【連載】不動産投資の成功の鍵は「家賃査定」と「建物診断」にあり

株式会社アートアベニューの片平と申します。弊社は首都圏の賃貸物件約6500戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。
本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。

不動産投資の成功は、ほぼ買った時点で決まると言っても過言ではありません
購入時の検討が十分になされていないと、想定していた賃料でお部屋が決まらなかったり、予期せぬ設備故障で出費が続いたりといった事態に見舞われ、「こんなはずでは…」と購入後してから悔やむことにもなり得ます。
こうした悩ましい事態を防ぐためには、購入時に物件をきちんと見極めることが何よりも重要。見極めのポイントは「賃料査定」と「建物診断」です。




賃料査定は「コンペア式」がオススメ

最も簡単な査定方法は、「同エリア・同タイプの1㎡あたりの相場賃料×広さ(㎡数)」によって算出するものですが、物件にそれぞれ違いがある以上、これは正確な賃料とは言えません。
そこで弊社では、「コンペア式賃料査定表」(以下参照)を用いて賃料を査定しています。これは広さだけでなく、家賃を決める様々な要因ひとつずつを抽出し、類似物件と比較することで適正な賃料を算出する方法です。

簡単に手順を説明しましょう。
まずはエリア(最寄り駅・駅からの距離)、建物構造、広さ、主要設備など、家賃を決める大きな要因によって類似物件を絞り込み、その情報を集めます。
この際、注意しなければならないのは、募集中の物件よりも「成約した物件の事例」を集めるようにすることです。なぜなら、募集中の物件はまだ「値引き」の可能性を含んでいるため、これをもとに査定をすると結果が高めに出てしまうのです。

査定のブレを小さくするには、成約事例を用いるだけでなく、比較する数を増やすことも重要。最低でも5物件程度は比較したいものです。また、一般的な物件を査定するならば、高級分譲賃貸やデザイナーズといった極端な事例は省いたほうが良いでしょう。

 

情報収集の後は5大カテゴリーで比較する

類似物件の成約事例が集まったら、次はいよいよ「コンペア(比較)」です。コンペア式査定表にある5大カテゴリー(①物件、②間取り、③立地・環境、④設備、⑤募集条件)に属するアイテムごとに、購入物件と類似物件とを比較し、両者の賃料差を記入していきます。
最も肝心なのは、「アイテムごとの賃料差をいくらにするのか」です。

弊社では、築年数1年毎に0.7%、駅までの徒歩分数1分毎に0.7%、収納1間(1.8m)で2,000円程度、ウォークインクローゼットならば3,000円程度、インターネット無料で2,000円程度…という具合に、これまでの実績に基づいた一定の基準を設けています(これらはエリアや物件タイプにより異なります)。
この基準をもとに類似物件と賃料を比較していくと、最終的には購入物件の「適正な家賃」が査定できるという仕組みです。

ただし、気をつけなければならないのは、コンペア式査定はアイテムごとに賃料差を加減していく計算方法であるため、類似物件と比較してプラス(またはマイナス)の評価が続くと、最終的な査定結果が相場からかけ離れたものになりやすい点です。
そのため、最後には「調整」が必要です。調整値は、近隣相場や査定担当者の経験に基づいて決定しますが、担当者ごとの感覚の違いも考慮し、複数の担当者でのチェックを必須としています。最後の最後に、査定賃料と現在の募集相場とを並べてバランスを確認することも大切です。

 

理想は自分で査定、難しければ複数社に依頼を

物件購入時の想定賃料が適切か否かは、その後の不動産経営に大きな影響を及ぼします。できれば、大家さんがご自身で査定できることが理想的でしょう。
とはいえ、ご自身の査定結果に確信が持てない場合や、なかなか査定の時間がとれない場合には、いくつかの不動産会社に査定のご相談をされると良いと思います。これもひとつの「コンペア(比較)」ですね笑。

次回は、物件購入時における建物診断のポイントをご紹介したいと思います。

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/

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