【種銭シリーズ】副業解禁でおさえておくべき、4つのポイント

2018年6月29日に「働き方改革法案」が成立し、2019年4月1日から改正法が適用開始されました。「1億総活躍社会の実現」へ向けて、「残業時間の罰則付き上限規制」、「5日間の有給休暇取得の義務化」、「勤務間インターバル制度の努力義務」など、さまざまな項目に従って、2019年9月現在、各企業が動き出しています。

そのような中、「副業・兼業」も推進する方向へ。一昔前ではなかなか考えられなかった「副業」が解禁されるとなると、現状、具体的にはどんな風に進んでいるのか?そして、「副業」を行う際に何に注意するべきか?気になりますよね。今回は、そんな副業解禁について、5つのポイントをご説明したいと思います。

 

ポイント1「働き方改革」を知る

まずは「働き方改革」についてご説明します。それは「副業解禁」が「働き方改革」によって、その道を拓かれているからです。

従来日本は終身雇用制が主流で、「就職したら定年退職するまで1つの企業を勤め上げる」といった考え方や制度が、一般的に普及していました。しかし、1990年の金融政策を起点としてバブル経済が崩壊し、日本経済が不安定な時期に突入すると、1997年の北海道拓殖銀行の経営破綻、同年の山一證券の経営破綻などを皮切りに、これまで常識だった「大手企業へ努めていてれば定年まで安泰」といった考え方、終身雇用神話があっという間に崩れ去ったのは、それほど昔の話ではありません。

当たり前のように支給されていたボーナスもいつ減給されてもおかしくはないし、支給されないこともあるかも知れない。それどころか、会社がずっと存続するかも怪しくなってきた中、労働環境を是正し、より働きやすく、自分たちそれぞれの事情に応じて多様な働き方を「選択」出来るようにするために、改革が行われました。それが「働き方改革」です。

この「働き方改革」において、「副業・兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、第2の人生の準備として有効」であると明言しています。そして、労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業を普及促進するとあり、かなりの前向きな姿勢を見せました。

働き方改革実行計画:5.柔軟な働き方がしやすい環境整備より一部引用
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/05.pdf

 

ポイント2 「副業の推進」に法的規制はない

働き方改革によって「残業の上限」や「有給休暇の義務化」などが法整備されていく中で、「副業解禁」のキーワードを耳にして、「これで副業が可能になる!」と心躍らせる方もいらっしゃると思いますが、これはあくまでも「推進」であって、どの企業でも「副業解禁」されるわけではありません。法的規制、強制力が働くわけではないのです。この点は、注意が必要です。

まずは「副業」を視野に入れるにあたって、自分の勤めている会社がどういったスタンスを取っているのか?その点をしっかりと確認しましょう。就業規則で副業を禁じているのに副業を始めてしまうと、なんらかのペナルティが課せられる場合がありますし、最悪、解雇もあり得ますからね。




「副業解禁」の流れへ

世の中の流れは「副業解禁」へ向かっているのは事実です。多くの企業が就業規則のひな形としている、厚生労働省が示す「モデル就業規則」では、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」といった記載が、2018年1月の改定でカットされ、新たに「副業・兼業」という章を設けました。

モデル就業規則を多くの企業が自社の就業規則のひな形としている点を踏まえれば、条文に沿った改革が今後、自社で生じる可能性も十分あります。現に、NTTドコモ、イオン、花王、ヤフーといった大手企業はどんどん副業解禁へと乗り出しています。

第14章 副業・兼業
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社の業務に従事することができる。2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届け出を行うものとする。3 第1項の業務に従事することにより、各号のいずれかに該当する場合は、会社は、これを禁止又は制限することができる。

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 企業秘密が漏洩する場合
  • 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
  • 競業により、企業の利益を害する場合

平成30年1月:モデル就業規則より引用
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118951.pdf

 

ポイント3 副業のメリット・デメリットを知っておこう

副業を行う上でのメリット・デメリットは何があるのでしょうか?副業に関しては、働く会社員側、企業側、それぞれメリット・デメリットがあります。

【会社員側のメリット】

  • 所得の増加
  • スキルアップ
  • 社外、他業種との人脈作り
  • 将来へのリスクヘッジ

会社員側のメリットは、計り知れないものがあります。副業を行うことで、保有するスキルを更に伸ばすことも可能ですし、新たなスキルを身に付けることも。更に、副業で得た新たなスキル、新たな人脈は、転職や独立を考えたときの有効な武器になり得ますし、今所属する企業で新規事業を起こすきっかけになるかも知れません。そうして未来へ向かうパワーアップツールとして副業を捉えつつ、所得が増えるのですから、モチベーションも今までとは一味違うものとなるでしょう。

【会社員側のデメリット】

  • 就業時間が長くなる
  • 健康管理に慎重にならざるを得ない

デメリットはなんといっても就業時間が長くなること。副業を行うのは就業時間外で働くことを意味するわけですから、終業後の夜遅い時間帯や、少ない休日を使って副業することになります。そうして実働時間が増えるので、健康管理にも十分な注意が必要になります。特に睡眠時間は削りやすい反面、健康にすぐ跳ね返ってくるので、本業とのバランスを考えると共に、スケジュール管理を徹底する必要があります。

【企業側のメリット】

  • 有能な社員の確保
  • 新規労働者の確保
  • 事業拡大

企業側のメリットはなんといっても、有能な人材を確保することが出来る点でしょう。これは他社の副業解禁が自社に人材を引き込むことを意味しています。そうして副業をしている人を新規に雇い入れることも可能ですし、自社の社員が副業を行うことでスキルアップを図ることは、研修費用を一切かけずに、社員教育、スキルアップ研修を行っていることになります。

一方、デメリットは、終業時間の把握、社員の健康管理を含めた労務管理に今よりも比重を置かなければならない点です。副業で体を壊し本業に支障が出てしまったら本末転倒ですし、副業に意識がひっぱられ、モチベーションが低下してしまっては、副業は害悪以外の何ものでもありません。

このようにして、企業側、社員側のメリット・デメリットを知ることで、「副業解禁」から、なんとなく副業を始めようとしていた方も、副業を行うことでどんなメリットを享受出来て、どのように自分にとって有効なのか、考えるヒントになるのではないでしょうか?




ポイント4 副業の探し方

副業を行う上で、どのような業種を選択して、どのように働くかは人それぞれです。一昔前なら、「仕事終わりに工事現場やレストランで汗を流す」といった副業がイメージしやすいところですよね。それでは今なら、どうでしょう。フリーランスで「インターネットを介してスキルを売る」といった業態が、新しい副業のスタイルの1つでしょうか。インターネット上で企業が不特定多数の人達に業務を発注し、その受注先となる。いわゆるクラウドソーシングの形は副業し易い、業務形態です。

例えば、クラウドソーシングで有名な「クラウドワークス」、「ランサーズ」といったアウトソーシングサイトへ無料登録し、自分が従事することの出来るプロジェクトに参加する。イラスト、プログラミング、記事を書くライティング、業種は多岐に渡ります。

そのような業種に触れたことがない方も、すぐに諦める必要はありません。それこそインターネットを介して、まずは副業を始めずに、プログラミングの勉強を始めてスキルを習得する、ライティングをマスターするといったことに時間を使い、未来の自分へ投資するのも、立派な副業への有効な手段です。

 

さいごに

多様化が求められる日本経済において、この先、会社員に拓かれた企業が生き残るのは言うまでもありません。何故ならば、少子化が進み、人手不足が進む中で、人材は魅力ある企業へ集まるからです。副業は新たなチャンスです。このチャンスをどのように生かすのか、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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