激動の2020年の米株式市場を振り返って、アメリカの偉大さと底力に驚いた!

  • 2020/9/10
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2020年は間違いなく教科書に載るだろうし、いつまでたっても、「あ~、あの年ね」と語り続けられると思います。その理由はオリンピックまで延期させてしまった、小さくて見えない敵、新型コロナウイルスの世界的大流行となった年だから(2021年にはもう思い出になっていてほしいと切に願っていますが)。

世界中が大混乱に陥ったのはまぎれもない事実で、混乱はまだ続いています。ステイホームの中、世界的が大恐慌になって、にっちもさっちも行かなくなった国と「この混乱に乗じて領土拡大だ!」と暴挙に走る国がでてきて、世界的な戦争が起こり、世界地図が書き変わるのでは?なんて思った方もいたかもしれません(私の友人はマジで心配していました、笑)。

しかし、現段階で言えるのは、大混乱に陥りつつも世界地図が書き変わることにはならなそうだということ。そして、アメリカの底力ってすごいなと、素直に思ったのです。

ということで、コロナに翻弄されまくった2020年の春~夏を、アメリカの株式市場をベースに見ていきたいと思います。

コロナ前、アメリカの株式市場は絶好調すぎた

2019年末。「来年はオリンピックイヤーだ!」と湧いていたころ、NYダウは28,538ドルで取引を終了しました。この数字は、近年で記録的な好調さを誇るもの。夏に米中貿易摩擦でごたごたし、FRBが7月以降、3度連続利下げして政策金利を0.75%引き下げたなどがあったとは言え、結果としては何とも素晴らしいものでした。

2019年の1年間で見ても、NYダウは22%も上昇し、S&P500種株価指数は29%の上昇ですから、「アメリカってすごいな~」と心の底から大絶賛したものです。

年が明けると、いろいろなメディアで今年の予想が発表されます。

マネクリの「2020年の米国株式市場の見通しと注目イベント」 では、

  • 米大統領選
  • 米中貿易摩擦
  • 中東情勢
  • 米国の金融政策の行方
  • 米国株式市場予想

という5ジャンルで分析を行っていました。他も大体同じような感じ。もちろん、コロナショックが起こるなんて、誰も予想していません(笑

実際、年始は、5G関連株が相場をにぎわしてスタートします。

東洋経済ONLINE「2020年の株式相場をリードするテーマは何か~世界規模の経済波及効果1300兆円が動き出す」では、

主要国の中央銀行は緩和的な金融政策で足並みをそろえている。堅調な景気と空前の「金余り」が織り成す「適温相場」が、今年も世界中の主要な株式市場で続くことになるかもしれない。

と書かれています。中国や香港、北朝鮮、中東。それに、2019年からがたつき続けているイギリスの問題など、各方面には不透明要因があるものの、それなりにぬるっと上昇基調だと予想する人が多かったわけです。

ちなみに、同じく東洋経済ONLINEには、「2020年に「日本株ブーム」が来ると予想する理由」や、「日本が「失われた20年」から脱却する3つの理由」なんて記事もあったりして、日本国民としては心躍ったものです。

1月になってもなお、アメリカの株式市場は絶好調。上昇の勢いは衰えず、ダウ工業平均株価をはじめとした主要株価指数は、史上最高値の更新を続けていきました。

忍び寄ってきたコロナ。それでもアメリカは堅調だった

2月になるとちょっと不穏な空気が漂い始めます。中国の武漢市から拡大した新型コロナにより、1月23日から都市封鎖が始まり、死者も増加。中国経済がマヒしてきます。さらに、フィリピンでも死者が出たことで、ちょっとやばいかも?となったわけです。

しかし、このタイミングでのやばいと言った理由は、コロナ自体がどうのこうのではなく、世界で2番目の経済規模を誇る中国が機能停止に陥ることでした。具体的には、

  • 中国の需要の減退
  • 中国から世界に供給している素材や工業製品の供給停止による混乱

と言った感じ。今は中国は世界経済のあらゆるものに大きく関係しているわけで、それが揺らぐことに対する不安だったのです。

たとえば、2月18日のテレ朝ニュースでは、「アップル製品が不足に?感染拡大で売上高が減少」として、アップルは感染が拡大したことで中国の生産拠点が十分に稼働できなくなり、iPhoneの供給が不足していること。今後、世界的に商品不足になる恐れがあること。同時に、中国にあるすべての店舗を一時的に閉鎖したことで、販売にも大きな影響が出ていることを報じています。

ところが、世界中が「なんかヤバい?」とビビりだしたこの頃になっても、アメリカ株は史上最高値を更新。2月12日にはダウ平均株価が最高値を記録しています。

ちなみに、アメリカで初の新型コロナ感染者が確認されたのは1月21日。完全に無視ですよね。当時のアメリカは、「コロナよりも大統領選」という感じで、株価はアメリカの一人勝ち状態でした。

2月下旬になると、ど派手に暴落

ところが!

