畳のサイズは地方によって違う!種類や呼び方、賃貸物件の基準を解説
部屋の広さを表す単位としてよく用いられる単位、「〇畳(じょう)」。この「畳」とは畳のことで、6畳の部屋とは畳6枚分の広さがある部屋という意味です。しかし部屋の広さの基となる畳ですが、地方によって微妙にサイズが異なるのはご存じですか?
今回は、そんな畳のサイズについてお伝えします。地方ごとに異なる畳のサイズと、どうしてこんなにたくさんのサイズがあるのかという理由についてもご紹介します。
畳は地方によってサイズが違う。最大で1.25倍もの差が!
部屋の広さの基準ともなっている、畳のサイズ。実は、畳のサイズは地方によって少しずつ異なります。
一言で「〇畳の部屋」といっても、基準となる畳のサイズが違えば部屋の広さもイメージとは違うかもしれません。そこで、まずは地方ごとに異なる畳のサイズについて解説します。
京間:1.91㍍×0.955㍍
京間は桃山時代に生まれた畳のサイズで、畳の種類の中で最も長い歴史を持ちます。
関西地方を中心に
- 中国
- 四国
- 九州
などの地方でも使われており、茶室や書院などを設計する際に基準となるサイズです。
畳のサイズは1.91㍍×0.955㍍で、縦の長さが約6.3尺(1尺=30.303㌢㍍)となることから「六三間」と呼ばれることもあり、そのほか、関西間、本間という呼び名も。6畳間だと面積は10.94平方㍍となり、「京間」は畳の中では最も大きなサイズです。
中京間:1.82㍍×0.91㍍
中京間は、京間の次に大きなサイズ。
主に
- 愛知県
- 岐阜県
- 三重県
などで多く採用されており、そのほかには
- 近畿
- 四国
- 東北
といった地方でも使われている場合があるようです。
畳のサイズは1.82㍍×0.91㍍で、縦が約6尺、横が約3尺であることから、正式名称を「三六間」といいます。6畳間の広さは9.93平方㍍となり、この後ご紹介する「江戸間」の次に考案されたサイズです。
江戸間:1.76㍍×0.878㍍
東京を中心に、関東地方および静岡以北から北海道に至るまで、東日本エリアの大部分で多く使用されている畳のサイズ「江戸間」は、その名の通り、江戸時代に生まれたサイズといわれています。
畳の大きさは1.76㍍×0.878㍍で、縦が5尺8寸あることから「五八間」と呼ばれるほか、「関東間」「田舎間」といった呼び名も。6畳間の広さは9.27平方㍍です。
団地間:1.7㍍×0.85㍍
地域に関係なく、
- アパート
- マンション
- 団地
などの集合住宅で主に採用されているサイズが「団地間」です。
第二次世界大戦後、高度成長期に入った日本で住宅ニーズが高まり、多くの団地が建設されました。団地間は、その際に生まれた新しい畳のサイズです。
決まった基準があるわけではないですが、1.7㍍×0.85㍍のサイズが多く、縦が約5尺6寸であることから「五六間」とも呼ばれます。
団地間は数ある畳の中でも小さなサイズで、6畳間の広さは8.67平方㍍。最も大きな京間の6畳間は10.94平方㍍ですので、団地間は京間の8割程度しかありません。団地間と京間の差は約1.25倍! 団地間の6畳は、どちらかというと京間の4畳半(8.20平方㍍)に近いくらい小さな畳なのです。
そのほかのサイズ
上記でご紹介したのは、よく見られる畳のサイズです。
そのほかにも、
- 鳥取県
- 島根県
- 山口県
といった山陰地方で使われる「六一間」(1.85㍍×0.92.5㍍、縦約6尺1寸)や、沖縄で使われる正方形の「琉球間」(0.8㍍×0.8㍍)など、日本にはさまざまなサイズの畳があります。
ただ、ご紹介してきたサイズとエリアの関係は、あくまでそういった傾向が多いというもので、必ずしもこのようにきっちり分かれているとは限りません。ご自宅の畳のサイズも、ぜひ確認してみてはいかがでしょうか。
また、バラエティ豊かな畳のサイズですが、全てのサイズに共通している点が1つあります。それは、縦横比が2:1となっていること(正方形の畳を除く)。この縦横比であることで、どのサイズの畳でも4畳半、6畳、8畳を四角く組むことができ、少ない枚数の畳で効率的な部屋割りが可能なのです。
畳のサイズに種類がある理由とは?2つの説をご紹介!
