不動産投資のリスク一覧! 事前に知っておきたいデメリットと対策法
不動産投資と言えば、「将来的に多くの収入を得られて老後が豊かになる」、「投資家として莫大な資産を得られる」といったイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
ここで注意したいのは、不動産投資にはリスクがあるということです。不動産投資に成功するためにも、事前にリスクを確認しておきましょう。
ここでは、不動産投資が抱えるリスクと対策法についてご紹介します。
借金することでローンを組みにくくなる
不動産投資では、投資対象の物件を購入するために、多額の費用がかかります。一括で支払える方もいますが、物件によっては数千万円~数億円もかかるため、多くの方は金融機関から借り入れることになるでしょう。
毎月、家賃収入を得られるにしても、借金を背負っている事実は変わりません。また、年収に応じた借入可能額が法律で定められているため、不動産投資をしながらマイホームのローンを組むことができないケースもあります。
もちろん、優良な不動産に投資できれば、短期間で借金を完済でき、その後は不労収入を得られます。しかしながら、借金を背負うことは大きなリスクと言えるでしょう。対策として、手持ち金を多く出すことが挙げられます。
金利上昇によるローン返済額の増加
金利には固定金利と変動金利がありますが、不動産投資ローンはほとんどが変動金利です。そのため、返済期間中に金利が上昇し、毎月の返済額が増える可能性があります。変動金利は、半年に1回のペースで見直され、それにともない返済額は5年に1回見直されます。
ただし、金利上昇によるローン返済額の増加については、従来の1.25倍までと定められているため、生活が危ぶまれるほどの増額はされません。対策として、金利上昇も踏まえて投資額を決めることが挙げられます。
地震や津波などで不動産が被害を受ける可能性がある
日本は地震大国とも呼ばれるほどに、定期的に巨大地震が起こる国です。物件の耐震性や立地にもよりますが、いつ地震や津波の影響で投資物件として機能しなくなるか、まったく予測がつきません。
災害による物件の破損や汚染に対応している保険に加入することで、リスクを抑えられます。ただし、毎月の保険料が高くなるため、ランニングコストの面でリスクが高まります。
税金や修繕費などの費用リスク
不動産投資では、税金や修繕費などさまざまな費用がかかります。空室かどうかを問わずかかるため、状況によっては苦しい思いをすることになるでしょう。次のような費用がかかります。
管理会社に支払う賃貸管理委託費
物件を管理をする管理会社には、毎月管理費を支払うことになります。家賃の5~6%程度の費用となっているケースが多く、家賃8万円であれば約4,000~4,800円です。不動産を自分で管理することも可能ですが、本業があると、なかなか十分に管理ができません。
管理会社に委託すれば、入居者の募集や入居者のクレーム対応、家賃の集金、退去時のクリーニングの手配など、さまざまな業務を代行してくれます。
修繕積立金
継続的に家賃収入を得るには、不動産の資産価値を保つ必要があります。マンションは、経年劣化によって資産価値が低下し、見栄えも悪くなります。その結果、空室が目立つようになり、結果的に大きな損失に繋がるのです。
修繕には多くの費用がかかるため、修繕費を積み立てなければなりません。修繕積立金の額は、マンションの修繕計画によって異なりますが、築年数が経過しているマンションは修繕の回数が多いため、金額も高くなります。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産を取得したときにかかる税金です。次のように算出します。
・固定資産税評価額×4%=土地および建物の税額
なお、2021年3月31日までは、土地と住宅の税率が3%、住宅以外の家屋が4%となります。不動産取得税の納付は1回限りのため、税率が低いうちに購入することをおすすめします。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日の時点で土地や家屋を持つ人に課せられる税金です。算出方法は次のとおりです。
・課税標準額×標準税率1.4%=固定資産税
課税標準額は、固定資産評価額のことを指し、3年に1回の頻度で見直され、各市町村が算定します。そのため、時期によって固定資産税額も変動するのです。固定資産評価額は、次のように求めます。
