マンションにかかる固定資産税は?計算方法から軽減措置まで解説

  • 2019/10/30
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固定資産税とは、土地や建物などの固定資産に対して課税される税のことを指します。マンションは固定資産に当たるため、マンション購入後は固定資産税の支払いが必要です。固定資産税は新築・中古に関係なく課税されるため、マンションを購入する方は事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。とはいえ、税金の話になると今ひとつ理解が難しいという方もいることでしょう。

そこで、今回はマンションにかかる固定資産税について、計算方法から軽減措置まで分かりやすく解説します




 

マンションにかかる固定資産税の計算方法

マンションにかかる固定資産税の計算方法は、次のとおりです。

固定資産税評価額×税率

固定資産税の算出には、複雑な計算式は必要ありません。固定資産税評価額税率さえ分かれば、簡単に算出できます。

固定資産税評価額とは、物件の価値を評価して算出される金額のことです。建物の場合は「同じ建物に建て直した場合にかかる費用」、物件は「公示価格の約7割」が目安となっています。

固定資産税評価額と税率について、もう少し詳しく見ていきましょう。

固定資産税評価額の調べ方と注意点

固定資産税評価額の調べ方は、次の3つです。

調べ方1.固定資産税の課税証明書で確認する

固定資産税の納税通知書に添付されている課税証明書に、固定資産税評価額が記載されています。

ただ、固定資産税評価額の欄は存在しません。その代わりに、「価格」の欄に記載されている金額が固定資産税評価額に該当します

フォーマットは自治体によって異なるため、分からない場合は自治体に問い合わせてみてください。

調べ方2.固定資産課税台帳を見る

固定資産課税台帳には、固定資産税評価額に相当する価格のほか、所有者と所在地も記載されています。

ただし、固定資産課税台帳の管理者は自治体ごとに異なります。たとえば、東京都であれば固定資産がある区の都税事務所です。どこで管理しているか、自治体に問い合わせましょう。

なお、固定資産課税台帳は誰もが閲覧できるわけではありません

閲覧できるのは、

  • 固定資産税の納税義務者
  • 相続人
  • 借家人
  • 借地人

のみです。

また、閲覧の申請には各自治体のホームページからダウンロードできる申請書様式が必要です。必要事項を記入し、免許証やパスポートなどの本人確認書類および手数料と一緒に申請しましょう

調べ方3.固定資産評価証明書を取得する

固定資産評価証明書には、固定資産評価証明書の価格や所在地、所有者が記載されています。

固定資産課税台帳と同じ内容が記載されているため、どちらを閲覧しても固定資産税評価額が分かります。

固定資産評価証明書は、固定資産がある自治体の担当課に

  • 申請書
  • 本人確認書類
  • 手数料

を提出することで取得できます。

また、返信用封筒と切手を同封して申請書を担当課に送付すれば、遠方に住んでいても固定資産評価証明書の取得が可能です。

注意点1.税率は地域で異なる

固定資産税の算出に必要な税率は、地域によって異なります。これは、固定資産税は国ではなく各自治体が徴収する税金だからです。

ただし、基本的な税率は1.4%で、大きく変動することはありません。詳しくは、マンションの所在地を管轄する自治体に問い合わせましょう。

注意点2.タワーマンションには例外がある

固定資産税の計算では、所有している物件の床面積から納税額を算出します。

ここで問題となるのが、タワーマンションの場合に低層と高層で分譲価格が全く異なるにもかかわらず、同額の固定資産税額の納税が必要になることです。この算出方法では、低層に住む人が固定資産税額で損をしたように感じることも少なくありませんでした。

そこで、2017年の法改正により、高さが60m以上あるタワーマンションの場合は固定資産税の計算方法に補正がかかるようになったのです。この改正のおかげで、一定の階層よりも下に住む人は、上の階層に住む人よりも固定資産税額が低くなりました。

