【連載】高齢者受け入れを武器に!見守りと保険で叶える高齢化社会の安定経営 

株式会社アートアベニューの安藤と申します。弊社は首都圏の賃貸物件約6500戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。
本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。

「70歳で単身のお客様なのですが、入居は可能でしょうか」

近年、仲介会社からこのようなお問い合わせをいただくことが増えたような気がします。
実はこれ、決して気のせいではないようで、単身の高齢者は全国的に増加傾向にあるとのこと。2019年4月発表の国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によれば、2040年には世帯主65歳以上の高齢世帯の40%が、東京や大阪に至っては高齢世帯の45%超が『独り暮らし』になるといいます
今後20年で急増する単身の高齢者。当然、こうした方々の賃貸需要も高まると思われますが、現時点では入居申し込みがあっても敬遠してしまう不動産オーナーが少なくないようです。




大きな損失を生みかねない『孤独死』のリスク

単身高齢者を敬遠させてしまう一番の原因は、やはり『孤独死』のリスクかと思います。
高齢者の独り暮らしの場合、家族は遠方住まい、自身は年金暮らしで仕事をしていないなど、社会とのつながりが薄いケースが珍しくありません。そうした状況でいざ孤独死が起こってしまうと、遺体の発見に時間がかかる確率も高くなります。

発見までの時間が長ければ長いほど、遺体の腐敗による建物へのダメージも深刻なものに。原状回復には多額の費用がかかることになり、当社の過去の事例では、1Kのお部屋で100万円以上の施工費がかかったケースもありました
加えて、再募集時はいわゆる事故物件として、重要事項説明での告知義務が生じます。必ずという訳ではありませんが、状況によっては1~3割程度は賃料を下げないと決まらなくなるため、結果として退去時・募集時の両方で大きな損失が発生することとなります。

 

多様化する見守りサービスの利用でリスクヘッジ

しかし、だからといって高齢者を一切受け入れない、とするのも早計ではないでしょうか。少子高齢化が進む中で高齢者を排除し、若者だけを選ぶ戦略を採れば、空室リスクは当然に高まることになるからです。
また、単身高齢者も見方を変えれば、退去リスクの少なさ・入居期間の長さ・安定した年金収入からの滞納リスクの小ささなど、プラスの面も十分に見えてきます。要は、『孤独死させない/万一の際は早期発見』を徹底できれば、単身高齢者も優良入居者となるはずなのです。

具体的な孤独死予防策としては、やはり「見守りサービス」の利用が王道でしょう。少し前まではセンサー等の設置に工事が必要、月額のコストが高額、入居者としては監視されているようで気が休まらない、などの理由から、あまり賃貸物件には向いていないとされていましたが、昨今はIoT技術などの進歩によって様々な高齢者見守りサービスが生まれています。

例えば、アイキューフォーメーション社の『見守り電気』。こちらは、AIが過去数ヶ月間の電気使用データを元に「いつもと違う電気の使い方」を検知し、”疑わしい状況”が発生した際に連絡してくれるという見守りサービスです。特に優れているのは、導入にあたって工事の必要がなく、契約する電力会社を切り替えるだけで使用できる点。月額コストも1世帯あたり数百円と手軽です。

また、センサーや通信機能を搭載したソニー社のシーリングライト「マルチファンクションライト」を活用した見守りサービスも2019年6月から提供されています。
こちらは人感センサーと照明の操作履歴を常時監視。異常を検知すると、『内蔵のスピーカーで入居者に呼び掛ける』『本人に安否確認メールを送信する』『それにも反応がなければ管理会社や家族に連絡を入れる』までをシステムが自動で行なってくれます。月額のコストは1世帯1,000円程度と敷居も低めです

 

最後の砦は保険。早めの取り組みで差別化も。

このように様々な進化を遂げる見守りサービスですが、どれだけ予防策を打っても万が一はあるもの。そんな時に頼りになるのが「保険」です。
近頃は孤独死による空室・減額家賃や原状回復費用を保証してくれる保険商品が増加。1世帯あたり月額数百円の掛け金で100~200万円程度が保証される商品もあり、小さな負担で大きな安心を得られます。

しっかリスクヘッジをすれば、有効な空室対策となる高齢者受け入れ。他の不動産オーナーが敬遠しがちな今のうちから始めることで、競合物件との差別化も図れるのではないでしょうか。

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/

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