【連載】継続か変更か。賃貸管理会社の変更を検討する際の注意点

弊社は不動産オーナー様から日々さまざまなお問い合わせをいただきますが、近年増えているのが「管理会社を変更したい」というご相談です。

2020年の1年間を調べてみると、弊社が管理をご依頼いただいた物件のうち、なんと半数以上が<別の管理会社からの管理変更>でした。変更理由は、『今の管理会社に不満がある』『(アートアベニューなら)管理コストを安くできそう』『現状より良い条件で管理してくれる会社を探していた』など多種多様ですが、皆さんも一度は管理会社の変更を検討されたことがあるのではないでしょうか。

某ハウスメーカーのサブリース、切り替えるほうが本当にお得?

あるオーナー様からは、こんなご相談をいただきました。

「ハウスメーカーでサブリースをしてもらっているが、管理コストを見直したい。自主管理したら今より収支が良くなるだろうか」

管理会社変更、もとい自主管理への変更の検討です。切り替えの判断の参考に、弊社にシミュレーションをしてほしいというご依頼でした。詳細は以下の通りです。

【物件情報】
・築年数 5年
・構造  軽量鉄骨
・総戸数 24戸
・サブリース料 75%(=管理手数料25%)
・ハウスメーカーがサブリース契約の中で無償で行っている付帯サービス
警備会社セキュリティ、無料インターネット、24時間コールセンター、ゴミ回収、定期清掃、CATV

【近隣情報】
・近隣大学から徒歩5分(大学から一番近い築浅アパート)
・3年前、大学に新しい学部が新設された
・近隣は築古ばかりで、築浅物件は希少

管理コストの見直しが目的とのことですから、まず注目すべきは管理料でしょう。

サブリースの管理料率は25%と、相場より少し高めです。これならもしかすると管理先変更、または自主管理(=管理料ゼロ)のほうが得かもしれませんね。しかし、サブリースからの管理変更では次のような点に注意が必要です。

  1. 家賃保証で守られていた空室リスク
  2. 入居者の賃貸保証会社の保証契約が切れるリスク
  3. 大手ハウスメーカーの客付仲介紹介が減るリスク
  4. サブリース料率に含まれているサービス内容の費用負担増加リスク
  5. 管理中途解約によるペナルティ(解約違約金等の請求)
  6. 解約通知後の管理レベルの低下

管理料25%は本当に高い? サブリースは「実質の運営費」に注意

サブリースの保証率は一般的に90%前後、つまり10%の手数料であることが大半です。そして、世間の管理料相場が5%程度であることを考えると、10%の中身は「空室損失分5%+管理手数料5%」と考えられます。

これを今回のケースに当てはめると、25%の管理料は「10%のサブリース料」と「15%の付帯サービス料」となります。ということは、25%の管理料の高い・安いは、付帯サービスという「実質の運営費」の金額によって決まるとも言えるでしょう。

上記の運営費が賃料の15%におさまらないとしたら、それはハウスメーカーが「安くサブリースしてくれていた」とうことになります。一方で、運営費を15%未満に抑えられるとしたら、自主管理のほうが管理コスト的にお得ということです。

サブリースからの管理変更の際は、まずは不透明な費用を明確にし、運営コストが増加しないか検証するべきです。負担が増えてしまう場合は、サービスの必要性や代替サービスを検討し、管理コストの圧縮に努めましょう。

そもそも管理解約はできる!? 契約時に厳しい制限が設けられている場合も

管理を解約する際、今一度ご確認いただきたいのが管理契約書の条文です。特に中途解約に伴うペナルティ、つまり「中途解約違約金」の有無については、事前にしっかりと確認しておきましょう。

オーナーと管理会社が結ぶ管理契約の契約期間は2年以上であることが多いのですが、その期間中の解約(=中途解約)の取り扱いについては契約ごとに異なります。3か月前に書面で通知すればペナルティ無しというケースもあれば、「賃料●ヶ月分を支払うことで即時解約できる」といった内容を見かけることも少なくありません。私が見た中で一番ひどい解約条項は「オーナー都合による中途解約の際は賃料2年分を管理会社に支払う」という、もはや中途解約を認めるつもりはないといった内容でした。

ちなみに、このひどい契約のオーナーは随分と肝の据わった方で、弁護士と相談したうえで「国交省の標準契約書だと解約通知も違約金も3か月。だからそれを超えるような違約金は無効。3か月分だけ払って解約します」と一方的に通知し、裁判もなく3か月分の費用負担で解約を勝ち取っていました。しかし一方で、解約違約金の条項が有効とされた判例もあるため、サブリース契約を締結する際には解約条項をよく確認し、最終的には経営判断を行なう必要があります。

そのほか、管理解約時にはさまざまなことが起こります。管理が離れると決まった途端、管理会社が優先的にサービスしてくれなくなり、入居募集や巡回清掃業務が疎かになったなんて話はよく聞くところです。管理変更を検討する際は、変更のメリットを十分に検証することはもちろん、時には「一時的な自主管理もあり得る」くらいの覚悟をしたうえで手続きすることをお勧めします。

管理会社を変更する際のチェック事項

・管理解約をしても集客力は維持できそうか?(空室増加リスク)
・管理解約をしても滞納に対処できるか?(滞納発生リスク)
・管理費に含まれているサービスの実費は?(運営費増加リスク)
・中途解約によるリスクやペナルティはないか?(解約時リスク)
・新しい管理会社は現在の管理内容・品質を引き継げるか?(解約後リスク)

株式会社アートアベニューの原田と申します。弊社は首都圏の賃貸物件約7000戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。

本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/

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