する必要があるでしょう。信頼できる業者に相談して、最低落札価格や入札期間、対象者を正しく設定し、高く売却できる可能性を高めることが大切です。また、仲介業者を通した買い手への売却も踏まえ、オークションを選ぶかどうか十分に検討しましょう。

加藤 良大

加藤 良大

投稿者プロフィール

歴8年の専門記事ライター。不動産記事の執筆本数は500本を超える。不動産売却や税金の話、相続やM&Aによる不動産売買に関する記事を執筆。誰が読んでもわかりやすく、すべての疑問を解決できる記事の執筆を心がけています。

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