賃貸経営成功のカギは外国人!トラブル事例と対策方法・成功事例も紹介

今後の賃貸経営は、外国人の受け入れを前向きに検討しなければいけない状況に差し掛かりつつあります。しかし、外国人入居者とのトラブルを懸念する大家さんも少なくありません。
今回は、今後の賃貸経営で外国人受け入れを検討するべき理由を説明した後、外国人入居者によく見られるトラブルと対策方法について解説します。今後のことを考えて外国人受け入れを進めるかどうか迷っている大家さんは、ぜひ最後までご覧ください。

 

賃貸経営で外国人受け入れを検討するべき理由

日本の世帯総数は2023年をピークに減少する方向へ

国立社会保障・人口問題研究所が2018年に発表した「日本の世帯数の将来推計(全国推計) 」によると、世帯総数は2023 年の 5,419 万世帯でピークを迎えますが、以降は減少し、2040 年には 343万世帯減少の5,076 万世帯になると推計されています。

すでに日本の人口は減少に転じていますが、単身世帯が増加している影響で、総世帯数は現在も増加中です。世帯数が増えている限りは賃貸物件の需要が見込めますが、世帯数まで減少すると部屋が余ってしまい、賃貸経営には厳しい時代に突入します。特に、地方の世帯数減少は大きく、地域間格差も生まれつつある状況です。

増え続ける外国人世帯の取り込みが今後のカギ

そんな中で、世帯数が増え続けているのが外国人住民の世帯です。日本住民および複数国籍の世帯は、2018年に5,661万3,999世帯で、外国人住民の世帯は139万3,537世帯。総数としては全体の2.4%に過ぎません。しかし、世帯数の増加率は、日本世帯が0.70%に対し、外国人世帯は+11.00%と高い伸び率を示しています

2018年末時点で、日本に在留している外国人の約20%は東京都に住んでいますが、愛知県や大阪府、神奈川県、埼玉県に数%ずつ居住しているという状況です。在留資格別で見ると、技能実習約33万人で前年比+19.7%と高い伸びを示しており、仕事を学べる大都市圏に住む外国人が多いのではと考えられます。

日本の労働者人口はさらに減少する中、今後も外国人世帯は増え続けることを考えると、外国人世帯取り込みは、賃貸経営上避けては通れません。

 

賃貸アパートで発生しがちな外国人入居者のトラブル例

外国人世帯を受け入れたときにトラブルとなりやすい事例を5例紹介します。

  • ゴミ出しのルールを守らない
  • 騒音問題でアパートの住人から苦情
  • 家賃滞納のまま突然帰国
  • 契約者と実際に住んでいる人が違う
  • 入れ替わり立ち替わり別の人が来ると近所から苦情

これらの事例について詳しく説明します。

ゴミ出しのルールを守らない

ゴミ出しのルールは出身国とは違うルールだとして、何度説明しても対応してもらえない、という場合があります。賃貸契約を結ぶ際の説明ではいい返事で聞いてもらっていたのに、と愕然とする大家さんも少なくありません。同じアパートの住人や近隣住民から苦情が寄せられて説明をしても、なかなか改善されず苦労している、という話はよくあります。

騒音問題でアパートの住人から苦情

日本のような狭い住宅事情に慣れていないと、どうしても話し声や生活音が大きくなり、騒音トラブルに発展する場合も少なくありません。友人関係の出入りが多く、深夜まで騒ぐと確実に苦情が出ます。静かにするべき時間帯を説明するなど、具体的な説明を根気強く注意することで騒音を減らすように交渉することが必要です。

家賃滞納のまま突然帰国

日本へ出稼ぎに来ている外国人労働者の場合、家賃を滞納したまま突然帰国する、ということもあります。仕事がなくなったため帰国せざるを得ないのかもしれませんが、その場合でも、退去する日の1ヶ月以上前に大家さんに報告しなければなりません。このようになってしまうと家賃の回収は困難になるので、事前に何らかの対策を考えておきましょう。

契約者と実際に住んでいる人が違う

契約した人とは別人が住んでいたというケースもよく聞かれるケースです。実際に住んでいる人は身分証明を確認できていないため、犯罪の温床になる危険性があり要注意です。実際に住み始めてから写真入りの身分証明書のコピーを要求しても、なかなか提出してもらえないかもしれません。

また、1人暮らし用の部屋なのにシェアハウスのような使い方で数人と住んでいたというケース、恋人と同棲していたといったケースもあります。居住する人数は賃貸契約ではっきりと定めていることなので、契約違反の解消を求めていく必要があります。

入れ替わり立ち替わり別の人が来ると近所から苦情

契約者の姿は見かけず、さまざまな人が入れ代わり立ち代わりに出入りしているというケースも見られます。このケースは、近所に住んでいる人たちが気づいて不動産会社か大家さんに苦情を入れて発覚、というパターンが多いようです。

この場合は、無許可で民泊として利用しているのかもしれません。この場合は、故意にやっている可能性が高いため、言い逃れできないように状況証拠を固めたのち、話し合いを進める必要があります。賃貸契約として決められた内容と違う使い方をしている場合は、具体的に契約のこの部分に違反している、ということを告げて違反行為をやめるように要請するしかありません。

 

