マイホームを購入すべきか、賃貸で住み続けるべきか、迷っている方にお届けする『4つのポイント』を紹介

家の購入が人生で1番高い買い物になる方も多いでしょう。人生を大きく左右するターニングポイントになるかもしれません。

購入すべきか、賃貸で住み続けるべきか、どのように考えるべきかをわかりやすくお伝えします。

 

どちらが得かは一概には言えない

購入を促す不動産会社や建築会社が「毎月家賃を払うなら購入した方がお得」、「家賃と同じぐらいの支払いでマイホームがもてる」などと宣伝しているのを目にしたことはありませんか?

逆に、賃貸を促す不動産会社が「購入するよりもリスクが低い」、「賃貸の方が手軽に住み替えできる」などと宣伝しているのを目にしたことはありませんか?

どちらも嘘を言っている訳ではありません。人それぞれで状況が違うので、どちらが得かは一概には言えないのです。まず考えなければならない問題は「買う」「買わない」ではありません。「借金をするか」「借金をしないか」です。

購入と賃貸でよく比べられるのが、生涯払うお金はどちらが得かについてです。

結論から言いますと、「生涯払うお金」だけ考えた場合は購入した方がお得です。しかし、人それぞれ状況が違うので、それだけが問題ではありません。

それでも、生涯払うお金は気になるところでしょう。細かい数字を並べるとわかりにくくなるので、ここではあえてザックリと説明します。

同じ間取りで、月額で払う「新築購入後の返済額」と「住宅を借りる家賃」で比べます。

購入となれば、多くの方が金融機関からお金を借りて「住宅ローン」を組みます。ローン審査に通すため、および毎月の返済額を軽減するために、可能な範囲で頭金を入れます。

毎月の返済額に頭金を加算すると、10~40年間で考えたとき、「賃貸で支払う家賃と同等」または「賃貸で支払う家賃の方が低い」、つまり賃貸の方がお得となります。お得な上にリスクがありません。同じ間取りであれば、賃貸の方が安価で住むことができる場合も多いです。

約30~40年後、もっと言うと、住宅ローンが完済したときに購入の方がお得になります。家賃を払う必要が無くなるのですから当然です。

はじめに申し上げた通り、どちらがお得かは一概には言えないというのは、将来の設計次第ということです。

 

マイホームを購入したら今後は安泰?

購入の種類や流れ、メリットとデメリットについてみていきましょう。

 

①購入するなら新築?中古?

住宅の購入といっても新築の分譲・建売・注文住宅や、中古の分譲・戸建てがあります。購入の方法自体には違いはありません。
価格だけで見れば中古の方がお得です。ただし、土地の値段が上がった場合は中古でも高くなることがあります。

安価で購入できれば、その分をリフォームにお金をかけて、好みの部屋にすることもできます。

実際に住んでいた人から周辺環境について聞くことができるかもしれません。デメリットとしては、保証が十分でない場合や、建物の設計図面などが揃っていない場合もあることです。

一方、高いお金がかかっても、割合として新築を選ぶ方は多いのではないでしょうか。新しいものが良いと感じるのは当然です。

十分な保証も期待できますが、新しさゆえに住んでみなければ周辺環境は把握できません。注文住宅や未完成物件であれば、色合いや質感などは完成しなければ把握しにくいものです。思っていたのと違う...といったことにならない様に気を付けましょう。

 

②購入するときの流れ

住宅を購入するとなれば、基本的に住宅ローンを組んで購入します。

土地や建物を選び、購入したいと思える物件に出会えたとしたら不動産会社または建築会社に「購入したい」と意思を伝え、申し込みを行います。この際、申込証拠金や手付金が必要になる場合があります。

申し込みと同時に、金融機関へ住宅ローンの事前審査を受けます。住宅ローンでいくら借りられるのか、何年で完済が必要か、月々に支払える額はいくらか、頭金はいくら必要かなど、ここである程度決まります。事前審査に通らなければ契約に進めません。

