もしも家を建てようとして温泉が湧き出たら、夢の温泉入り放題の人生を手に入れられるか?

  • 2021/11/30
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「温泉権」という権利をご存知でしょうか?

「温泉に入れる券」ではなく、「温泉に関わる権利」です。

地震大国日本は、同時に温泉大国でもあります。
専門家によれば、「東京はどこでも掘れば温泉が出る」というほど身近なものらしい(ただしめちゃくちゃ深く掘らないと駄目らしいですが)。

それなら、もし家を建てる途中で温泉が湧き出たら?
夢の温泉入り放題の人生を手に入れられる?

という疑問がわいてきたので、今回は温泉権の話です

 

有名な温泉地の温泉付きキャンプ場

息子たちが小学校の頃、毎年20人から30人の子供が「自然体験」のような名目で、毎年キャンプに行っていました。

キャンプ場の目の前には川が流れ、(雨が降ると結構増水するのですが)そこに入り放題。(引率しましたが、気が気じゃない)
夜にはその川っぺりでキャンプファイヤーをし、夜は古いバンガロー的な建物の中で、なぜか若干湿っている布団で寝ます。

わが息子を含む都会っ子集団の子供たちは、翌朝には目が充血し、顔がぱんぱんに腫れるという、大自然体験でした。

では、なぜそうまでして、その地に毎年行ったのかといえば、温泉が湧いていたんです。いわゆる源泉掛け流し!

「温泉だから健康にいい!」が合い言葉でした。
子供たちの顔は腫れましたが・・・

そのそのキャンプ場は、老夫婦(70歳ぐらいに見えた)と息子(40代くらい?)が切り盛りしていました。
息子が、「もうキャンプ場経営はやめたい。誰か引き継いでくれないかな。俺は温泉の権利だけ持ってればいいや」 と言っていたのを覚えています。

当時、まだ30代前半だったうら若き(?)私は、その会話の意味が分からず、
「そうかこの人は、キャンプ場をやめても、ここの温泉に入りに来るんだな」とお気楽なことを考えたものです。

温泉権なんてあると知らずに・・・笑

ちなみに、キャンプ場の端にある、落ち葉がいっぱい入ってくる風呂には、水道の出る蛇口の他に、常に温泉がジャバジャバ。
ジャバジャバって言うか、ホースが浴槽の中に常に入ってるだけでしたが・・・

あたため直しもしていないようで、はっきり言ってめちゃ熱かったけど、それはそれでしょうがないのかなと思っていました。

 

温泉権とは?

さて、温泉権の話にうつりましょう。 

このキャンプ場の息子が、「温泉の権利だけ」と言っていたのは、温泉に入る権利ではなく、温泉をビジネスに活用する権利です。

実は日本には温泉権が設定されていて、社会的に価値が高いものとされ、不動産調査の対象にもなっています。

当然、民法にも規定があります。

民法第87条(主物及び従物)
第1項 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
第2項 従物は、主物の処分に従う。

で、そもそも温泉とは、25°以上の鉱泉(鉱物に由来する物質を含む湧水)のことを指します。

温泉と言うと、38度以上で、温泉によってはめちゃくちゃ熱いという印象がありますが、温泉として認められるのは25°c 以上。

結構なぬるま湯というか、温水プール並み?

これを温めなおして温泉としているところが多いんですね。

そして温泉権とは 、

①湧き出たり、汲み上げる温泉(源泉)を利用する権利

②汲み上げられた温泉水を、引湯(いんとう、ひきゆ:温泉を分けてもらう)する権利

の2つの権利のことを指します。

なんだかワクワクしてきますね。お金の匂いがプンプンしてきます。

 

温泉は誰のものか?

湯口権とは、上記の①の権利を指します。

温泉は地下を流れる水が温められて自然に湧き出していたり、それを目当てに人工的に掘削して組み上げたものです。
つまり、温泉自体は地下の水脈が表に出たということであり、たまたまその土地を持っている人のものだというわけではありません。

では公示はどうなっているかと言うと、
湯口と言われる「温泉が湧き出した地点」の周囲の土地を、鉱泉地(こうせんち)という地目で登記。
地中の温泉の権利を持っている人を「温泉権者」として土地の所有名義人とします。

なんだかややこしいですよね。

ちなみにこの土地の所有ですが、温泉の権利を持っているだけで、例えば家が建つとかホテルが建つというでっかい土地を持っているわけではありません。

実際には、鉱泉地の面積は一坪(3.3㎡)となっていることが多いようです。 

ちっちゃ!笑

もう一つ引湯権は、引湯権(いんとうけん)、分湯権(ぶんとうけん)、温泉利用権などの用語も使われているようで、そもそも引湯という漢字も「いんとう」だったり「ひきゆ」だったりと、めっちゃくちゃゆるい感じですよね。

なんか温泉って感じ、笑

この引湯権は、湯口から出る温泉水を自分の土地まで引いてくる権利です。

温泉地の多くは、温泉(湯口権)を共有財産としていて、そこからホテルやら別荘が引湯する権利を持っているという感じです。

 

たまたま温泉が出たら温泉権は自分のものにできるか?

では、家を建てようとたまたま深く、深~くほったら温泉が出ちゃったという場合はどうなるのでしょうか?

みんなが好き勝手に掘削して、温泉を大量に汲み上げるようになれば、お湯の量が減少する可能性があります。

温泉地はそれ自体が地域の産業になっていて、湯量が枯渇すると地域が全体がダメになることになります。

そうならないように温泉は保護され、多くの都道府県で温泉保護区域などを決め、掘削することを禁止していたり、厳しい条件をクリアしないと掘れないことになっています。

場合によっては、条例違反で処罰されたり、たまたま温泉が出た場合は蓋をさせられたりということもあるそうです。

何だ、かえって面倒くさいじゃん。

 

それでも温泉権付きの分譲地が欲しい人はどうすればよいか?

それでも、温泉付きの別荘が欲しい人っていますよね。

この場合は、湯口権ではなく引湯権がついた物件を購入するか、引湯権を購入することになります。

購入した後は毎月使用料が必要です。この料金体系は温泉によって違うようで、一定額を払っていればよい、いわゆるサブスクタイプと、基本料金を払った上に使用した湯量応じて料金を支払わせる従量制の場合があるようです。

しかも料金もまちまち。

さらに、別荘地などでその権利を譲り受ける場合、土地の売買契約の代金の他に、名義書換料みたいな名目で料金を支払うケースもあり、何かとお金がかかりそうです。

それでも温泉付きの別荘がほしい!という方は、ぜひ購入してください。

ちなみに、泉質によっては管理がめちゃくちゃ大変なことを書き足しておきます。

原田園子

原田園子ディレクター

投稿者プロフィール

「不動産の学校」のディレクター兼ライター。
住宅メーカーや不動産業者をクライアントに持っています。
不動産関連の取材実績も多数あり。
不動産投資から日々の暮らし記事まで、幅広く担当します。

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