どうして畳にはこんなにたくさんのサイズがあるのでしょうか。 それには、こんな理由があるといわれています。
【理由その1】時代の流れで変化した
畳の大きさの基となる単位は、建物の柱と柱の間の広さである「一間(いっけん)」ですが、この大きさにはその時代や土地の文化が反映しているといわれています。
例えば、織田信長の時代には一間(畳の縦の長さ)=6尺5寸だったようです。どうしてこのサイズかというと、畳は「い草」や「わら」でしっかり組まれた頑丈な床材。平時は床材として使用しつつ、戦の際には鉄砲や「やり」から城を守る盾として使おうと考え、安土城の柱の間隔に合わせたという説があります。
その後、豊臣秀吉の時代には一間は6尺3寸、徳川家康の時代には6尺と変化していくのですが、どうやらこのときの理由は増税のようです。土地の広さに対して納税の義務をかけていたので、同じ広さの土地でも基準となる単位を小さくすることで申告数字が大きくなり、税金が大きくなるというからくりです。(※諸説あります)
【理由その2】畳が基準か、家が基準か、の違い
関西では畳を基準に一間(柱と柱の間)を決め、そこから家の大きさを考える「畳割り」が主流でした。それに対して、関東では先に家の大きさを決め、その柱の間を一間として畳のサイズを決める「柱割り」が主流。この違いにより畳のサイズが異なる、という説もあります。
なお、関東エリアの人口増加に伴って効率的に住居を建てる必要性が高まったために、関東では柱割りの方法が広まったといわれています。戦後の高度成長期に多くの団地や集合住宅が建てられ、その際にできた「団地間」という畳のサイズも柱割りが普及することによって誕生したサイズの1つといえるでしょう。
賃貸住宅では1畳=1.62平方㍍以上と統一されている
畳のサイズが地域で異なるなら、同じ6畳間といっても部屋の正しいサイズが分からないですよね。これで困るのは、賃貸住宅などを探すときではないでしょうか。
間取り図では部屋の大きさを「〇畳(帖)」と表記していますが、「6畳の部屋」といっても、これまで説明してきた通り基準となる畳の大きさに違いがあれば部屋の大きさにも差が出てしまいます。
しかし大丈夫です。賃貸住宅での「〇畳」という表記については、不動産の表示規約で「1畳=1.62平方㍍以上」と基準が決まっています。1.62平方㍍というと、江戸間と同じ広さですね。
実際の面積よりも広く表示することは禁じられていますので、賃貸住宅で6畳間と表記されている部屋は最低でも9.72平方㍍以上の広さがあるといえます。実面積より小さなサイズを表記することは問題ありませんので、実際には7畳に近い広さの部屋を「6畳」と表記しているケースもあるようです。
ただし、このときに注意してほしいのは、賃貸の間取りで表示される部屋の広さは部屋の床面積ではなく壁芯(へきしん)面積で計算・表示されているということ。壁芯面積とは、「柱」や「壁の厚さ」の中心点から測って算出した面積のことです。
実際の床面積と比べると、柱や壁の厚さ分だけ少し狭く感じる可能性があります。そう大きな差ではありませんが、知っておくとよいでしょう。
まとめ
畳は、エリアや建物によってサイズの違いがあります。最も大きなサイズの畳は、何と最も小さなサイズの約1.25倍! 同じ「6畳間」といっても、意外と大きな差になることもあるようです。
背景を知るとなかなか面白い、畳のサイズ。ご自宅にある畳のサイズも、これを機に調べてみてはいかがでしょうか。