定期借地権付きマンションはお得か? しっかり見極めてお得に購入する秘訣

マンション購入を考えた時、気になる『定期借地権付きマンション』。一般的な所有権のあるマンションよりも手頃な価格で目に飛び込んでくるので、興味を持っている方も多いことでしょう。
でも、本当のところはどうなのか?
定期借地権の特徴と、メリット・デメリットを解説します。

 

借地権と賃貸権・地上権とは?

『借地権』とは家を建てる目的で土地を借りる権利のことをいいます。借地権には『賃貸権』と『地上権』があります。

賃貸権は借りた土地に建てたマンションや戸建てを売却するときに地主の承諾が必要となり、契約内容によっては『譲渡承認料』を支払う必要が生じる場合があります。将来、マンションや戸建ての売却を考えている際には、念頭に入れておくべき料金です。

地上権は地主に許可なく、借主が自由に建物の売買を行うことの出来る権利です。

借地権には『旧法借地権』と『新法借地権』の2つあります。『旧法借地権』は土地を借りる側の権利が大変強いものでした。そのバランスを改善する為に、平成4年(1992年)8月1日より『新法借地権』が施行、適用され、現在に至ります。

現在は2019年ですので、新法借地権が適用されて約15年。まだまだ旧法借地権が適用されているマンションや戸建ての方が多いですが、この15年間に建てられたマンション、戸建ては新法借地権が適用され、当然ですが、今後も増えていきます。

 

旧法借地権は更新出来る

旧法借地権では借地の期間がその契約ごとに、20年、30年などと定められています。そして借地期間が終わる際に、借地契約を更新することが出来ます。契約期間は一般的に20~30年である場合が多いです。また、たとえば昨年2018年に契約更新を行ったとした場合でも、適用されるのは旧法借地権。新法借地権を適用させた契約に変更したい場合は、契約を再度改めて交わすこととなります。

契約更新時は『契約更新料』を地主に支払う必要がありますので、契約する段階で確認しておき、その時の支払いに備えておかなければなりません。

 

新法借地権とは

いざマンション購入を考えたときに目に飛び込んでくる『借地権付きマンション』。現状では、新法借地権が適用されたマンションが増えています(コスト面を考えて、築15年以上の中古マンションを探すのであれば旧法借地権が適用となります)。

新法借地権には『普通借地権』と『定期借地権』がある

普通借地権

借地人(土地を借りる人)が借地期間満了時に、希望すれば契約を更新することが出来ます。契約期間は最初の契約で30年。1回目の更新で20年、2回目以降の更新で10年と存続期間が定められていますが、貸主、借主双方の合意の元であれば、その期間を変更することも可能です。

定期借地権

主に借地権付きマンションに利用されている一般定期借地権です。一般定期借地権の契約期間は50年以上と定められていて、契約期間満了後は更新されずに、土地の所有者に土地を更地にして返却することが前提の借地権です。

定期借地権付きマンションのメリット・デメリット

定期借地権付きマンションの特徴はなんでしょうか。メリット・デメリットを参考にしてその特徴を把握し、マンション購入の選択肢に加えられるようにしましょう。

その1 購入価格が安い

定期借地権付きマンションの最大のメリットはなんといっても購入価格の安さでしょう。所有権を得る同様な条件下にあるマンションよりも、定期借地権付きマンションは一般的に約2~3割安く購入出来ます。たとえば主要都市の駅前にあるマンション5,000万円となるとなかなか手は出ませんが、それより3割安い3,500万円で購入できるとなれば、かなりの魅力ですよね。土地代が含まれていないので当然なのですが、今まで予算外と端から諦めていた物件が手の届く範囲となれば、夢は広がります。

その2 諸経費がかからず、ローコスト

購入価格が安いのもさることながら、土地は借りているものとなるので、購入時の取得税がかかりません。また、毎年発生する土地に対する固定資産税、都市計画税の支払いも不要です(建物は所有していることになるので、建物にかかる租税は支払い義務が生じます)。

その1 期間満了時は更地で返却しなければいけない

定期借地権の主な特徴の1つですが、契約が50年であれば50年後にマンションを解体して更地にし、地主に土地を返却しなければいけません。ですので、50年後、家族はどのような環境で生活するべきかを考えておく必要があります。

