マレーシアの長期滞在ビザ「MM2Hパス」の要件変更に見る海外移住のあり方

  • 2021/10/29
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不動産の学校_MM2H

先日、書店に行ったら、FIRE関連の書籍コーナーがありました。

FIREとは、SNSの炎上・・・ではなくて、「Financial Independence(経済的自立)、Retire Early(早期退職)」の頭文字をとったもの。

簡単に言えば、「若い内にお金を貯めて早期退職し、お金のために生きることから自分を解放する」というライフプランというか、概念みたいなものです

最近の若者、と言っても30代、40代の人々が注目しているようです。

また、FIREした人も、それから普通に退職した人も、悠々自適に暮らすには、日本より物価が安い海外で・・・と考えるかもしれません。

しかし、海外で暮らすには少し不安が・・・。

と言うのも、マレーシア長期滞在ビザ「MM2Hプログラム」の要件が大幅変更になりました。

これは、マレーシアだけでない可能性もあるわけで、この話をベースに、海外移住について考えてみたいと思います。

 

マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラムとは?

海外移住に憧れる人って多いですよね。

もちろんヨーロッパやアメリカなどの欧米諸国で暮らせれば、オシャレな暮らしができそうですが、物価が高くて、悠々自適とはいかない可能性があります。
となると、物価の安いアジア諸国が有力な候補地として上がってきます。

東南アジアの国々は、全体を見ると医療や衛生に不安があるところでも、一部の地域に限っては高度な医療高度を提供していたり、衛生状態も発達していたりします。

そういったところは、同じくリッチな生活を求めて海外ロングステイしている人が多く、セレブな暮らしができるわけです。

そんな人に人気だったのがマレーシア。
なんと、14年連続で「ロングステイ希望滞在国」1位に選ばれたそうです。

そして、長期滞在者に発給されるビザが、「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」です。

昨年からの新型コロナの影響で、1年以上停止していましたが、2021年10月より再開しています。

 

再開にあたり、要件が大幅に変更になった!

ところがこのMM2H。いろいろな要件が大幅に、と言うか、ビックリするほどに変更になり、世間を騒がせています。

例えば、収入要件。

これまでは、月額1万リンギット以上、日本円で言えば約26万円あればOKでしたが、改訂後は月4万リンギット、約104万円なければなりません。

え????
いきなり、4倍!!!!って感じですよね。

夫婦の収入は合算できるのですが、夫婦で26万円という条件なら不動産運営をやっている方なら比較的簡単に達成できる金額ですし、場所を問わずに働けるフリーランス人でも稼げる金額です。

でも、これが月額104万円となると、かなり高収入。なかなかすごい金額を出してきたな・・・と思うのは私だけではないはずです。

しかも、手取り金額なんですよね。
国によって税額が大きく違うので、長期滞在者が着実に手にできる金額を知りたいとなれば、手取りを基準にするのが手っ取り早いという話です。

日本の場合、ざっと言えば、年収2千万円くらいになるのかもしれません。
これって、かなりセレブな方々です。

また、資産要件も大幅に変更しました。

以前は50歳以上は50万リンギット(約300万円)以上、50歳以下は35万リンギット(約210万円)以上の資産を持っていることが条件でしたが、年齢に関係なく150万リンギットの流動資産となりました。

150万リンギットって、日本円で言えば、約3900万円!!

流動資産なので、不動産とかはダメなんですよね。

しかも、ビザ取得後にマレーシア国内の銀行に100万円リンギット(約2600万円)預けなければならないんです。

仮に、3900万円の流動資産を持っているとしても、その多くは株とか債券、あと電子通貨のようなもので運用するって人が多いはず。そう簡単には、定期貯金に移せませんよね。 

それでも、マレーシアの金利がめっちゃ高い!というなら問題ないのかも知れませんが、マレーシア中銀の政策金利は、19年1月に3.5%ほどあったものが、徐々に下がっていき、今では1.75%。

これじゃ、大して増えないですよね。

FIREを目指す人は、若いうちに資産を貯め、それを運用することで先の人生を暮らしていくわけです。そのために必要な金利は、5%ぐらいあると安心と言われています。

全然足りてない!!!

しかも厄介なのは、既にMM2Hパスを保持している人が、次の更新(延長)を迎える時も、新しい条件が適用されると言うこと。

猶予期間などはありますが、そう増えるわけないですよね。

これは、結構きついはず。

どうやらこれは、中国の資産家が大量にマレーシアになだれ込んだことへの対応策だとも言われていて、とばっちり感半端ない。

 

海外移住には要注意

海外移住するときは、日本に住まいを残したまま行く人は少なく、長期的に海外に住む、または、死ぬまでその国に住むくらいの勢いで行く人もいます。

しかし、その大前提は長期滞在ビザが安定していることとなりそうです。

今回のマレーシアがダメになっても、似た条件のタイやフィリピンなどに行くことも可能ですが、でもここで問題となるのは言語や文化が違うこと。

旅行に行くなら問題はないですが、長期的に住むとなると、相性が大切になります。

しかも、40歳を超えた辺りから、新しく言葉を覚えるのって結構大変では?

また経済状態や政治的背景が国によって違い、今は安定していても、ちょっとしたことで内戦が起きることもあったりします。

日本国内であれば、日本政府は自国民を守ろうとしてくれるのですが、海外だったら外国人になり、優先順位は変わりますよね。

また為替の価値が変わっていくのも怖いところ。

50万リンギットが、今は約300万円ですが、将来はもしかすると500万円になっているかもしれない。

日本は物価が上がらないのに、海外では上がっているところが多く、生活費もどんどん変わっています。

貨幣価値が変わらなくても、物価が変われば、「その程度の収入では、リッチな生活はできませんけど?」となる可能性すらあるわけです。

しかも、今発展を続けている国であれば、結構厳しめのインフレが起きるなんてことも珍しくはありません。

これはなかなか恐い。

海外移住する時は、日本でも十分すぎる金額を稼げるようになってから。

さらに行き先は真剣に考えて、最終的には日本に帰ってくることも選択肢に入れておくべきかもしれません。

原田園子

原田園子ディレクター

投稿者プロフィール

「不動産の学校」のディレクター兼ライター。
住宅メーカーや不動産業者をクライアントに持っています。
不動産関連の取材実績も多数あり。
不動産投資から日々の暮らし記事まで、幅広く担当します。

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