注意点3.都市計画税がかかる場合がある

自治体によっては、固定資産税だけではなく都市計画税もかかります。

都市計画税とは、都市計画法で定められた都市計画区域のうち、市街化区域内にあるマンションやアパート、戸建て住宅、土地などに課せられる税金です。

都市計画税額は、次のように算出します。

固定資産税評価額×0.3%

つまり、固定資産税評価額が分かれば、固定資産税と都市計画税の両方を算出できるということです。

固定資産税の納税方法と大切なポイント

続いて、固定資産税の納税方法、および、ぜひ知っておいてほしいポイントを紹介します。

固定資産税を納めるのは、原則として

  • 4月
  • 7月
  • 12月
  • 2月

の、計4回です。

ただし、市町村が自由に期日を定められるため、事前に確認しておくことが大切です。通常は、納税に必要な納税通知書は4月頃に送られてきます。

固定資産税を納付できるのは、

  • 自治体の窓口
  • コンビニエンスストア
  • 自治体の市税納付サイト

などです。

また、現金だけではなくクレジットカードを使える場合もあるため、ポイントを貯めたい方は検討してみてください。
※納付先やクレジットカードの使用可否は自治体ごとに異なります

ポイント1.固定資産税は変動する

先ほどもお伝えしたように、固定資産税額は固定資産税評価額に基づいて算出されます。

しかし、建物の価値は築年数や周辺環境などによって変わるため、常に一定ではありません。原則では、3年ごとに固定資産税評価額が見直されます

リフォームをせずに年月だけが経過した場合、当然のことながら、固定資産税額は下がり続けるでしょう。一方、増改築リフォームをした場合、建物の価値が上がったとみなされて固定資産税額も上がります。

ポイント2.固定資産税には軽減措置がある

条件を満たせば、固定資産税額の軽減措置を受けられます。

では早速、新築マンションにかかる固定資産税の軽減措置について詳しく見ていきましょう。

◇基本的に5年間の軽減措置を受けられる

新築マンションの場合、5年間は固定資産税が2分の1になる軽減措置を受けられます

従来は3年ですが、次の条件に当てはまる場合に限り、2年延長されて合計5年となります。

  • 平成32年(令和2年)3月31日までに新築されたマンション
  • 3階建て以上のマンション
  • 準耐火建造物もしくは耐火建造物
  • 1戸あたり120平方メートルまで

◇長期優良認定住宅の新築マンションは7年の軽減措置を受けられる

長期優良認定住宅の新築マンションに認定されると、固定資産税が2分の1になる軽減措置が7年に延長されます

長期優良認定住宅とは、長期間建物の品質が維持され、良好な状態を保てるような対策が施された住宅のこと。この住宅に認定されると、固定資産税だけではなく、住宅ローン控除不動産取得税などでも優遇措置が適用されます。

長期優良認定住宅に認定されるには、

  • 耐震性
  • 維持管理・更新の容易性
  • 間取り変更のしやすさ
  • バリアフリー性
  • 省エネルギー性
  • 景観に配慮したデザイン性
  • 住戸面積

などの条件を満たさなければなりません。

そして、固定資産税の軽減措置の延長を受けるには、長期優良認定住宅に認定された上で、さらに次の条件を満たす必要があります。

・床面積が50平方メートル~280平方メートル
・1戸あたり120平方メートルまで
・平成32年(令和2年)3月31日までに新築したマンション

ポイント3.納税通知書の内容を確認してから納税すべし

大変にまれではありますが、中には自治体の担当者による計算ミスが原因で納税額に過不足が生じるケースもあります。納税前には、納税通知書の金額を自分でしっかり確認しましょう。

間違った金額で納税することを防ぐためには、新築マンションの軽減措置が適用されているかを含め、まず自分で計算してみることが大切です。固定資産税額に誤りがあった場合は、納税通知書の交付を受けてから3ヶ月以内に管轄の自治体に問い合わせる必要があります

まとめ

マンションの固定資産税は、固定資産税評価額と税率から容易に算出できます。固定資産税評価額は3年ごとに見直されるため、定期的に確認しましょう。また、固定資産税の軽減措置を受けられるかどうかも自分で確認しておけば税金の過払いを防げますよ。

加藤 良大

加藤 良大

投稿者プロフィール

歴8年の専門記事ライター。不動産記事の執筆本数は500本を超える。不動産売却や税金の話、相続やM&Aによる不動産売買に関する記事を執筆。誰が読んでもわかりやすく、すべての疑問を解決できる記事の執筆を心がけています。

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