【連載】地震対策の基本は保険。「被災調査人」に聞く地震保険の鑑定実態

株式会社アートアベニューの原田と申します。弊社は首都圏の賃貸物件約6800戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。
本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。

10年前(2011年)の3月11日に発生した東日本大震災は、決して忘れられるものではないでしょう。地震大国日本。2016年4月には「熊本地震」が発生し、観測史上初めての震度7を記録。複数のアパートが倒壊しました。2018年6月に発生した「大阪府北部地震」、同年9月の「北海道胆振東部地震」など、大きな被害をもたらす地震は全国各地で数年おきに発生します。今回は、不動産投資において「地震」のリスクとどう向き合うべきか考えてみましょう。

【地震保険】

リスクヘッジで真っ先に思い浮かぶのが地震保険。火災保険では補償されない、地震を原因とした火災による損壊、津波による流失、火山噴火による埋没等を補償してくれる保険です。

地震保険は単体では加入できず、火災保険とセットでなければならない点が大きな特徴(火災保険加入後に追加で加入することは可能)。また、保険金額は火災保険で補償される額の30〜50%が上限とされているため、保険金で被害の全てを修復できない可能性の高い保険でもあります。というのも、地震保険の大目的は「建物」ではなく、「生活」の再建。被災後の事業を支援なしで立て直すのか、半額でも手に入れるか…、保険加入は投資の損益などから総合的に判断する必要があるでしょう。
(なお、地震保険料は確定申告の際に経費として計上可能)

【被災後の対応】

地震の頻発する日本では加入必須のようなイメージもある地震保険ですが、実は日本の世帯加入率は、増加傾向にはあるものの未だ30%程度です。やはり保険料の支払いと保険金の低さが加入の障害となっているのでしょう。また、加入したとしても、地震によって生じた損害を保険会社の委託を受けた「損害保険登録鑑定人」に軽く判定されてしまい、受け取れる保険金が少なくなってしまった、というケースがあることは、すでに不動産投資をされている皆さんの耳にも届いているのではないでしょうか。

果たして、実態はどうなのか。今回は被災損害調査の専門家「被災調査人」にお話をうかがうことができましたので、一部ご紹介します。

被災調査人とは何をする人?

地震や台風などで被災した家の損害を調査し、保険会社に正しい鑑定を促すのが仕事です。鑑定で伺うと、ときどき悪徳修理業者ではないかと疑われるのですが、まったく正反対の職業です(笑)。

ちなみに、「建物の古くなった箇所も、先日の台風のせいにして保険金で工事できますよ」などと勧誘してくる悪徳修理業者も実在しますのでご注意ください。保険金が下りることを前提に工事を進めたら、嘘の理由での保険金請求や保険対象外の工事を指摘され、結果として工事費を全額自己負担するはめになった…、そんなケースが後を絶ちません。

生じた損害を軽く判定されてしまった。保険申請コンサルタントを名乗る人物は「保険会社が損害金を払いたくないからだ」と言っているが?

知識のないコンサルタントはそう答えるでしょう。本質は全く違います。

たとえば平成30年に起こった北海道胆振東部地震では、約3万棟の建物が震災被害対象物件となりましたが、被災調査判定の有資格者はというと、全国でたった1000人しかいません。圧倒的に調査員が足りないのです。

その補填を、建築会社・ゼネコンの社員や、下手をすればその会社の新卒スタッフたちが対応していきます。本業ではない方たちが、チェックリスト片手に被災調査判定をしているのです。そんな状態では、損害の判定の誤りや、保険会社無責の誤判定が出てくるのも当然です。チェック機能が十分に働かない損害鑑定制度の問題と言えるでしょう。 

細かなひび割れはあるが、保険申請はしていない/もうすでに調査済みで保険金も受け取っているが、今から申請/再申請は可能か?

これから鑑定する物件はもちろん、すでに鑑定済みの物件でも、保険会社に再鑑定を依頼することは可能です。再鑑定によって判定が上方修正されれば、差額の保険金を新たに受け取ることができます。被災状況を再調査し、見逃した損害やごまかした瑕疵などがないか分析し、問題を抽出できる被災調査人にご依頼ください。

また、「住めなくなるほどの損害でないと保険申請できない」という認識は間違っています。被災損害を客観的に調査した結果、基準を満たしていれば保険金は支払われます。お気軽にご相談ください。

 

いかがでしょうか。弊社でも当然に保険申請のお手伝いは幾度となく対応してきましたが、上方修正というところまでサポートするとなると、管理会社では難しいのが実情。そのような場合は我々も被災調査人の力を借りることになります。

そして無事に保険金が下りた際は、そのお金で建物の補修を行なうのはもちろんですが、あわせて被災箇所以外を「自費」で修繕することも検討を。たとえば、「屋根の修繕+足場代」の保険金が手に入ったとしたら、高額な足場代を浮かせるチャンス! 自費で「外壁塗装」までやってしまうのは賢い選択でしょう。

投資は常にリスクとの戦いです。保険制度と上手く向き合って、健全かつお得な不動産経営を目指しましょう。

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/

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