もし審査に通らなかった場合ですが、手付金は「解約手付」という性質(民法第557条第1項)を持ちますので、買い手側からの解約となれば手付金を手放さなければなりません。不動産会社や建築会社によっては全額または一部返金してくれるようですので、万が一のときに備えて確認はしておきましょう。

めでたく事前審査を通過すると、重要事項説明と契約書の内容確認へと進みます。
内容に問題がなければ必要書類をそろえて、売買契約書にサインします。疑問があれば必ず質問しましょう。この段階でもし解約をしたいと考えているとしたら、手付金は放棄し、その上に違約金が発生する場合があります。

事前審査に通らなかったのであれば、販売する側も「しょうがないな...」と諦めます。

しかし、事前審査を通過したにも関わらず解約するのであれば「申し込みから事前審査の間、他のお客様に紹介しなかったのだから手付金は頂かないと、次にいつ契約になるかわからない」、「準備を進めて来たのだから、その分の報酬として違約金を頂かなければ」と思われても仕方ありません。

売買契約が成立後、正式な住宅ローンの申し込みを金融機関で行います。金融機関による本審査というものがありますが、事前審査の内容と変わりがなければ問題ないでしょう。

住宅ローンだけでなく、お金を借りる契約を金銭消費貸借契約(民法587条)と言います。本審査を通過すれば、金融機関と金銭消費貸借契約を結ぶことになります。

現金一括で購入できる方は「購入と賃貸はどちらがお得か」と悩むことはほぼないでしょう。借金をせずに購入できるのであれば資産として運用することもできます。

 

③購入のメリット

早い段階で購入する方が「賃貸と比べて生涯支払うお金が少ない」ことはもちろんですが、単純に自身の資産になります。完済後もし不要になれば売却して現金にすることもできます。他の人に貸して、賃貸収入を得ることもできます。

定年前に完済していれば、老後の心配が少なくなります。家賃を払わなくて良いので、その分を生活費に充てることができます。家族構成の変化によって広すぎると感じるのであれば、今の物件を売却して小さな物件を買換えれば良いのです。

 

④購入のデメリット

注文住宅や未完成物件の場合は、住んでみないことには周辺の環境が把握できません。購入後、交通環境が変わるかもしれません。高い建物が横に建つかもしれませんし、嫌われやすい施設(葬儀場など)が近くに建つことで土地の価値が下がるかもしれません

 

定年前までに住宅ローンを完済できない場合は苦しいものとなります。

なんとしてでも定年までに完済するには、現在の年収を下げる訳にはいきません。転職や起業を描いている方には高いハードルになります。

 

しかし、完済したからと言って、支払うものが何もないわけではありません。「固定資産税」「管理費」です。

固定資産税はご存知の方も多いかと思います。管理費とは、外壁やブロックの清掃・塗装、庭の除草・剪定、白アリ対策にかかる施工、屋根の修繕・交換・清掃など、自分の所有物である以上は自分でしなければいけません。この点に関して考えなくても良いのが賃貸です。

縁起の悪い話ですが、「離婚」というリスクもあります。夫婦の資産ですので分配しなければなりません。分配は義務ですので、話がまとまらなければ売却したお金を分配するしかありません。

万が一、何かの理由で加害者ともなれば、分配する分を「慰謝料」などに充てられ、家も現金も失うかもしれません。

 

3.賃貸に住み続けるのは不安?

