不動産投資ローンと住宅ローンは違うもの?スタートする前に知っておくべき、ローンの基礎知識

不動産投資を始めるにあたり、不動産投資ローンの基礎知識を把握しておくことは非常に重要であり、リスク回避にもつながります。株式投資などと比べると不動産投資は初期投資額が大きく、ローンを組んではじめるのが当たり前。だからこそ知識は重要です。後で後悔しないためには情報収集が必須なのです。

今回はそんな不動産投資ローンに関する基本的知識を、メリットとデメリットの面から3つずつご紹介します。収益物件を見つけ、不動産投資をスタートしようと思ったら、目を通して頂けると幸いです。

 

不動産投資ローンと住宅ローンの違い

まず最初に注目したいのは、「不動産投資ローン」と「住宅ローン」はどこが違うのかという点です。

もしあなたが家を購入したことがあると言うなら「住宅ローン」を利用したことがあるでしょうでしょう。結婚して家族を持ち、ある程度の収入が確保できるようになってきたときに見据える夢のマイホーム。その実現のために、住まいを購入する資金を銀行などから借り入れるのが「住宅ローン」です。

一方、「不動産投資ローン」は、「住宅ローン」同様に不動産購入のために銀行などの機関から融資を受けますが、文字通り、不動産投資のためであり、その内容は異なります。

不動産投資ローンと住宅ローン、それぞれの目的

まずはそれぞれの目的からみてみましょう。

住宅ローンの目的
→ 住宅購入の際、不足している資金を借り入れる。物件は自分や家族が住む家として活用される。

不動産投資ローンの目的
→ 投資物件を購入する際、不足している資金を借り入れる。購入した物件は他人に貸し付けて収益を得る。または、売却することにより差益を得る。

このように、物件購入に不足するお金を借りるという面では同じように見えますが、その物件の使われ方が違うということです。 

 

不動産投資ローンの3つのメリット、3つのデメリット

では、不動産投資ローンを受ける上でのメリット&デメリットを把握しておきましょう。

不動産投資を始めるとき、メリットばかりに目を奪われる人が多くいますが、投資に関わる内容ですので、デメリットをしっかりと抑えておきましょう。

不動産投資ローンのメリット

1.少ない自己資金で不動産投資を行える。

不動産投資となると株式投資と違い、ある程度の資本、原資となるものが必要になります。たとえば「不動産投資を行う=アパートを1棟購入して、家賃収入を得る」とイメージするとわかり易いのではないでしょうか。「中古のアパートでも1棟の値段はおおよそ3,000万円以上」、そんなイメージです。

すると、次に浮かぶ疑問は、「ある程度の貯蓄があって、自己資金のある人しか不動産投資は始められないのでは?」と思うのが自然です。そこで登場するのが、不動産投資ローンです。

私たちの身近にある「住宅ローン」では、「ローンは年収の5倍以内に抑える」ことが望ましいと一般的に言われています。たとえば年収600万円の方であれば、住宅ローンは3,000万円以内に抑えれば、普段の生活に支障なく、ある程度の急な出費に対応することも出来る状態であるとされています。

では、不動産投資ローンの場合はどうでしょうか。

さまざまな条件はありますが、年収の10倍、20倍まで融資が可能であったり、自己資金がなくても購入できたりします

住宅ローンとの大きな違いは、融資を受ける際の審査対象となるのが住宅ローンでは借主の年収による割合が大きいのに対して、不動産投資ローンは、借主の収入、資産などの属性に加え、投資する不動産の家賃収入も加味される点がポイントです。

このような理由から、不動産投資ローンの最大のメリットは少ない自己資金から始められる点が挙げられます。

2.投資スピードを早められる。

不動産投資ローンは資産が少額でも、ある程度の収入、信用があれば始めることができます。即ち、地道に貯蓄を増やし、資産を貯めてから投資をスタートする必要がないということです。大げさにいってしまえば、貯蓄が少なくても不動産投資ローンを受けて、さっそうと不動産を購入し、投資を始めることができる点は大きなメリットといえます。

こうしたスピーディーさは、投資の拡大にも大いに役立ちます。不動産投資を始め、家賃収入から月々のローン返済にあて、投資に必要な諸経費分の資金を貯めたら、更なる不動産投資ローンを組み、別の不動産購入へとつなげていくことも可能です。

住宅ローンであれば、住み替えをする時に前のローンは完済してからと考える人が多いですが、不動産投資ではそのようには考えず、新たなローンを組むという人が多くなっています。

3.不動産収入をローン返済に充てられる。

住宅ローンの返済資金は主に借主の収入、もしくは配偶者の収入、給与所得です。これに対して、不動産投資ローンの返済財源は、もちろん借主の収入でカバーすることも可能ですが、それ以外に、投資取得した物件から発生する家賃収入で返済することが可能です。

