
噂では不動産投資よりも利回りの良い投資先として名前のあがる、コインランドリー経営。まずはコインランドリー経営がどのようなものなのか包括的に把握して、自分の投資先として適しているかどうか、検討してみてはいかがでしょうか?
ここでは経営のしくみと、メリット・デメリット、コインランドリー経営のシミュレーションを、1つずつ説明します。
コインランドリーとは
今やコンビニ1社メーカーほどの数もあるといわれる「コインランドリー」。みなさんはご利用になられたことはありますか?
コインランドリー自体は今も昔もさほど変わりはありません。大型、中型の洗濯機と乾燥機が置いてあり、洗濯、乾燥のために人が訪れる場所。今も新たな付加価値や、革新的サービスが加わったといったことはなく、恐らくみなさんのイメージ通り、雨の日に乾燥機を利用したり、布団など大物の洗濯をしたりする場所がコインランドリーです。
しかし、都心を中心に爆発的に増加していると言われています。その原因を探っていきましょう。
コインランドリーが増える要因は?
何故コインランドリーが増えているのか?
投資家目線でいえば、何故コインランドリー経営が増えているのか?
要因としてあげられる、幾つかの要素があります。
女性の社会進出による、家事のコンパクト化
今までパート・アルバイトとして働いていた女性たちの多くが正規雇用され、社会進出することにより、会社から帰ってから支度する家事を簡素化する傾向にあることが、コインランドリー需要に繋がる1つの要因としてあげられます。残業で遅くに帰るとなると、夜に近隣の迷惑にならないように洗濯機をまわすことが出来ない場合もあるでしょう。
手抜きをしているということではなく、より効率的にプライベートな時間を確保するためであり、また既婚者の方は夫婦で家事を共同分担し、より暮らしやすい時間を増やすためでもあります。当然ですが、そうした家事の簡素化、時短に洗濯も含まれます。そこで活躍するのがコインランドリーなのです。
また、コインランドリーも進化し、ITを活用することで、「洗濯している間、ひたすら待つ」ということがなくなったこともあります。洗濯が終わる10分前になるとスマホに連絡が来ることで、無駄もなくなりました。
衛生面の浸透。屋外に干すよりランドリー利用の方がいい
最近では、花粉症のため、外に干すことを控える方が増えているようです。花粉症の季節も春とは限らず、一年中あるので、一年中室内干しなんで方も。更に、PM2.5を予防する方もいらっしゃいます。そうした衛生面を考慮して、室内干しの代わりにしっかりとコインランドリーで乾燥させ、且つ、スニーカーなどを洗濯、殺菌処理を行うこともあります。
以前は、コインランドリーでの洗濯に衛生面での不安を抱く人は多かったものですが、改善し逆転した背景には業界の努力も欠かせないものです。
コスパを考えてコインランドリーを利用する
羽毛布団などもコインランドリーにある大型洗濯機で洗濯、乾燥させることが出来ます。例えば洗濯なら1,000円前後で可能です。一方、クリーニング屋さんに羽毛布団を持ち込むと、おおよそ5,000円前後いったところでしょうか。経済的に羽毛布団を洗うことがコインランドリーでは可能なのです。
コインランドリー経営のメリット・デメリット
コインランドリー経営を行う上で、メリット・デメリットは何があるでしょう。1つ1つ、確認してみましょう。
機械代金、設備投資で経営が始められる
コインランドリー経営はコインランドリーを設置する建物、土地が必要になりますが、その他に必要となるのは主に設備投資です。機械設備にあたる大型洗濯機、洗濯機、乾燥機、両替機などがそれにあたります。2019年現在、他にもいくつか諸条件はありますが、「中小企業経営強化税制」を適用することが可能となる場合があるので、「即時償却」をすることが出来、投資金額の70%の即時償却対象金額として認められ、大きな節税対策をすることが可能です。
たとえばコインランドリー経営を個人事業主として行う場合、3,000万円の投資に対して、70%の即時償却を行えたとすると、2,100万円の即時償却金額です。すると、事業所得として仮に年間2,500万円得た場合、2,500万円-2,100万円=400万円が課税対象の所得になり、かなりの節税になりますよね。
人件費がほとんどかからない
コインランドリー経営において、人件費はさほどかかりません。施設内の清掃、備品補充、トラブル対応が業務のほとんどで、常時人を配置することはなく、人件費に経費を割かれることがないのは大きなメリットです。
空き店舗、遊休地を活用出来る。
空き店舗、遊休地を所有している場合、コインランドリー経営でその場所を活かすことが出来ます。仮にその場所が変形地であっても、必要とする機械設備を設置することが出来、駐車場スペースを確保出来れば、営業は可能です。