土地・・・土地の面積×路線価
家屋・・・評点1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×経年減点補正率
なお、固定資産評価額は、固定資産税課税明細書に記載されています。固定資産税課税明細書が届く前に知りたい場合は、不動産を管轄する役所で固定資産税評価証明書を取得するか、固定資産税台帳を閲覧してください。
所得税
不動産投資によって所得を得た場合は、所得税が課税されます。ただし、次の諸費用は経費に計上できます。
- 仲介手数料
- 不動産管理費
- 修繕費
- 減価償却費
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 固定資産税
- 火災保険
- 交際費
- 図書費(不動産投資の知識を得るための本や新聞の購入費)
- 借入金の利息
- 交通費(不動産投資に関係するもの)
- 不動産投資に関わるコンサルティング費用
上記を踏まえ、所得税は次のように算出します。
・税率×(給与所得+不動産所得-所得控除)=所得税
経費をしっかり計上することで、所得税を抑えられます。
修繕費
物件の入居者が退去する際には、原状回復が必要です。入居者負担とオーナー負担があり、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿って原状回復をすることが一般的です。
経年劣化などはオーナー負担のため、退去の度にある程度の修繕費がかかります。また、エアコンなどの設備が自然に壊れた場合もオーナー負担で修理が必要なため、ある程度の時期になれば買い替えた方がいいでしょう。
修繕費を無理に抑えると、部屋の状態が悪くなり、次の入居者がなかなか現れない事態になります。そのため、修繕費がかかることを認識したうえで、不動産投資をするかどうか考えることが大切です。
また、特約を定めておくことで、オーナーの負担を抑えられるケースがあります。このあたりは、管理会社と話し合って決めるといいでしょう。
不動産の価値が思っている以上に落ちる
不動産の種類によっては価値が予想外に落ちて、収益が下がるケースがあります。建物は、築年数が経過するほどに価値が下がるため、事前に予測を立てたうえで投資先を決めることが大切です。
しかし、「人口の減少」や「デフレ」、「入居者の自殺や事件による事故物件化」など、予測が難しい原因で価値が下がる場合もあります。対策としては、政府が公表しているデータや不動産企業による分析を踏まえ、価値が大きく下がる見込みのない物件に投資することが挙げられます。
空室になり家賃収入を得られないリスク
賃貸物件への投資の場合、空室になると家賃収入を得られません。不動産投資の利回りは4~5%程度といわれていますが、どれだけ利回りがよくても空室になれば収益を得られず、借金の返済でマイナスになる可能性が生じます。
空室になる原因は、事故物件化、ターゲットが不明瞭、住みづらい間取り、アクセスが悪い、などが挙げられます。不動産投資の物件は、築年数以外の要素も踏まえ、慎重に選びましょう。
また、パートナーとなる管理会社の質も大きな影響を及ぼします。入居率が高いターゲット層が来店しても物件をうまく紹介できないなど、仲介能力が低いケースがあります。管理会社の入居率を事前に確認し、入居者の募集に強い会社を選びましょう。
家賃滞納のリスク
入居者の質が悪いと、家賃滞納のリスクが高まります。振り込みを忘れていたケースであれば、遅くとも1ヵ月以内に振り込まれるでしょう。しかし、生活費が不足している関係で家賃を滞納している場合、翌月以降の家賃も支払われない可能性があります。
家賃の督促は、家主ではなく管理会社が行うため、滞納時の滞納は事前に確認しておくことが大切です。また、家賃滞納時に家賃の80%程度を支払ってもらえるサービスを利用するのもいいでしょう。毎月、保証料を支払う必要がありますが、家賃の滞納による収益減のリスクを大きく減らせます。
まとめ
不動産投資と言えば、将来的に大きな財産を得られるイメージを持つ方もいますが、不確定要素を含むことを覚えておきましょう。どれだけ計算高く投資しているつもりでも、思わぬ損失を受ける可能性があります。信頼できる管理会社と契約し、リスクを抑えて不動産投資しましょう。