駐車場を経営するメリット・デメリット&押さえておきたい注意点4つ
駐車場の経営を検討している人は、メリットやデメリット、注意点について確認しておきましょう。駐車場経営は成功すれば安定的な利益を得られますが、それが長く続くとは限りません。駐車場経営を始める際に初期費用もかかるため、十分に検討することが大切です。
今回は、駐車場経営のメリットやデメリット、押さえておきたい注意点をご紹介します。駐車場の経営を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
駐車場には2つの種類がある
まずは駐車場の種類を確認し、そのうえでメリットやデメリット、注意点について把握しましょう。
駐車場の種類は、大きく分けて次の2つです。
1.月極の駐車場
月極の駐車場は、月単位で契約して賃料を受け取る方式です。
契約者さえ現れれば安定的な収益を見込めますが、もし周辺に料金の安い駐車場があると集客に苦労する可能性があります。また、不法駐車によるトラブルのリスクが高く、対応に追われやすいことにも注意が必要です。
2.コインパーキング
コインパーキングは、必要なときに必要な時間だけ駐車スペースを貸し出す方式です。
利用者と契約を交わす手間がかからない反面、周辺に商業施設や公的施設などがなければ高い収益を期待できません。
駐車場を経営する4つのメリット
続いて、駐車場経営のメリットを詳しく紹介します。
メリット 1.初期投資が少ない
駐車場の経営は、少ない初期投資で始められることが最大のメリットです。
所有している土地をマンションやアパート経営に利用する場合は、高額な建設費用がかかります。一方、駐車場経営は区画線を引いたり料金収受器や車止めを設置したりするだけで、すぐに始められるのです。駐車場経営なら、総費用や保有資産によっては資金を借り入れることなく始められるかもしれません。
初期費用は、駐車場の規模や地面の状態で異なります。しかし一般的には、アスファルト舗装が1平方メートルあたり約4,000円~5,000円、料金収受器や車止めの設置が約30万円~50万円ほどかかりますので覚えておきましょう。
メリット2.狭い土地を有効活用できる
狭い土地や変形した土地は、マンションやアパートの経営には向いていません。狭い土地にマンションやアパートを建てた場合、必然的に戸数が少なくなるため、建設費用を回収できるまでに長い年月がかかります。
一方、駐車場経営であれば、車2~3台分の土地でも効率的に収益を得られる可能性があります。ただし、駐車場の回転率と稼働率の高い場所にあることが前提条件です。
メリット3.準備期間が短い
マンションやアパートの建設には1年以上かかる場合がありますが、駐車場であれば1~2カ月で完成することがほとんどです。区画線を引いたり車止めを設置したりするだけであれば、半月程度で駐車場経営を始めることも可能でしょう。
土地は所有しているだけで固定資産税がかかりますから、余っている土地があるならできるだけ早く運用を始めたいところです。
メリット4.やめるのに時間がかからない
駐車場経営は、やめやすいこともメリットの1つです。
区画線を消したり料金収受器や車止めを撤去したりするだけで、全く別の目的に土地を使えるようになります。仮に月極の駐車場に使っていたとしても、契約解除を伝えてから1カ月程度で退去してもらえるでしょう。
駐車場経営のデメリット4つ
駐車場経営を始めるなら、メリットだけではなくデメリットも踏まえて十分に検討する必要があります。
駐車場経営で考えられるデメリットは、次の4つです。
デメリット1.収益が周辺環境の影響を受けやすい
駐車場経営は、周辺環境の影響を受けやすいことがデメリットの1つです。
環境が良い土地で駐車場経営を始めても、時代とともに環境は変化するため、その変化に伴って収益が低下するかもしれません。
デメリット2.大きな収益を見込みにくい
平面式の駐車場は、マンションやアパートと比べると大きな収益を見込みにくいでしょう。
マンションやアパートは、階層が高ければ高いほど戸数が増えるため、より大きな収益を見込めます。一方、平面式の駐車場は面積分の駐車スペースしか確保できません。
立体式の駐車場を作ることで収益性を高めることは可能ですが、ある程度の面積が必要です。
デメリット 3.税金の優遇を受けられない