外国人入居者を安心して受け入れるための対策方法

安心して外国人を自分の賃貸アパートに受け入れるためには、賃貸契約を結ぶ前と入居直後の丁寧なフォローが重要となってきます。大家さんだけでは大変なので、不動産仲介会社や管理会社とも連携を取れる体制づくりも検討しましょう。具体的な対策方法について、以下で詳しく説明します。

入居申込および賃貸契約を結ぶタイミングでの注意

ご紹介してきたさまざまなトラブル例ですが、事前に防止するためには、賃貸契約を結ぶ際に、契約内容を確実に理解してもらうことが必要です。特に、トラブルに発展しそうな部分は、以下のようにフォローを入れるようにしましょう。

【入居申し込み時の対策】

  • 滞在資格の確認と、契約期間、入居開始日、同居人の有無を確認
  • 日本の銀行口座、日本で使える携帯電話の有無
  • 入居申し込みの段階で注意点を伝える

【賃貸契約締結時の対策】

  • ゴミ出しや騒音のルールを説明
  • もう一度、入居者が契約内容と違うことが分かった場合は退去もあることを事前に説明
  • 家賃債務保証会社を利用するか連帯保証人を要求して家賃滞納対策を

入居申し込み時は、入居する人の情報を収集するのに最適なタイミングです。後からトラブルにならないよう、滞在資格、日本の銀行口座および携帯電話の有無を確認してください。入居申込書には、あらかじめトラブルを回避するための注意事項を付記して、説明をすることも重要です。

これらの対策をスムーズに進められるように、国土交通省は、「外国人の 民間賃貸住宅入居円滑化 ガイドライン」という資料を発表しています。また、「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」という資料の中には、入居申込書と重要事項説明書のひな型も8か国語分用意されているので、積極的に活用しましょう。

外国人の 民間賃貸住宅入居円滑化 ガイドライン

http://www.mlit.go.jp/common/001265423.pdf

入居申込書では、「入居者は申込者のみ、入れ替え・転貸は無効」という、転貸や民泊利用を考えている人に有効な注意事項があるなど、トラブルを未然に防ぐ文言が効果的に盛り込まれています。

家賃滞納リスクの自衛手段としては、家賃債務保証会社の利用または連帯保証人を立てることを要求しましょう。家賃債務保証会社については次項で詳しく説明します。

外国人保証に強い家賃債務保証会社を活用

家賃債務保証会社とは、家賃の回収を保証してくれる会社です。手数料はかかりますが、家賃滞納のリスクを軽減してくれます。さらに、家賃債務保証会社の中には、外国人保証に対応している会社もあります。日本語があまり得意ではない外国人と大家さんの間に立って、外国語でのコミュニケーション部分などサポートしてもらえる会社などを選ぶと心強いですね。

入居後のフォローと信頼関係の構築も重要

外国人が入居した後も、以下のフォローを続けることで、トラブルの多くは予防できます。

  • 引っ越し後はゴミ出しなどのフォローをしてルールの理解が進むようにサポート
  • 困ったときにはいつでも相談できるような信頼関係の構築

家賃債務保証会社が間に入ってくれることにより、上記2点のフォローができる場合もあります。大家さん自身も日常でのコミュニケーションを続けていくことで、外国人入居者との信頼関係構築を目指しましょう。

 

外国人入居者を積極的に受け入れて成功した事例

最後に、国土交通省の公開している「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」に掲載されている成功事例を紹介します。

  • 「家具・家電付き」にすることで留学生に人気
  • 築年数の古い木造アパートを外国人向けのシェアハウスに
  • 200部屋ある大規模な賃貸物件すべてを外国人専用に

近くに大学がある地域の場合、居住期間が明確な留学生が多く入居します。彼らの入居負担を減らすために家具や家電付きにしたところ、人気が出たという例は、留学生に限らず実習や研修で仕事に来ている外国人労働者にも適用できるアイデアです

また、築年数が古く空きが多い物件を外国人向けのシェアハウスにするという例や、大規模な賃貸物件をすべて外国人専用にして成功した、という例も紹介されています。現状は、外国人を入居者として受け入れている物件はまだまだ多くありません。その中で敢えて外国人を積極的に受け入れることで、空室が目立つ物件も人気になる可能性があります。

 

まとめ

賃貸経営において外国人の受け入れを進めるべき理由と、想定しうるトラブル事例と対策方法を紹介しました。最後に、成功事例もいくつか紹介していますので、今後外国人を受け入れていきたいとお考えの大家さんは、参考にしてみてください。

関連記事

会員登録・ログインはこちら

最新記事

  1. 限界集落と聞くと、かなり田舎~に限定される話に聞こえますが、実は都会でも、というか、23区内でも限界…
  2. いきなりですが、筆者は関西人です。そして同級生の子どもが、昨年の春、東京に就職しました。 22…
  3. ビルオーナーや一棟マンションのオーナーなどは、持ち物件に防犯カメラを設置したいと考えている方も多いと…
  4. 先日、「不動産投資(大家業)は絶対にすべきではない」と力説する方に出会ってしまいました。不慮の事故み…
  5. 先日、友人と、あるミーティングに参加させられました。テーマは、「資産を増やす」というもの。 た…
ページ上部へ戻る