例として・・・

  • アパート1棟6部屋:3,000万円
  • 家賃、1部屋月60,000円
  • 頭金なし
  • 25年ローン
  • 変動金利、年利3.2%

月額のローン返済額は145,404円となります

仮に満室であれば月の収入は6部屋×60,000円=360,000円。

家賃収入の全額を返済にあてても360,000円-145,404円=214,596円が手元に残る計算です。

実際は固定資産税、賃貸管理費、修繕積立金などの諸経費が入って来るので、仮に家賃収入の10%を差し引いたとしても、満室であれば家賃収入は1カ月に324,000円。アパートの空室が仮に50%、半分が空室でも1カ月の収入は180,000円ですので、理論上、ローン返済は可能です(ただし他の要素は加味する必要があります) 。

不動産投資ローンのデメリット

1.収益の不安定性

たとえばアパートを購入し、家賃収入を得る不動産投資では、空室が生まれれば生まれる程、不動産投資の収益でローン返済を賄う不動産投資ローンのリスクは拡大し、最大のデメリットとなります。もとより購入時にある程度の空室は想定したうえで投資しなければいけませんが、その想定を上回る空室が発生することも否定できません。

適切な清掃、リフォームといった不動産管理を徹底したうえで、空室を埋めるための営業努力を行いつつ、それでも赤字が発生した場合は、その赤字を貯蓄、もしくは給与所得により埋めなければいけなくなることも。更に、そのような状態が続けばローン返済はやがて滞り、破綻することもあります。

2.債務が残る可能性がある

不動産投資に失敗すれば、負債を抱えることもあります。何らかの理由で空室が多くなる、自然災害に見舞われ不幸にも保険が適用されない、競合する物件の発生で魅力が無くなってしまうなど、理由はさまざまあります。どんな理由があるにせよ収入が激減し、ローン返済が滞ってしまうと運用できなくなってしまいます。

ただし、株式投資といった元本割れしてしまう投資と違い、不動産は現物なので、不動産の価値そのものがゼロになってしまうリスクはほぼありません

3.住宅ローンが借りづらい

住宅ローンを借り入れる際、返済中の車のローンやカードローンがあると、借り入れられる額面が少なくなるといった話を聞いた事はありませんか?

これは住宅ローンを組む際に、年間の返済額の割合が各金融機関ごとに決まっており、その返済額に車のローンやカードローンの返済額も加わってしまうためです。

たとえば年収500万円の方の年間の返済額が30%であるといった金融機関の場合、額面で言えば年間返済上限が150万円になります。金利3.5%、35年ローンと仮定した場合、借入可能な金額は3,024万円です。

このとき、仮に不動産投資ローンで毎月145,404円、返済に充てていたとします。すると、年間では1,744,848円返済していることになり、年間の返済上限が150万円を超えているので、住宅ローンの融資を受けることが出来ないといった事態が生じてしまいます。 

もちろん、なす術がないわけではありません。融資審査の基準は各金融機関によって違いますので、不動産投資を安定収入と判断してくれる機関に融資依頼を申し込む、また残債をなるべく減らすなどの工夫で住宅ローンを受ける可能性を持つことが出来ます。

 

ローン審査を通りやすくする3つのキーワード

不動産投資ローンを交渉する際に、ローン審査に通りやすくするためには3つのポイントがあります。それは「自己資金」、「個人属性」、「物件評価」の3つです。

自己資金

融資を受ける際、一般的に貯蓄があると有利とされています。これは頭金を多く入れるといったことではありません。もちろん、頭金を多くすれば融資を受ける額面もその分少額になり、融資を受けやすくなりますが、この場合は、資本金を手元にプールしていることにより、突発的な事象が発生した場合でもローン返済を滞ることなく、返済する能力があるとみなされるということです

個人属性

勤務先の企業の信頼性、勤続年数による帰属性、社会的立場といった経済的状況です。勤務先の資本金、売上高、規模といった点から派生する返済の安定性も審査対象になります。上場企業勤務者や、開業医などは有利と言われています。 

物件評価

購入する物件の利回り、収益性もローン審査の判断基準になります。収益性の高い物件は返済も安定して行うことが出来るとみなされるのは当然です。この物件評価の担保性が高いと、融資を受ける額面そのものや、金利にも大きく影響してきます。

 

さいごに

不動産投資ローンは、大きなリスクを伴う投資ローンです。だからといって、融資額を減らし自己資金ばかり増やしては、投資の拡大は図れず、収益を生むサイクルとしては小規模なものに留まりがち。投資サイクルを検討する際は、メリットデメリットをよく把握したうえで、シミュレーションを重ね、実り多きものをぜひ実現して下さい。

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