【連載】真の”コロナ滞納”増加はこれから!? リスクを回避し資産を守るための家賃保証会社の選び方

  • 2020/10/18
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(株)アートアベニューの福原と申します。弊社は首都圏の賃貸物件約6800戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。
本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。

まだ終息への先行きが見えないコロナ渦で、家賃保証会社の廃業が続いています。
5月には北海道に本社を置くグローバル賃貸保証(株)が廃業、7月には大阪府の(株)ジャパンレントアシストコーポレーションが倒産しました。また、倒産こそしていないものの、家主や管理会社への家賃送金が5月から遅れている会社も存在します。
近年は家賃滞納リスク回避の手段として家賃保証会社の利用が一般化していますが、リスク回避のための会社が潰れてしまったのでは意味がありません。

失業率悪化で家賃滞納増加のおそれ

総務省が10月2日に発表した8月の労働力調査によると、完全失業率は3.0%となって2ヶ月連続の悪化、完全失業者数は206万人で前年同月比49万人増とのことでした。また、厚生労働省が同日に発表した有効求人倍率も1.04倍と、毎月下落を続けています。どちらの数値も新型コロナウイルス感染症に伴う景気低迷によるものですが、不景気によって働けない・就職できない入居者が増えれば、当然に家賃滞納も増加するおそれがあります。

幸い当社では、家賃滞納の大幅な増加はまだ見られませんが、これは特別給付金や住居確保給付金などの公的支援があるから、または切り崩せる預貯金があるから何とかなっているだけ、ということも十分あり得るでしょう。実際、今まで一度も家賃滞納をしたことがなかった方の滞納が9月頃から発生し始めていることもあり、当社では本当の影響が出てくるのはこれからと想定して、万一の事態に備えています。

傾向としては、特に非正規雇用の方や飲食業関係者に影響が出ているようですが、こうした職業の方の数は膨大です。滞納が増え、家賃保証会社の財政を圧迫すれば、さらなる倒産も起こりかねません。

保証会社選びは安全性が重要、客付業者任せにしない

そうなると、重要になるのが「どこの保証会社を利用するか」です。管理会社に管理を委託する場合は、管理会社に選定を任せていいと思いますが、客付だけを不動産会社に依頼して自主管理をしているような場合は注意が必要です。
「保証会社を付けましたので安心です」と言われたものの、保証内容が不十分だった、財政基盤の弱い会社だった、なんて話はよくあります。紹介料欲しさに貸主の不利益となる保証会社を利用する不動産会社もあると聞きます。聞いたことのない保証会社を利用するのであれば、どういった会社か大家さん自身も調べるべきでしょう。

選定基準は、保証内容が充実しているか否か、家賃の立替の早さ、審査の正確性や通過率などさまざまですが、コロナ渦ではまず安全性が重要となります。安全性を計るポイントは次の通りです。

①会社規模
過去には業界大手で上場もしていたリプラス社の倒産もあり、大きければ安心というわけではありませんが、小さいよりは大きいほうが良いでしょう。

②設立
家賃保証業界は20年ほどの歴史しかありませんが、あまりに設立が浅い会社は滞納増加時の対応力が心配です。

③グループ会社
規模が小さかったり、設立が浅かったりしても、上場企業のグループ会社である場合などは、資本的な体力から倒産リスクが低くなります。

④信託スキームを採用しているか
これは入居者からの家賃の振込先を信託口座にすることで、家賃保証会社が倒産しても集金家賃が守られるという仕組みです。保証会社が倒産する時は大抵、大家さんに送金すべき家賃を送金できない事態になります。集金を任せる場合にはこの仕組みを採用していることは重要です。採用している会社はウリとしてホームページに公開しているので詳細を確認してみてください。

管理会社の滞納保証を利用してリスク回避

保証会社利用のほかに、家賃滞納リスク回避の手段として「管理会社の滞納保証」を利用するという方法もあります。当社でも滞納保証を行っていますが、万が一保証会社が倒産したとしても、管理会社が家賃保証を行っていれば第2の防波堤となります。

その管理会社が日本賃貸住宅管理協会の「預かり金保証制度」などに加入していれば、安全度はさらに向上。景気悪化の先行きが見えないからこそ、家賃滞納リスクを回避し資産を守る方法について、改めて考えるべきではないでしょうか。

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/

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