賃貸のまま住み続けた場合のメリットやデメリットについてみてみましょう。

 

①家族の将来について考える

賃貸であれば大きな借金を背負うことはないので現状のリスクは低いと言えます。家賃が負担になるのであれば、家賃の低い物件へ住み替えれば良いのです。

世帯の年収の他に、子どもの人数や教育などについて夫婦できちんと話会いましょう。私立の学校に入れるとなれば、国立や市立に比べて約3~4倍の費用がかかります。

教育費用に関しては文部科学省の「子供の学習費調査」から知ることができますので参照にしてみてください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/1268091.htm

 

②賃貸のメリット

生活環境の変化に応じて、すぐに引っ越すことができます。転勤が多い職種であれば好都合です。

低い家賃の物件に住み続けることにより、預貯金の貯えに回すこともできます。子や孫との同居が可能であれば、世帯として安定するので定年までのリスクなく過ごすことができるでしょう。

そして、賃貸の最大のメリットは「設備費・管理費がかからない」ことです。

購入した場合は全て所有者の物ですので、所有者自らが管理や修理をしていかなければいけません。一方、賃貸の場合、備え付けの設備は所有者の物です。網戸が破けたり、換気扇が故障したり、配管が詰まったり、住んでいれば様々なことが起きますが、故意で壊した物以外は基本的に所有者の負担で修理・交換をします。共用部分の清掃・電灯交換なども所有者の負担で行います。

契約内容などはしっかりと確認しておきましょう。

 

③賃貸のデメリット

現状のリスクがない分、最大のリスクを老後に残すことになります。高齢になってからの住み替えが難しいという点です。

賃貸では20~30年以上もの長い期間住み続けることは稀です。老朽化で取り壊されたり、別な所有者に売却されて更地されたりすることもあります。相続で家主が代替わりすることもあります。

借りている側にも権利があるので、不当な要求からは当然守られます。しかし、要求に逆らい続けるのは難しく、弁護士などが介入してくれば要求の正当性を訴えてきます。

よって、必ず数回は引っ越すことになるのですが、高齢者の入居は歓迎されにくいものです。

あなたがアパートのオーナーだと想像してみましょう。定年後の世帯は定職がないので滞納を心配があります。室内で孤独死の危険性も高くなり、孤独死したともなれば次の借り手探しに苦労します。孤独死の発見が遅れれば、大掛かりな修繕・補修工事が必要になるかもいしれません。このような心配を抱えてまで貸したいと思うでしょうか?

賃貸経営の側面からすると、高齢者には貸出したくないと考えるのも仕方がありません。

そして、家賃は生涯払い続けるので、賃貸では長生きをすればするほど費用負担が大きくなります

 

4.ライフプランと不動産の今後

人生の3大資金と言えば、「教育資金」「老後資金」「住宅資金」です。中でも住宅は人生最大の買い物となる方も多いでしょう。

マイホームを購入する際には、子どもの教育資金が不足するのではないか、老後の貯えができないのではないかと心配します。収入と支出をしっかり別けて考えることが必要です。

細かく上げるとキリがないので大まかには、

  • 【収入面】今後年収は増えるか、配偶者も働くのか、退職金はいくらぐらいか、など
  • 【支出面】子どもの教育費がいつどれくらいかかるか、子どもが独立したときの親の年齢は、老後の生活費はいくらか、など

しっかりと考える必要があります。

人口の減少とともに不動産は余っていくはずですので、賃貸のデメリットとして「高齢者の転居は難しい」ことを挙げましたが、全く借りられないということもないはずです。しかし、空室率が上がっていたとしても、高齢者の入居に対して劇的に緩和されることもありません。子どもと同居する、子どもを世帯主にする、子どもに賃貸物件を契約してもらうなどの対策が必要です。

飽和状態になれば家賃はどんどん下落します。賃貸で預貯金がしっかりできていれば、定年前に中古住宅を購入するのも1つの方法です。

 

まとめ

不況によって土地の価値は下落するかもしれません。反対に、バブル到来で高騰するかもしれません。災害によって、住める環境ではなくなるかもしれません。
住宅以外では、年金制度自体が破綻しているという可能性もあります。

将来のことはついて「絶対」はありません。しかし、備えることはできます。
よく考えて自身で決断することが必要です。

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