30歳で定期借地権付きマンションを購入し、50年後に地主に返却、80歳のときは夫婦で老人ホームに入る計画であれば、マンション購入時に3割ほど安く購入出来たその分を、先々の老人ホーム入居費用に充てるなど、大まかな計画を立てることが出来ますよね。

その2 維持費が発生する

借地権付きマンションは土地を地主に借りているため、毎月地代を支払う義務が生じます。また、将来的にマンションを取り壊し更地で返却することから、解体費が積み立てられていきます。どちらも高額な金額を毎月支払い、積み立てるものではありませんが、毎月の支払いが少額でも累積すればある程度の金額となります。これも購入時に理解しておくことが重要です。単に購入費が安価だからと無計画に購入すると、後悔することになります。これらの経費を組み込んだうえで、購入価格の割安さ、お得さがまだ有効かどうか、購入を検討する上で天秤にかける必要があります。

その3 住宅ローンが組みにくい

購入価格は安くて魅力的なのですが、購入するのは建物のみとなるため、ローンを組む際の担保価値は通常の土地の所有権が発生するマンションよりも低くなってしまいます。また、大手銀行では借地権付きマンション専門ローンを設けている場合もありますが、地方銀行までまだ行き届いていないのが現状です。

 

低地借地権付きマンションを購入するときのポイント・注意点

定期借地権付きマンションにはさまざまなメリット・デメリットがありました。それらを踏まえたうえで、購入するときにはどんな点に気を付けた方が良いのかを考えていきましょう。

ポイントその1 物件情報にアンテナを張る

定期借地権付きマンションで有名なのは2008年に住友不動産が売り出した地上43階建て、828戸の『シティタワー品川』です。JR品川駅まで徒歩10分という最高の立地条件にありながら、2LDK~3LDKで2,000万円~3,000万円台の販売とあって、当然、即日完売。借地期間は72年。土地所有者は東京都。まさに夢の物件ですよね。

立地条件もさることながら、所有者は東京都なので個人と違ってリスクも低くなります。借地期間を考えれば、30歳で購入した場合、寿命をまっとうするまで住めそうな期間でもありますよね。しかしながら、こうした好条件の物件はそうそう出て来るものではありませんので、しっかりと不動産情報をキャッチできるようにしておく必要があります。

ポイントその2 売却するのか、住み続けるのか決めておく

定期借地権付きマンションを売却しようとした場合、購入時にすでに安価ですので、当然ながら売却時も高くは売れません。また、借地期間を考慮して売却する必要があります。たとえば50年の借地期間物件を売却するのに、20年住んでからでは、残り30年。30年しか住めないマンションをどの程度の値段で売却できるのか。また、購入希望者はいるのか。不安が残るのは簡単に想像出来ますからね。

また、リバースモーゲージといった自宅を担保とする融資制度は、マンションも融資担保対象へと広がりつつあります。それでも定期借地権付きマンションは土地を所有せず、いずれは取り壊されてしまうことから、まだ融資対象としない大手銀行がほとんどです。リバースモーゲージを老後の資金繰りの選択肢として選ぶことが出来ないのも痛いところかもしれません。

人生なにが起こるかわかりません。すべてが計画通りにはいかないものです。事細やかに人生設計をするか否かは人それぞれですが、人生に一度マンションを購入して最後まで住み続けるのか、子どもに残したいのか、またはライフスタイルにあわせて住み替えていくのかなど、大まかな将来設計を考えた上で購入する方がよさそうです。

 

まとめ

50年以上の借地期間を考えたとき、どのような選択肢が残されているのでしょうか。
住み続けるのか、売却か、誰かに貸すのか。実際に建築されて50年以上経つマンションはこれから増えていきますが、私たちが入居する時代のマンションは100年マンション、100年コンクリートと言われるような技術向上のうえに建てられたマンションです。いずれにせよ予測しずらい将来ですが、家族が笑顔で過ごせるように、家族とよく検討を重ねながら楽しいマンションライフを送りましょう。

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