賃貸物件での家賃交渉の上手い方法とは? やり過ぎには注意する
- 2019/7/11
- 賃貸
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賃貸物件を決めるときに「家賃交渉」をしたことがある方も多いのではないでしょうか?
しかし、家賃を下げるにはテクニックが必要です。失敗すると入居できなくなったり、入居する前から家主さんとの関係が悪くなる…、なんてこともあります。賃貸物件の営業を行うプロが家賃の交渉について教えます。
あくまでも「お願いする」姿勢で
「家賃は下げてくれるものでしょ?」という姿勢で話される方が多くいます。不動産会社の立場から言わせて頂くと、下げて当然という態度のお客さんに家賃交渉をしてあげる理由がありません。
逆に質問させてください。あなたが会社員だとします。上司から「あなたの給料を会社のために下げて当然ですよね」と言われたらどのように思いますか?
家賃収入で生活している家主さんいれば、借金返済に充てている家主さんもいます。資金繰りに困っている家主さんも実際にいます。家賃を下げることは「私のためにあなたの収入を下げてください」と言っているのと同じことです。これを十分に理解していれば、下げて当然という態度にはならないはずです。
まずは交渉のテーブルに乗せるためにも「お願い」や「相談」という姿勢が大事になります。
不動産屋を味方につける
家賃交渉は不動産会社の営業マンがあなたの代わりに行います。不動産会社に対しても「相談に乗ってください」という低姿勢が大事です。不動産会社にも家主さんにも、あなたがいかに良いお客さんであるかアピールしてください。
アピールするポイントは3つあります。
1つ目は来店時の服装です。スーツを着ていく必要はありませんが、清潔な服装で行きましょう。ジャージで来る方もいらっしゃいますが「家賃を払っていけるのかな?」「近隣住民と問題を起こさないかな?」など、余計な不安を与えてしまいます。個性的過ぎる服装も避けた方が良いでしょう。
2つ目はあなたの職業です。年収が高いかどうかよりも、勤続年数や、まじめに働いていることをアピールしてください。
大手企業に勤めている方は、不動産会社に早い段階で伝えておきましょう。家主さんに何かしらの交渉をする際にも「そんな立派なところに勤めている方なら安心だ!」とスムーズに進むこともあります。ただし、お金持ちアピールをし過ぎると「お金があるのになぜ家賃を交渉するの?」と矛盾が生じてしまうので注意してください。
3つ目は引っ越しの理由です。たとえば、現在学生で就職のために上京した若い青年と、お金に余裕ができたから少し良い物件に引っ越そうとしている30代男性がいたとします。あなたならどちらを応援したいでしょうか。家主さんも人間です。若い青年の家賃を下げてあげたいと思うのが人情です。
シングルマザーで仕事と子育てを頑張っている女性、結婚したばかりでこれから2人で頑張っていこうとしている夫婦など、「頑張っている姿勢」は家賃交渉の材料になります。
ただし、家賃交渉には有利に働いても、入居前の審査で不利に働くこともありますのでご注意ください。「頑張っている」とは、裏を返せば「現状は安定していない」と捉えることもできます。
そもそも交渉ができないもの
お願いする姿勢を理解して、不動産会社を味方につけることができたなら、やっと交渉のテーブルが準備できました。ここから本題に入ります。
交渉のテーブルが準備できたとしても、全てが交渉できる訳ではありません。これまでは「家賃交渉」の話でしたが、不動産会社で部屋を決める際には「初期費用」というものがあります。初期費用が20万円かかるとしたら、「10万円に値引きしてくれ!」なんて言い出す方もいます。
初期費用には、家賃、駐車料、敷金・礼金、仲介手数料、火災保険(家財保険)、家賃保証会社加入料、その他オプションが含まれます。
物件に必要な家賃・駐車料・敷金・礼金は家主のもの、保険料は保険会社に払うものです。値引きしてあげたいのは山々ですが、不動産会社はあくまでも仲介業者です。できないものはできません。
できないことをしつこくお願いされても、正直なところ「うっとうしい」と思うのが本音です。
無理なお願いは、せっかく準備した交渉のテーブルを台無しにしてしまうかもしれません。
不動産屋が交渉できる範囲とは?
