横浜のIR誘致断念を受け、カジノ誘致が不動産価値に与える影響を調べてみました

  • 2021/8/27
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今回の横浜市長選はいろいろな意味で話題を集め、投票率の低さとは相反するたかちで、さまざまな影響を与えていますね。

選挙は短期的なことだけでなく、長期的な政治をリードする人を決めるものですが、今回はちょっと気になることがありました。それは当選した小此木八郎氏が当選してすぐ「IR誘致を取り止める」と発表したこと。

関東では最有力候補だった場所が下した決断に、「そうか」と思いつつ、これって長い目で見て、不動産価値に影響があるのでは?と思いました。

ちなみに、私は横浜市民ではないですし、この決断に反対とか賛成とか言うつもりはないです、汗

IR とはカジノだけを指す言葉ではない!

「IR」と聞くと、「カジノ反対!!」とすぐに言う人がいるのですが、実はIRはカジノだけを指す言葉ではありません。

では、IRとは何のことかと言えば、「Integrated Resort」の略で、総合型リゾートのことを差します。カジノはもちろん、ホテルやショッピングモール、劇場展示会場、国際イベント会場などを集めて開発される「大型複合エンターテイメント施設」を指します。

IRと言うと、「ギャンブル依存症をうむ」とか、「治安が悪くなる」という意見が報じられますが、少し目を移して地域経済という視点から見ると、違った可能性が見えてくるわけです。

日本は海外の人の人気の旅行先!

新型コロナ以前の話となりますが、日本ってめちゃくちゃ訪日外国人(インバウンド)が増えていました。

10年前には、「年間1000万人を目指すゾ!」なんて言っていたのですが、2018年と2019年には3000万人を超えています。街中に外国人が増えているのも納得ですよね。

これにはいろいろな理由がありますが、今や日本は世界的にみて物価が高い国ではなくなり、結構行きやすい国となったことも上げられます。

そしてコロナ以前の日本の景気を支えていたのが、インバウンドでもあったわけです。

「日本って楽しい。結構安いし、楽しんじゃうぞ!」という感じ。

そして、日本に来る目的をさらに増やそうとしたのが、IRでした。だって、IRはお金をたくさん落とす場所なわけですから。

これって、「新しく新幹線が走るぞ」という時、地方都市が「うちの市にも駅を作ってくれ!」と誘致するのに若干似ています。駅ができれば、他の地域から流入する人が増え、お金を落としていってくれる可能性が増えるわけですから。

日本はごくごく一部の地域を除いて、人口減少と高齢化に悩まされることは明白です。こうなると日本が自力(内需拡大)だけで経済を活性化するのでは不十分で、海外の力も借りようというわけです。

また、IRができれば、そこに職場が生まれます。これにより雇用増加が期待できます。もちろん IRそのものだけでなく、周りにできるホテルや飲食店なども含めての話です。

IR(カジノ)ができることでギャンブル依存症は増えるのか論争

もちろん、IRの中心はカジノなわけで、手放しで喜べるわけではありません。

中でも話題になるのが、「ギャンブル依存症が増える」「増えない」という話。

「とりあえず、カジノに出入りできるのはインバウンドだけにしよう」という話もあるようですが、それでも精神を病んだ人が犯罪が増加させると恐れている人が多いようです。

まあ個人的な考えとして、一般的にイメージするギャンブルで身を滅ぼすタイプの人は、IRのカジノ場に来るのではなく、パチンコや競馬など身近なところに行くように思うのですが・・・。

これについては、以前に別の仕事で取材した大学教授が言っていました。

「依存症体質の人は特別な医療を受けない限り、ちょっとしたきっかけがあれば同質のことに依存する。つまり、ひとつの依存から抜けられたとしても、また別の何かに依存してしまう。ギャンブル依存症について言えば、パチンコやスロットに依存している人がカジノにハマることは大いにあると思うが、総数で見れば、カジノができたからと言って、ギャンブル依存症の総数がそれほど増えるとは思えない」

なるほど。確かに・・・と妙に納得した覚えがあります。

IRが地域の価値を下げることはあるのか?

