大家さんが入るべき3つの保険&付帯を検討してほしい6つの特約

  • 2020/1/23
  • 大家さんが入るべき3つの保険&付帯を検討してほしい6つの特約 はコメントを受け付けていません

マンションやアパートを運営している大家さんは、万が一の事態に備えて保険に加入しておくことが大切です。しかし、どの保険に加入すべきか迷っている人もいるのではないでしょうか。無駄に保険料を支払うことになるため、不要な保険への加入は避けたいですよね。

そこで今日は、大家さんが加入しておきたい保険の種類と必要性について詳しく紹介します。どんな保険に入ればいいのか迷っている大家さんは、ぜひ参考にしてみてください。


大家さんが加入しておきたい3つの保険

大家さんが加入を前向きに検討しておきたい保険は、「火災保険」、「地震保険」、「施設賠償責任保険」の3つです。それぞれの特徴や必要性、注意点などについて詳しく見ていきましょう。

1.火災保険

火災保険は、

  • 火災
  • 水害
  • 落雷
  • 風災

などによる損害を補償してくれる保険です。対象となる災害の種類を指定できるため、周辺環境や過去の災害傾向などを踏まえてプランを選びましょう。

中には、「入居者も火災保険に加入しているのに大家まで加入する必要があるの?」と思う大家さんもいるのではないでしょうか。

実は、入居者と大家さんとでは、同じ火災保険でも補償対象が異なるのです。

マンションやアパートの「建物」は、大家さんの所有物ですよね。そのため、建物に対する補償の付いた火災保険には大家さんが加入しなければいけません。一方、入居者が加入する火災保険の対象は「入居者の家財」です。自分の家財に対する保険は入居者が自分で掛けなければなりません。

つまり、大家さんは「建物」、入居者は「自分の家財」に対して火災保険を掛けるのです。

2.地震保険

地震保険は、「地震による建物の損壊」と「地震に伴う津波による被害」を補償する保険です。

地震大国と呼ばれる日本では、地震保険への加入は必須だと考えられます。というのも、地震による損害は火災保険や施設賠償責任保険などでは補償されないのです。そのため、地震による損害に備えたい人は地震保険に加入する必要があります。

火災保険と同じく、地震保険も補償の対象を選ぶことが可能です。マンションやアパートなどの「建物」は大家さんの加入した地震保険でカバーし、「入居者の家財」は入居者の地震保険でカバーする必要があります。

また、地震保険の保険料と補償内容は、保険会社や保険商品に関係なく一律です。

具体的にいうと、建物は一戸あたり5,000万円まで、家財は1,000万円まで補償を受けられます。ただし、地震保険で加入できる保険金額は、火災保険で加入した保険金額の30~50%が上限です。

たとえば、5戸の建物を所有している大家さんが合計2億円の火災保険に加入する場合、5,000万円×5戸となるため地震保険の上限は2億5,000万円となります。しかし、加入する火災保険の保険金額は2億円ですので、2億円の30~50%、つまり6,000万円~1億円以下の保険金額でしか地震保険には加入できないのです。

さらに、地震による火災は地震保険の対象になる点にも注意しなくてはいけません。

「地震と無関係な火災」による被害であれば2億円の補償を受けられますが、「地震による火災」の場合は地震保険の上限である6,000万~1億円までしか補償を受けられないということです。

3.施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、保有するマンションやアパートの欠陥・不備、設備の故障などが原因となり、人にケガをさせたり人の物を壊したりした際に補償を受けられる保険です。

具体的には、

  • 外壁の落下によって通行人がケガをした
  • エレベーターの故障により住人がケガをした
  • 駐車場の昇降機が故障し、住人が挟まれてケガをした

といった大家さん側に過失がある場合は、補償を受けられます。

施設賠償責任保険は保険料の割に補償内容が充実しているため、大家さんは加入を前向きに検討しましょう。

大家さんに加入を検討してほしい6つの特約


大家さんが加入しておくべき保険には、さまざまな特約を付けられます。

ただし、特約を付けると保険料が上がりますので、本当に必要かどうかは十分な検討しなければいけません。中には加入の必要性が低い特約もあります。

ここからは大家さんに検討してほしい特約を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.家主費用特約

家主費用特約は、入居者の死亡事故によって受けた損害を補償してくれる特約です。

入居者が死亡した場合、

  • 清掃
  • 消臭
  • 遺品整理

といったさまざまな対応に費用がかかるだけでなく、対応が完了するまでは新たな入居者と契約できないため、家賃収入も減少します。さらに、一定期間は家賃を値引きしなければいけない場合もあり、さまざまな損害を受けるのです。