交渉できる大部分が家賃・敷金・礼金です。
まずは家賃についてですが、物件が新築であれば家賃を下げる理由がありませんので、家賃交渉は基本的にNGです。築年数が経過していても、家賃を下げる必要のない人気物件も稀にあります。
築年数がある程度経過したものに加え、空室が目立ち始めた物件や、賃貸業界の繁忙期である11月~3月でお客さんが決まらなかった物件が家賃交渉の狙い目です。
契約時に「家賃フリーレント期間」を作る交渉も1つの方法です。家賃フリーレント期間とは、契約時に無料で住める期間を言います。たとえば、家賃交渉が上手くいかなかった場合、
不動産会社「家賃60,000円の物件ではありますが、58,000円で借りたいというお客さんがいるのですがどうですか?」
家主さん 「60,000円でも十分に決まる物件だから、そのお客さんは断って構わないよ。」
不動産会社「でしたら、家賃60,000円のままで、初期費用の負担を軽減するために家賃発生を1ヵ月遅らせてもらえませんか? 引っ越しの準備の期間の兼ね合いもあるようですので。」
家主さん 「それなら大丈夫だよ。」
という展開も想定できます。1ヵ月の家賃が無料になるということは、
家賃6万円÷2年間(24ヵ月)=2,500円
つまり、2年間で考えれば、家賃57,500円で住んでいるのと変わりません。2段構え、3段構えで準備しておくことによって損をしにくくなります。
敷金・礼金を下げる交渉も物件によっては可能です。しかし、言い換えれば原状回復に必要な預り金を減らす行為となります。
たとえば、家賃30,000円の物件を敷金1ヵ月で契約すれば、退去の際に超過する可能性が高いことは言うまでもありません。ある程度の敷金・礼金を預け入れておけば、預り金の中で納まるように清算し、超過分請求をできるだけ避ける傾向にあります。退去後の原状回復費の超過分請求については揉めることが多いからです。
敷金・礼金の交渉のやり過ぎによっては、退去時に予想外の出費が発生することもあります。
家賃交渉の失敗例
ここまでの流れでお分かり頂けたかと思いますが、入居前までは家主さんの意見が絶対です。家主さんの気を損なえば、物件をいくら気に入っていても済むことさえできません。
【ケース1】常識の範囲を超えた家賃交渉
お客さん 「家賃60,000円か。物件はここに決めよう。50,000円になるか聞いてくれます?」
不動産会社「50,000円ですか? それは無理かと思います。」
お客さん 「一応聞いてみてくださいよ。」
不動産会社「わかりました…。 もしもし、家主さん、物件を大変気に入られたお客様がいるのですが、ご相談があります。」
家主さん 「どうしましたか?」
不動産会社「お気を悪くしないでくださいね。家賃50,000円でしたら即決したいという方がいらっしゃいまして。」
家主さん 「何を言ってるの?常識が無いようなお客さんなら断って。」
不動産会社「申し訳ございません。」
お客さん 「やっぱり無理ですよね。仕方ないけど60,000円で良いからここに決めます。」
不動産会社「わかりました。 もしもし、家主さん、先程のお客さんですが60,000円で大丈夫です。」
家主さん 「いいえ結構です。常識がないお客さんに住んでもらいたくありません。電話してこないで。」
お客さん 「えっ?住むこともできないなんて。」
→「値切り」と「交渉」を履き違えないでください。交渉には多少なりにもリスクが伴います。
【ケース2】家賃交渉に成功した後、更に家賃交渉を求める
お客さん 「家賃60,000円の物件ですが、もし58,000円になれば今日ここに決めます。」
不動産会社「わかりました。 もしもし、家主さん、家賃が58,000円になれば今日申込まれたいお客さんがいるのですがいかがでしょうか?」
家主さん 「それで大丈夫です。」
不動産会社「ありがとうございます。また再度電話いたします。」
お客さん 「次は敷金1ヵ月分減らして、フリーレントも1ヵ月付けてもらえます?」
不動産会社「家賃が58,000円になれば申込むと言いましたよね?」
お客さん 「一応聞いてもらえますか?」
不動産会社「わかりました。 もしもし、家主さん、先程のお客さんですが敷金1ヵ月分減らして、フリーレントも1ヵ月付けてもらえないでしょうか?」
家主さん 「先程の条件で申込むと言いましたよね? 後出しは卑怯じゃないですか?では、その条件で良いので、家賃値下げの話は無しです。」
不動産会社「申し訳ございません。」
お客さん 「それでは話が違います…。」
→交渉を軽く捉えないでください。営業マンとしっかり話をした上で交渉に入るべきです。何でも言えば良いというものではなく、交渉には順序があります。
まとめ
担当の営業マンが交渉をし易いように、あなたのことはあなたからできるだけ話すようにしましょう。情報はできるだけ多い方が、交渉の際に上手く切り返すことができます。
お願いする姿勢、相談に乗ってもらう姿勢を忘れずに交渉へと望んでください。