2019年秋に火災保険が値上げ!保障内容と保険料を安く抑える6つのポイント
2019年秋に、火災保険が値上げされることになりました。
なぜ、値上げがされるのでしょうか?
また、どれぐらい上がるのかも気になるところ。
そして、実は火災保険は、火災以外でも使えることを知らない人が多いのです。
保険は万一に備えたものであり、その万一の時には、保険がなくては経済面を立て直すことができません。
ということで今回は、火災保険について考えていきましょう。
火災保険とは、どのようなものか? 火災以外もサポートしてくれる
いきなりですが、火災保険と言うと、
「あ~、火事が起こった時に使う保険ね」
と考える人がいますが、それは大きな間違いです。実際には、いろいろな自然災害や車の衝突、盗難にも使える保険なのです。
例えば、台風で大雨が降り、家財道具がびっちゃびちゃになってしまったとか、大雪で家の天井に穴が開いてしまたという場合に活用されます。また、車を家の駐車場に入れようとしたら、アクセルとブレーキを踏み間違えてとんでもないことになってしまった場合や、大切なものが盗難されたというときにも使えます。さらには、建物外部からの物体の落下にも対応してくれるので、UFOが飛んできてもひと安心ですね(え?)。
どこまで契約しているかはケースバイケースなのですが、「火災保険だから、保証は火災だけ」と考えると大損をしてしまうことになるので注意が必要です。
ただし、注意したいのは、「地震による損害」は補償の対象外である点です。「地震大国 日本」ぽいのですが、地震そのものや、地震によって発生した津波や噴火による水害や火災の保障は受けられないのです。このリスクに備えるのは地震保険への加入が必要なので注意してください。
どれくらい値上げになるのか?
近年は「〇年に一度の……」と呼ばれる異常気象が多くなっています。これを考えると、災害の頻度が上がっていることは一目瞭然です。「頻度が上がっているときだから保険料はそのまま!」となれば良いのですが、そんなわけにいきません。そこで出てきたのが、今年の秋の保険料の値上げということです。
では、どれくらい上がるのでしょうか?
保険会社が保険料を設定する時のベースとなるものに、「参考純率」と言われるものがあります。
これは、損害保険料率算出機構が算出し、会員となっている損害保険会社に提供するもの。保険会社はこれを見て、自分のところの保険料を決めるわけです。各保険会社が具体的に保険料をどれぐらいに設定するかは明確になっていませんが、この参考純率では、平均で5.5%の引き上げがなされることが決まっています。
保険料率は実は都道府県によって違う
と言うと、「5%くらいだったらしょうがないか」と思う人もいるもしれませんが、実はそんなに簡単な話ではありません。保険料率は、実は、都道府県によって違うんです!
これ、意外と知らない人が多いですよね。
では、その辺りを詳しく見ていきましょう。
建物の構造の3つの種類
まず、保険料は建物の構造級別によって違ってきます。そりゃそうですよね。木造と鉄筋コンクリート作りでは、火災があったときの被害の度合いが違ってくるわけですから。
【建物の構造級別の例】
構造級別 | 例 |
---|---|
M構造 | 耐火建築物の共同住宅 (例:コンクリート造のマンション) |
T構造 | 耐火建築物の専用住宅、準耐火建築物・省令準耐火建物 (例:鉄骨造の一戸建て) |
H構造 | M構造・T構造のいずれにも該当しない建物 (例:木造の建物) |
ちょっとややこしいですが、この3つに分けられています。
東京のマンションでは、+20.4%もアップ!
