冬だけでなく夏の光熱費も抑えられ、結露も防ぐ断熱材とは?

寒くなりはじめが苦手な私は、11月、12月がもっとも寒さを感じます。

そうなると気になってくるのが断熱材。全ての窓を閉め切っても、なぜか隙間風を感じるわが家では、冬が来る度不安に感じます。

ということで、今回の記事のテーマは「断熱材」です。

基礎知識や種類、性能や価格について紹介します。

 

建物の断熱とは?

昔ながらの日本家屋は、「夏をいかに快適に過ごすか?」を重要視したそうです。

たしかに、私の祖母の家は九州にあったのですが、驚くほどに大きな縁側と反対側にある窓がやたらとでかく、家ごと丸見え!

農家だったので玄関はいわゆる土間でだだっ広く、大型車が入りそうな感じ。縁側には窓ガラスがなく、冬は障子で閉め切るのみ。夜になると雨戸を閉めるのですが、雨戸も板ですからね。隙間風入り放題なわけですよ。

その後、戦後になるとあらゆるものが洋風化と言うか近代化しはじめ、家は機密性が高くなり、断熱材が登場。

同じ頃、団地も流行だし、暮らし自体が防犯面の強化や開けっぴろげな暮らしが敬遠されるようになったのとも無関係とは言えないのでしょうね。

断熱材ってどんなもの?

ところで、断熱材を見たことはありますか?

私はあります。家を買って数年たった頃、息子は毎日壁に向かってボールを蹴っていて、「サッカー始めたばっかりだし、まだ大丈夫」と思っていました。

さらに原因は忘れましたが、ドデカい兄弟げんかがあり、その壁に激突。壁にでっかい穴が空きました。

男の子のパワーって半端なかったです。

そして、人生初の断熱材を見ることになります。

でも、こんな悲しくおバカな過去がない多くの方は、断熱材を見たことがないかもしれません。

木造家屋の場合、家の壁は外側と内側の2重構造になっています。そして、この空間に断熱材は入れられています。

もちろん、床や天井にも入れられていて、簡単に言えば、家全体を断熱材で包み込むような感じです。

 

断熱材のもうひとつの役割、結露の防止

断熱材の役割は、室内と室外の熱の移動を遮断することです。これは読んだままなので分かりやすいですが、もうひとつ、大きな役割を持っています。

それが、結露の防止。

結露については以下の記事に詳しく書いているので見ていただければと思います。

結露が一番見えるのは冬の窓ガラスなわけですが、ここには断熱材がないのでもっともひどいことになるとも言えます。

では、壁はどうなっているのか?と言うことですが、外気温と室内温の差は窓ガラス同様あるわけで、結露を防止してくれるのは断熱材となります。

ちなみに、アメリカも一戸建ては木造建築が多いのですが、日本の家と比べるとめっちゃくちゃ寿命が長いんです。

その理由のひとつが結露だと言われていて、湿気が多い日本の悲しい現実なのかもしれません。

「うちは大丈夫!結露してないから」と言う方も多いのですが、一番恐いのは「内部結露」。

これは、壁の厚みの間にに結露が発生するもので、「見えてないから大丈夫」とはいかないのです。

適当な施工業者にはあたりたくないものです。

 

断熱材の工法は、充填断熱工法と外張り断熱工法の2種類

断熱材の工法は、大きく分けて2つあります。

「充填断熱工法」と「外張り断熱工法」です。

簡単に説明しますね。

充填断熱工法とは

充填断熱工法は、壁や天井の中に断熱材を充填する工法です。外壁を作ってから、柱や梁の間に専用の機械で断熱材を吹き付けると、もくもくと膨らんで断熱効果を発揮します。

「吹き込み工法」や「パネル工法」などもあります。

この充填工法のメリットは、さまざまな種類の断熱材が使えることと、コストが安いこと。デメリットは、柱や梁の間を埋めていく工法のため、柱自体や繋ぎ目には断熱材を入れることができず、隙間ができることです。

外張り断熱工法とは

外張り断熱工法は、壁や屋根の外側を断熱材で包み込む工法。もちろん外壁の中なので、断熱材が丸見えってことではないです、笑

充填工法のデメリットであった柱や梁の部分も覆えるため結露しにくい特徴があります。ですが、使用できる断熱材が限られ、コストが高くなるのがデメリット。

ここはバランスが重要と言うことですね。

また、断熱材に厚みがあるので壁の厚さを増すらしく、狭小住宅には不向きです。

 