マンションやアパートを建てた土地は「住宅用地」の扱いとなり、固定資産税と都市計画税の優遇措置を受けられます。一方、駐車場経営では住宅用地の扱いとならないため、満額の固定資産税と都市計画税の納税が必要です。
また、住宅用地を相続する際にはマンションやアパートに「小規模宅地等の特例」が適用されて相続税を抑えられますが、駐車場に使っている土地の場合は特例が適用されません。
デメリット 4.周辺住民とトラブルになる可能性がある
駐車場を住宅街に作る場合は、周辺住民とトラブルになる可能性が少なからずあります。
中でも、車通りの少ない静かな住宅地の場合、駐車場の増加に伴って車の通行量も増加することから、騒音や事故などのトラブルに発展する可能性が増すのです。
騒音には基準値が定められており、範囲内であれば問題はありません。しかし、駐車場経営を始める前に騒音が起こるかどうか予想することは困難です。また、改造車が駐車場を利用するといった予想外の出来事により、周辺住民から苦情が入る場合もあるかもしれません。
駐車場の経営で押さえておきたい4つの注意点
駐車場経営では、注意点についてもしっかりと押さえておくことが大切です。
注意点を確認せずに駐車場経営を始めると、思っているほどの収益を得られなかったり、将来的に収益が低下したりするリスクが高まります。駐車場経営を始めるときは、次の注意点を必ず押さえましょう。
注意点1.的確な収益予想を立てる
収益予想を立てるときは、稼働率が7~8割になることを想定しましょう。常に満車の計算で収益予想を立てると、思っていたよりも収益を得られず後悔する可能性があるからです。
1年の収益は、
賃料×駐車台数×12カ月-管理コスト-税金
で算出します。
たとえば、駐車台数10台、賃料月2万円、管理コストと税金あわせて70万円の月極駐車場だと以下の計算となります。
2万円×10台×12カ月-70万円=170万円
この計算式によると、常に満車であれば年間の収益は170万円です。
では、続いて稼働率を7割にして計算してみます。
2万円×7台×12カ月-70万円=98万円
このように、稼働率が10割から7割に減るだけで年間78万円もの差が生じるのです。
駐車場経営を始めるなら、周辺環境を踏まえ、的確な収益予想を立てましょう。
注意点2.相場を加味して料金を決める
2つ目の注意点は、駐車場の賃料を周辺にある駐車場の相場に合わせることです。
周辺の駐車場よりも料金が著しく高いと、利用者がいつまでたっても現れない可能性があります。月極の駐車場は特に影響を受けやすいため、事前に十分な調査が必要です。
たとえば、月額の賃料相場が1万5,000円の地域で月額2万円に設定すると、年間で6万円もの差が生じます。これを事前に知っていれば、利用者が現れにくいことは容易に想像できるのではないでしょうか。
注意点3.需要が高い土地を利用する
駐車場の需要が高い土地を利用することで、空きが少ない状態を維持できます。
コインパーキングの場合は、周辺に商業施設や公的施設がある土地を選ぶのがオススメです。回転率が高いため、空きの時間を少なくできると考えられます。ただし、駐車場の台数を十分に確保している施設も多いため、需要については事前に調査しましょう。
他には、月極の駐車場を運営する場合に駐車場のないマンションやアパートが多い地域を選んだり、駐車スペースのない一軒家が多い地域を選んだりするのもオススメです。仮に他で月極の駐車場を利用している世帯が多かったとしても、賃料を低く設定することでこちらに引き込める可能性があります。
注意点4.周辺環境の変化を予測する
周辺環境は変化するため、将来の予測を立てることが大切です。
たとえば、数年後に大型ショッピングモールやアウトレットモールなどの建設予定がある場合は、土地の価格が高騰する前に購入しておくといいでしょう。
周辺に商業施設がある土地の購入を検討する場合は、商業施設の売り上げをチェックすることが大切です。業績が低迷している場合は、近い将来に取り壊される可能性があります。
まとめ
土地を所有していれば、駐車場の経営は少ない初期投資で始められます。しかし周辺環境が収益に大きな影響を及ぼすため、十分に検討することが大切です。また、固定資産税や都市計画税、相続税の優遇措置を受けられない点にも注意しなければいけません。駐車場の経営を目的に土地を購入する場合は、周辺環境や将来の予測を踏まえ、安定的に運用できる土地を選びましょう。