これを踏まえた上で、今回の保険料率が「どの建物も、同じ割合で上がったのか」と言うと、これも違うんです(そうじゃなきゃ、わざわざ説明していないのですが)。
例えば、東京都のM構造の場合、改定率は+20.4%です。実に2割ものプラスになったわです。しかし、T構造やH構造については、6%強のアップにしかなっていません。「どうしてマンションだけがやたらと高いんだ」という声も聞こえてきそうですが、元々の料率も違うのでそこは何とも…。
全国で見てみると、最大の上げ幅となっているのは、M 構造では鹿児島県の+40.1%。T構造は、熊本県の+24.4%。H構造も熊本県の+25.9%です。
ちなみに、今回、「上げ幅が…」と言っていますが、マイナスもあるんです。例えば、T構造は三重県の-8.7%、H構造も三重県の-17.3%と大幅にマイナスになっています。
M構造 | T構造 | H構造 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
都道府県 | 改定率(%) | 都道府県 | 改定率(%) | 都道府県 | 改定率(%) | |
三大 都市圏 |
東京都 | +20.4 | 東京都 | +6.3 | 東京都 | +6.2 |
大阪府 | +12.0 | 大阪府 | +1.8 | 大阪府 | ▲2.6 | |
愛知県 | +7.2 | 愛知県 | ▲1.5 | 愛知県 | ▲9.8 | |
最大 | 鹿児島県 | +40.1 | 熊本県 | +24.4 | 熊本県 | +25.9 |
最小 | 愛媛県 | +4.1 | 三重県 | ▲8.7 | 三重県 | ▲17.3 |
出典:参考純率改定のご案内
火災保険料を安くするコツ
では、保険料が上がるのを甘んじて受けなくてはいけないのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。知恵と工夫で、むしろ安くすることもできるのです。そのためのポイントを6つお伝えします。
1.値上げ前に10年契約してしまう
保険料を安く抑えるには、値上げをする前に、長期で契約するという手法があります。
保険の契約では「改定日」が設けられ、その日以降に契約するものが新規の数字で、それ以前の日程であれば、現状の価格で計上されます。具体的に言ってしまえば、今年の秋に値上げする前に長期の契約をしてしまえば、値上げは次回更新のときとなるわけです。
現在は、最長10年の契約ができます。マイホームの場合は長く住むことが前提でしょうから、10年契約にしてしまいましょう。
2.支払い方法は「一括」を選択する
火災保険は、一括して払うほうが安くなっています。月払いよりも年払い、年払いよりも10年一括の方が保険料を安く支払うことができるのです。もちろん、10年住まない可能性のある家に、まとめて高い金額を払うのは考えものですが、マイホームなどの場合は10年一括払いも視野に入れた方がいいでしょう。
3.使わない保障を外す
保険料は、さまざまな保障内容を増やせば増やすほど高くなります。それなのに、多くの人は保険契約に慣れていないので、言われるがままにパッケージ化された保険契約をしてしまいます。中には、マンションの高層階で水災の可能性が非常に低いのに、保証対象になっているなんてこともあるのです。こういったムダなものがないかを事前にチェックし、少しでも不要なものは外すようにすると保険料は安くなります。
4.割引制度を確認する
保険各社は、さまざなな割引制度を用意しています。これは利用しない手はありません。もちろん、内容には各社の色が反映されますが、よくある例を紹介します。
割引の種類 | 内容 |
新築割引 | 保険始期日が建物の新築年月から11か月後の月末までにある建物の契約に適用 |
築浅割引 | 保険始期日の時点で建物の築年数が10年未満である場合に適用 |
オール電化住宅割引 | すべての設備を電気でまかなう住宅の場合に適用。 |
ノンスモーカー割引 | 保険対象の建物の所有者・居住者が喫煙しない場合に適用。 |
5.免責金額を適度に設定する
免責金額とは自己負担額のこと。これを適度に設定することで、保険料は大きく変わってきます。地震保険の例ですが、「保険に入ってたから、醤油が倒れただけで何万円も保険が下りた」と言った、都市伝説のような話を聞いたことはありませんか?
もちろん極端な話しですが、要は少しの保障でもお金をもらえるように設定していれば、小さな被害でも保険は下ります。ただし、保険料が高くなるのです。ただし、保険会社はめんどうなので、免責金額を決めるわけでです。例えば、3万円を免責金額に設定している場合、被害額が3万円を超えなければ申請しても保険金はおりません。また、10万円の被害が出ても、3万円は自己負担となり、7万円の保険金しか支払われません。でも、万が一のときにしか支払われないものですし、やたらと免責金額を低く設定する必要はないというのが一般的な考えです。
6.保険料が安い会社と契約する
保険料がは保険会社によって違います。それゆえ、安い保険会社と契約するというのもポイントになります。火災保険と一口に言っても、保険会社によって条件の提示や保険金額は異なります。新築マイホームの場合、銀行やハウスメーカーに勧められた保険会社に無条件に入ってしまったり、賃貸の場合、大家さんが指定したところに加入していないでしょうか?
自分で調べれば、もっと好条件の保険会社に入ることが可能な場合もあります。
「そうは言っても、一社ずつ探すなんてめんどくさい」と言う人もいるでしょう。でも、ネットにつなげば一括見積もりをやっているところもありますし、専門家もいますので、相談してみるのもいいですね。決して安いものではないからこそ、一度探してみることをお勧めします。
お隣の失火も自己責任?!
最後に、怖いお話を。
火災保険の話しをすると、「そうは言っても、家にほとんどいない。出火する心配がないからなぁ」と言う人がいるのですが、それって、あまい!!
なぜなら、日本には「失火責任法」という法律があり、周りの家の失火の火が燃え移ったことで自分の家が燃えて、建物や家財に損害が生じても、賠償責任を求めることはできないんです(故意や重大な過失がなければ)。つまり、自己責任で建て直せということ。何だか理不尽ですが、法律なので仕方がないのです。仕事から帰ったら自宅が大変なことになっていて、お宝を持ち出すこともできなかった…ということもあり得るのです。そんな時、せめて経済的な再建を目指すためにも、火災保険は重要なのです。
まとめ
保険料率が上がるのは非常に由々しき事態ですが、正しく契約を見直せば、かえって安くなったという人もたくさんいるはず。ただ、更新するというだけでなく、いろいろな補償内容を見直し、ムダなものをなくすというのは大切です。ぜひこの機会に、見直しをやってみてはいかがでしょうか。