長期的に収入が見込める
コインランドリー経営はランニングコストが低く、諸経費として水道、ガス、電気などの高熱費、wi-fiなどの通信費、洗剤などの備品代程度しかかからない為、高い粗利率を実現することが出来ます。また、何か在庫を抱え販売するといった事業形態ではなく、洗濯機や乾燥機といった機械設備が稼働するだけで利益を得ることが出来るので、生活に密着したコインランドリー経営は景気に左右されることなく、長期的に収入を見込むことが可能です。
コインランドリー経営のデメリット
メリットが多いコインランドリー経営ですが、もちろんデメリットもあります。
開業費が高額であること
大型洗濯機、乾燥機といった機械設備投資がコインランドリー経営をするうえでの大前提となる為、初期投資が高額になってしまう点が、コインランドリー経営の1番のデメリット。小、中規模であっても2,000万円~3,000万円は見積もる必要があります。そのため、手持ち資金で始めることが難しい方も多く、銀行などから融資を受けてコインランドリー経営を始める方がほとんどと言っていいでしょう。
トラブルが多い
ランドリー経営は基本無人です。しかも、仕事終わりの方が利用できるように、夜遅くまで営業しているところがほとんど。それ故、若者たちのたまり場になることも多く、ホームレスが雨風をしのぎに利用することも。また、無人であることから両替機が襲われたり、下着泥棒が発生したりと、犯罪が生じることもあります。
また、トラブルは機械的なトラブルもあります。洗濯機が故障で動かなくなることもあれば、いたずらで機械がダメになることも。そうした場合に対応するのも、個人経営の場合は自分が機械マニュアルとにらめっこしながら対応することになるので、手間が生じ大きなデメリットと言えるでしょう。
コインランドリー経営の事業形態
コインランドリー経営の事業形態は大きく分けて2つあります。個人事業主として自己経営する形態と、大手企業などと提携するフランチャイズ経営形態です。
自己経営
自己経営は文字通り、自分で切り盛りしていく事業形態です。この場合、それなりのコインランドリー経営に関するノウハウを持っている、もしくは助言をもらうことが出来れば良いのですが、いきなり素人で始めるにはかなりの労力が必要となります。それは次で説明するフランチャイズ経営で代行してくれる業務を、すべて行うことになると考えれば良いでしょう。
フランチャイズ経営
フランチャイズ経営はコンビニエンス経営をイメージするとわかり易いでしょう。1番最初に考えなければいけない事業計画の策定から、機械設備の修理対応まで広範囲に渡って面倒を見てくれます。ただし、おおよそ50万円前後の保険加盟料や、月々1万円~5万円程度のロイヤリティを支払うタイプなど、ある程度の支出を覚悟する必要があります。
フランチャイズ加盟店になると一般的に行ってもらえる業務
- 事業計画策定
- 市場調査
- 出店準備
- 販促活動
- 経営ノウハウのマニュアル完備
- 24時間トラブル対応電話窓口
- 機械設備の修理対応
- 清掃、洗剤、柔軟剤などの備品補充、発注
- 集金
コインランドリー経営シミュレーション
おおまかな営業におけるシミュレーションを立ててみましょう。都市部からは離れた郊外地域で、中規模店舗、駐車場付きの物件を賃貸すると仮定します。
- 平均単価・・・1人あたり約500円
- 1時間あたりの利用者・・・3人
- 18時間営業(朝6時~夜12時まで)と仮定。
- 1日あたりの平均売上・・・27,000円(時間あたり平均売上げ1,500円で、18時間営業の場合)
- 月(30日)の売上・・・27,000円×30日=810,000円
- ランニングコストを25%とした場合・・・202,500円
- ロイヤリティ・・・月10,000円
- 家賃・・・150,000円
- 融資返済額・・・月100,000円
上記と仮定した場合、手元に残るのは347,500円です。実際は更に細やかなシミュレーションが必要となりますが、まずはおおよそのイメージを掴むことが出来るのではないでしょうか?
上記で計算した場合、利回りの計算を粗利益×12ヵ月/投資額×100で算出するとして、3,000万円融資を受けたとしましょう。
347,500×12ヵ月/3000万円×100=13.9%
上記の利回りは13.9%となり、かなり優秀な数字です。実際はもっと細やかな数値が必要となり、経費、税金と引かれるものが生じ、数字も低くなると想定されます。
さいごに
コインランドリー経営について、おおまかなイメージは掴むことは出来たでしょうか。メリット・デメリットを良く考慮した上で、実践するしないに関わらず、更なる具体的細やかなシミュレーションを立ててイメージすることが、成功への近道となることでしょう。