断熱材の種類と特徴

続いては、断熱材の種類について。

断熱材は大きく分けると2種類です。新しい断熱材も開発されているようですが、基本的には次の2種類のどちかに分類されるか、新しすぎて一般には使用されていません。

と言うことで、基本の2種類、「繊維系断熱材」と「発泡プラスチック系断熱材」について説明しますね。

繊維系断熱材

繊維系断熱材は、繊維状の素材が絡み合い、その間に空気の層ができるもの。グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーが使われます。

他にも、インシュレーションボードと言うものもあるのですが、日本ではほとんど使われていないそうです。

このうち、もっとも一般的なのはグラスウール。その名の通り、グラス繊維を使っています。

価格が安価で高性能。燃えにくいのも特徴です。種類が豊富で、研究も最もされています。基本的には湿気に弱く、防湿・結露対策が必要だと言われていますが、この欠点をクリアしたものも出回っています。

そしてもうひとつ代表的なのがロックウール。こちらはケイ酸と酸化カルシウムからできています。素材としては、鉄鋼スラグが使われることが多いようですが、玄武岩などの天然鉱石を使用したものもあります。

他にも、セルロースファイバーもあります。この原料は、なんと新聞古紙! 他にも段ボールやおがくずが使用されることもあるようで、ちょっと間違うと手抜き建築だと言われそうですね、笑

でもご安心を。

そのまま使うわけではなく、しっかりと薬剤(ホウ酸や硫酸アンモニウム)を加えて綿状にしています。

この欠点は、燃えやすいこと・・・ではなく、害虫被害を受けやすいことだそうです。燃えにくさは加工でクリアしているそうで、このあたりは木造マンションなんかで使われる木材が燃えにくく加工されているのと同じ発想なんでしょうね。

発泡プラスチック系断熱材

発泡プラスチック系の断熱材は、発砲スチロールをイメージすると分かりやすいかもしれませんね。

暑い夏でも冷凍品がコチコチで納品されるのは、発砲スチロールの断熱効果が高いからです。

発泡スチロール以外にも発泡プラスチック系断熱材の素材はありますが、概して高価で、熱に弱い。ここがネックとなるようです。

ちなみに、発泡プラスチック系断熱材は次の5つがメインです。

  • 「ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)」
  • 「押出法ポリスチレンフォーム(XPS)」
  • 「硬質ウレタンフォーム」
  • 「高発泡ポリエチレンフォーム」
  • 「フェノールフォーム」

理科の時間みたいですね、笑

 

参照したい断熱の値

断熱材というか、断熱効果を現す数値には、3種類にものがあります。

「UA値」「C値」「Q値」です。

断熱材を調べると出てくるものなので、こちらにも触れておきますね。

Q値=熱損失係数

Q値を簡単に言えば、窓や床、外壁、天井などから、どれくらい熱が逃げにくい家かという感じ。

熱損失量を床延べ面積で割って数値を出します。

熱がどれくらい逃げるかを計るので、住宅の断熱性が高いほどQ値の数値は小さくなり、断熱性能が高いことを示します。

このあたり、ややこしいですよね。

C値=相当すき間面積

C値は、家にどれくらいすき間があるかを示した数値です。機密性に関する数値といえばわかりやすいかも知れません。

それにしても、そんなの計れるんだ・・・と言う感じですが、数値化されます。

C値が低いほどすき間が少ない家となります。

Ua値=外皮平均熱貫流率

Ua値は、どれくらい熱量が家の外に逃げやすいのかを表す数値です。

って、「Q値」と同じじゃん!と思いますよね。私も思いました。

Ua値は、最近増えてきた省エネ住宅の断熱性を示す数値で、ZEH住宅などで断熱性能を表すために使われる値となります。

簡単に言えば、普通の家にはない数値、泣

 

断熱材はさまざまな条件によって使い分けられている

気になるのは、「うちの断熱材は何?いいやつなの?」という点かと思いますが、一概に「これがベスト」とは言えないのが難しいところ。

例えば、家の建材や建て方によって使えない断熱材があったり、相性があったり。

あと、価格の問題もありますし。

ただ、気をつけたいのは、見えない部分なので、手を抜かれやすいということ。これは恐ろしいですよね。

例えば、ちょっと地震があっただけで歪むようなものがあったり、最悪なのは、そもそも付いてないなんてこともあったり。

家を選ぶときには、見た目も重要ですが、建築業者も選びたいものです。

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