一方、家主費用特約を付けていれば、入居者の死亡事故による損害を補てんできます。

少子高齢化に伴ない、今後は孤独死が増加するかもしれません。十分に備えておきましょう。

2.家賃収入特約

家賃収入特約は、火災や災害などの損害によって受けた家賃収入の減少を補償してくれる特約です。

火災保険では建物や入居者の家財に対する補償を受けられますが、修繕中の空室期間に受けた家賃収入の減少は補償してもらえせん。だからこそ、家賃収入特約の付帯がオススメなのです。

家賃収入特約を付帯するには、3か月や6か月などの補償期間を事前に決める必要があります。中には「3か月程度でいいだろう」と思う人もいるかもしれません。しかし、大きな修繕が必要な場合は空室期間も長くなるため、補償期間を考えるときは注意が必要です。

3.居住用建物電気的・機械的事故特約

居住用建物電気的・機械的事故特約は、マンションやアパートの

  • 空調
  • 照明
  • 給湯器
  • 駐車場設備

などに電気的・機械的な問題が起きて故障した場合、その修理費用を補償してくれる特約です。

ただし、対象となる事故は限られており、落雷や消耗、劣化などで起きた事故の場合は補償されません。補償の対象になる事故かどうかを素人目で判断するのは難しいため、専門業者に確認してもらいましょう。

4.マンション居住者包括賠償特約

マンション居住者包括賠償特約は、日常生活の中で起こった事故や漏水事故によって発生した費用を補償してくれる特約です。ただし、漏水の場合は大家側に責任があるケースに限ります。

補償される費用は、次のとおりです。

  • 緊急措置費用
  • 示談交渉費用
  • 訴訟費用
  • 権利保全行使費用

そのほか、保険によっては示談交渉をサポートしてくれる特約もあります。保険会社によって補償範囲が異なるため、事前に確認しておきましょう。

5.防犯対策費用補償特約

防犯対策費用補償特約は、不法侵入による犯罪行為が発生した際に、再発防止を目的とした建物改造にかかる費用を補償してくれる特約です。

たとえば、次の改造は対象となります。

  • 鍵の交換や補強
  • 防犯シャッターの設置
  • 侵入者探知センサーの設置

防犯装置を設置するために掛かった費用であれば、基本的に補償の対象です。

防犯設備が充実していれば入居を検討する人にも好印象を与えられるため、防犯設備は積極的な導入をオススメします。

6.事故再発防止等費用特約

事故再発防止等費用特約は、

  • 火災
  • 落雷
  • 爆発
  • 盗難

などの事故で損害保険金が支払われる場合に、再発防止対策にかかる費用が補償される特約です。

たとえば、盗難事故の再発防止策として防犯機能が高いディンプルキーに取り換えたり、火災の再発防止策として自動消火機能の付いたガス台を設置したりするのにかかる費用が補償されます。

ただし、補償の対象となる再発防止策は保険商品によって異なるため、事前に補償内容を確認しておきましょう。

まとめ

マンションやアパートを運営するなら、入居者が加入する火災保険や地震保険とは別で大家さんもしっかりと保険に加入することが大切です。また、地震保険を除く各保険および特約は保険会社によって補償内容や保険料が異なります。物件周辺の犯罪率や水害、火災などのリスクを確認し、その物件に必要な保険かどうかを十分に検討しましょう。

もしひとりで保険を選ぶのが大変なら、大家さん向けの保険を取り扱う代理店に相談するのもオススメです。マンションやアパートの状態・予算などを伝えれば、きっと良いアドバイスをもらえますよ。

加藤 良大

加藤 良大

投稿者プロフィール

歴8年の専門記事ライター。不動産記事の執筆本数は500本を超える。不動産売却や税金の話、相続やM&Aによる不動産売買に関する記事を執筆。誰が読んでもわかりやすく、すべての疑問を解決できる記事の執筆を心がけています。

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