そしてもう一つ気になるのは、IRが地域の価値を下げるのではないかという意見です。特に不動産。

これについては、厳密に言えば、「分からない」が正解です。だって、カジノができたことがないのですから・・・。

ただ、ここには二つの見方があると思います。

一つは、地域の治安が悪くなるから、不動産の価値が下がるという話。

そしてもう一つは、雇用が増え、地域経済が安定するから給料の高い仕事が増え、みんなの消費が上がり、不動産価値も上がるという話。

この後者については、ディズニーリゾートのある浦安市が参考になるかもしれません。

私が関西人でディズニーランドのある浦安市が東京にあると思っていた頃(35年前)から、うちのダンナが某ファーストフードの浦安店で店長をしていた頃(約30年前)まで、浦安市はそれほど高級な地域という印象はありませんでした。

しかし今は、「千葉 高級住宅地」と検索すれば一番に出てくるのは浦安市!

背の高いマンションも立っているし、一戸建ても結構な金額で、地域としての成長っぷりには驚きます。

まぁ、ディズニーランドとカジノを一緒にするんじゃない!とお叱りを受けそうです。ただ、夢の国という条件では似てると思うのですが、いかがでしょう?

アジアのIR、シンガポール、フィリピンの繁栄っぷりも参考になる

世界に目を向けると、もっとおもしろい例があります。

例えば、世界的にも安全で美しく、住みよい国だと有名なシンガポールはどうでしょう?

年間犯罪件数はめちゃくちゃ少なくて、日本同様に安心安全な国だといわれています。当然、夜も女性ひとりで外出できます。

そんなシンガポールには、「マリーナ・ベイ・サンズ」と「リゾート・ワールド・セントーサ」に政府公認のカジノ施設が2件あり、24時間営業しています。

シンガポールは2005年にカジノ合法化が閣議決定されました。その背景には、マカオがカジノの街として飛躍した一方、シンガポールの人気が低くなっていたことがあります。

実はこれ以前にもカジノ解禁の話題がでているのですが、却下されていました。つまり、国民がギャンブルに前向きな人ばかりだったわけではなく、むしろ慎重姿勢でした。

それでもすったもんだの挙句、車で5分ほどの距離に2つのカジノがオープンし、あっという間にシンガポール人気を復権させました。

そして、「シンガポールはカジノがあるからキケン」なんて話は聞いたことがないですよね。

さらに、アジアのIRといえば、フィリピンも見逃せない例です。フィリピンマニラのIR成長スピードは、これまでのマカオやシンガポールを超えるとも言われていて、IR新興国として目まぐるしい経済成長をしています。

2020年には新たなIR建設も決まり、フィリピンのカジノの市場規模は間もなく韓国を抜くと言われています(コロナで各国ともに足踏み状態ですが)。

そして、治安が安定していないフィリピン マニラでさえ、治安が改善してきていると言われていて、カジノができると治安が悪くなるというのはあまりなさそうです。

広い視野で見て、横浜の決断はどうなのか?

広い視野で見ると、違った見え方もできそうなIR誘致。

そもそも、小此木市長が「誘致しない」と言ったのは、「カジノを含むIR全体をやらない」といったのか、「カジノはやらないけど、他のリゾート施設はやる」という中途半端なものなのかはわかりません。ですが、他国の事例を見ると、大きなチャンスがひとつ消えたという味方も出てくるかもしれません。

関東で最有力だったのが神奈川。誘致していれば高級ホテルも増え、世界的にも有名なリゾート地になれたかもしれません。そうなると、不動産の価値も当然上がったはず。

関西では大阪に加え、和歌山でもIR誘致の話が有力のようです。こうなると、気がついたら関東よりも関西圏の方がインバウンド集客力があったりして・・・。

もちろん私は専門家でなければ研究家でもありません。私の知っている限りの情報なんて、屁の突っ張りにもならないもの。

だからこそ、よく調べて決断をしていただきたく、それが日本の将来につながるんだと思います。

原田園子

原田園子ディレクター

投稿者プロフィール

「不動産の学校」のディレクター兼ライター。
住宅メーカーや不動産業者をクライアントに持っています。
不動産関連の取材実績も多数あり。
不動産投資から日々の暮らし記事まで、幅広く担当します。

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