好調だったのはここまで。

2月下旬になると、アメリカ株は大暴落をはじめます。NYダウは2月20日から27日まで続落。直近高値からの下落率は12%となり、この時点で、「2008年の世界金融危機以来の大きな下落率」と報道されます。

この頃は、新型コロナ感染者数が欧州で増加し、「アジア人の病気」から「世界の問題」に認識が変わった時期でもありました。そして、2月初旬まであった楽観ムードは一転したわけです。

3月~4月のトピック

この後のアメリカの株式市場はまさに暴落の一途。トピックを並べてみます。

3月9日
ダウ平均株価が-7.79%の大暴落。「Black Monday I」と呼ばれる。

3月11日
WHOが、「新型コロナの流行はパンデミックだ」と表明

3月12日
上記を受けて、世界中で株価が大暴落

ドイツ株価指数 -12.24%
イタリアFTSE MIB指数 -16.92%
アメリカダウ平均株価 -9.99%

この日は「Black Thursday」と呼ばれる。

3月19日
イタリアの新型コロナによる死者数が3405人に。ウイルス発生源の中国を上回る

3月23日
NYダウが大幅続落し、1万9000ドル台を割り込むみ、16年11月以来となる低水準に。
これが底となる)

3月26日
アメリカの新型コロナの感染者数が8万3500人になり、世界最多に。
3月第3週の新規失業保険申請件数が328.3万件に。前週比+300.1万であり過去最多だと発表。それまでの最多記録は第2次石油危機後の1982年9月26日~10月2日の69.5万件。約5倍!!

3月27日
トランプ大統領が過去最大、2兆ドル(約220兆円)規模の景気刺激策法案に署名
ちなみに、この頃の日本は、アベノマスクの配布すら決まっていない頃です(マスク配布が決定したのは4月7日)。中国も近いし、ダイヤモンドプリンセス号を抱えた国なのに。

結局3月のアメリカの株価市場は大暴落の一途で、月間・四半期ともに過去最大の下げ幅を記録することになりました。

4月2日
新規失業保険申請件数が664.8万件に。1週間で倍増!!

4月3日
世界全体の新型コロナ感染者数が100万人を突破。感染者数1位はアメリカ

ここからのアメリカの感染者数、死亡者数の快進撃(?)は皆さんもご存じでしょう。8月末に発表された数字では、

アメリカの感染者の合計数 6,032,112人(世界全体では、25,334,339人)
アメリカの死亡者数 183,279人(世界全体では、848,084人)

これ、もし日本で起こったら大パニックですよ。人口がアメリカ3.3億、日本1.3億人と2.5倍くらいの差がありますけど、これを差し引いてもヤバいです。

その後、株価はしっかり上がり、好調だった12月の水準に

その間、ニューヨーク州がロックダウンするなど、これまで考えられなかったようなことがいろいろとあったわけです。ところが、株価は3月23日を底にして徐々に右肩上がりになり、8月末現在、NYダウは2019年12月頃と同じような数値に戻っています

冒頭でも書きましたが、2019年12月は、「記録的な好調さ」だった頃です。確かにいろいろな政策が経済を下支えしての結果であり、大統領選を控えて不景気は何としても避けたい大統領の思惑も大いにあるのですが、それにしてもすごいじゃないですか!

コロナショックでアメリカの株式市場が大暴落をはじめたころ、「アメリカ株の急落は、新型コロナ有無にかかわらず、起こるべくして起こった」と豪語していたエコノミストがたくさんいました

たとえば、東洋経済ONLINEの「「Dr.コッパー」は「コロナ暴落」を予言していた~新型肺炎による市場の異変は「察知」できた」 では、

今回のアメリカ株急落に新型コロナウイルスの感染拡大懸念があるのは言うまでなく、それを否定するつもりは毛頭ない。ただし、株価急落の要因を、全て新型コロナウイルスに求めるのに違和感があるのも事実だ。バブル的領域に達していたアメリカ株の急落は、新型コロナウイルス発生の有無にかかわらず、起こるべくして起こったと言えなくもないだろう。

と書かれているんですよね。つまり、バブルだったと。

他にも、Fintech「【新型コロナ】米経済崩壊への最悪のシナリオ、これから3カ月で何が起こるのか」では、失業率は30%超えるかもなどと書かれていて相当ビビりました。

当時は納得しかない環境だったわけですが、結局は稀有だったということ。こんなにも急激に回復するなんて、誰も予想できなかったのではないでしょうか。

これからどうなるのかは誰にもわからない

直近の8月31日発行の「週刊2分でわかるNYダウ」では、冒頭、こんな書き出しでレポートが公開されています。

「上げが止まらない」

新型コロナウイルス禍の中、株式相場の上昇が止まりません。政治の不透明感、企業と消費者の心理悪化にもかかわらず、株価上昇が続きました。

ダウ工業株30種平均は先週、前週比で723.54ポイント、率にして2.6%高い2万8653ドル87セントで引けました。S&P500種株価指数は3.3%高の3508.01で取引を終え、最高値を更新しました。テクノロジー株の比重が大きいナスダック総合株価指数は3.4%高の11695.63。こちらも最高値、小型株の指数であるラッセル2000は1.7%上昇して1週間の取引を終えました。

私は素人ながらに思うわけです。2020年のアメリカ株式市場を振り返ると、やっぱりアメリカってめちゃくちゃ莫大なパワーを持っているし、落ちるときはめちゃくちゃ落ちるけど、それを短期間で持ち直すパワーは半端ないなと

とはいえ、これから大統領選挙もあるわけで、どうなるのかは誰にもわかりません。

それでも私はあえて言いたい。

すごいな、アメリカ。
一生ついていきます!笑

と言うことで、最後にひとこと。

ここに書かれたことは、経済の素人が素人なりの分析をし、好き勝手に書いたものです。これからどうなるかはたくさんのデータをお持ちのエコノミストの方々の意見を見るしかありませんので、あしからず。

原田園子

原田園子ディレクター

投稿者プロフィール

「不動産の学校」のディレクター兼ライター。
住宅メーカーや不動産業者をクライアントに持っています。
不動産関連の取材実績も多数あり。
不動産投資から日々の暮らし記事まで、幅広く担当します。

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