住まいの耐震性に不安を感じたときにチェックするポイント10選
中古物件を購入する際は、住まいの耐震性能に不安を感じることも多いのではないでしょうか。そんなときはプロによる耐震診断がオススメですが、まずは自分でチェックしてみることも大切です。
今日は、住まいの耐震性を自分でチェックする方法を紹介します。中古物件を購入する際だけでなく、今お住まいの住宅をチェックする際にも役立ちますので、ぜひ活用してください。
耐震性のチェックポイント10選
では早速、自分で耐震性を診断する際のチェック項目を紹介します。
◇チェックポイント1.建物が建った時期
最初にチェックする項目は、建物の建った時期です。
ポイントとなるのは、1981年の6月以降に建てられたのか、それとも1981年の5月以前に建てられたのかという点。これは、1981年の6月に建築基準法が改正されたためです。
建築基準法が改正されたことにより、耐震基準が高まりました。そのため、1981年5月以前に建てられた住宅に比べると、6月以降に建てられた住宅は耐震性が高いのです。
購入を考えている建物が1981年の5月以前に建った住宅であれば、プロによる耐震診断を一度しっかり受けてみましょう。
◇チェックポイント2.大きな災害の有無
2つ目のチェック項目は、大きな災害に見舞われたことがあるかどうかです。
大きな災害とは、
- 床下浸水や床上浸水といった水害
- 火災
- 車の突入事故
- 大地震
などを指します。
大きな災害に見舞われたことのある住宅には注意が必要です。しっかりと補修したつもりでも、ダメージが残っているかもしれません。「大きな災害に見舞われたことがない」と断言できない場合は、念のためプロによる耐震診断を受けましょう。
◇チェックポイント3.増築・改築の有無
続いて紹介する項目は、増築や改築についてです。
もし増築や改築をおこなった履歴がある場合は、その際に「確認申請」をおこなったかどうかもあわせて確認してください。確認申請とは、行政に増築や改築の許可を得るための申請です。
確認申請をおこなったうえで増築や改築をしていれば、その住宅は適切な施工をおこなったと考えられます。
反対にいえば、この確認をおこなわずに増築や改築をしている住宅は、違法建築(建築基準法に沿って建築されていない)の可能性があるということです。
中古物件の場合、オーナーが何度も変わっていて実際の増改築歴が分からないケースも少なくありません。「増築をしたことはない」と聞いて契約したにもかかわらず、後になって増築の事実が判明したというケースもあります。
増築や改築の履歴を調べるには、登記簿に記載してある情報と実際の住宅情報を比べてみるのがオススメです。もし何か違いがあれば、増築や改築をおこなった際に登記していない可能性があります。
増改築には確認申請の不要なケースもありますので、よく分からない人は一度しっかりプロにチェックしてもらいましょう。
◇チェックポイント4.老朽化している箇所
耐震性を判断するなら、住宅に老朽化(ろうきゅうか)している箇所がないかをチェックすることも大切です。
老朽化とは、住宅が極端に劣化すること。そのままの状態で暮らし続けると危険な劣化を、老朽といいます。
たとえば、建物の外部や内部、屋根や基礎などに
- ヒビ割れ
- 隙間やシミ、傾き、雨漏り
- シロアリ被害
といった状態があれば、老朽化している可能性を無視できません。
老朽化した建物には高い耐震性も期待できないため、もし購入するなら購入前にどのようなリフォームが必要なのかを考えましょう。
◇チェックポイント5.建物(平面)の形
続いて注目するのは、建物の形です。建物の平面が長方形に近ければ、耐震性の高い住宅といえます。
一方、
- T字
- L字
- コの字
などの形をしている住宅は、あまり耐震性が高くありません。
一度、1階の平面について形を確認してみましょう。確認する際は、出窓やバルコニー、物干しバルコニーなどは省いて考えます。
◇チェックポイント6.大きな吹き抜けの有無
6つ目のチェック項目は、吹き抜けについてです。
ポイントとなるのは、吹き抜けのサイズ。一辺が4メートル以上ある吹き抜けのある住宅は、耐震性に不安があります。というのも、大きな吹き抜けのある住宅は地震のせいでゆがんでしまう可能性があるからです。
大きな吹き抜けのある中古物件は、一度プロに耐震診断を依頼しましょう。
◇チェックポイント7.壁面の一致・不一致
続いて紹介するのは、2階の外壁と1階の壁に関するチェック項目です。平屋であれば問題ありませんので、平屋の購入を検討している人は次の項目へ進んでください。
まず、2階の外壁に注目してみましょう。外壁の真下には、1階の内壁もしくは外壁がありますか? 外壁の下が空間だった場合、耐震性に不安があります。
ただし、ツーバイフォー工法で建てられた住宅は例外です。ツーバイフォー工法は住宅全体で地震の揺れを受け止めて分散するため、一般的な工法で建てられた住宅よりも耐震性に優れています。
2階と1階の壁面が一致していない場合は、プロによる耐震診断を受けましょう。
◇チェックポイント8.壁の配置バランス
続いてチェックするのは、1階の外壁についてです。
1階の外壁が4つ全ての方角に配置してあれば、耐震性は高いと考えられます。
反対に、全ての方角に外壁がない住宅は十分に耐震性能のある建物とはいえません。
たとえば、コの字形やL字形の住宅などは外壁のない方角があります。こういった形の住宅は、配置バランスの視点から見ると耐震性に不安があるといえるでしょう。
なお、この項目でチェックする外壁は、約91センチ(3尺)以上の幅がある外壁です。たとえ外壁の数が多くても、幅の狭い壁しかない住宅は耐震性に不安があります。思い当たる場合は、一度プロに耐震診断を依頼してみましょう。
◇チェックポイント9.屋根材の重さと耐力壁のバランス
続いて、屋根材の重さと耐力壁のバランスを見ます。
屋根材といえば、有名なのは瓦ですね。瓦のほかには、金属系やスレート系、セメント系などの屋根材があります。屋根材の中で最も軽いのが金属系、最も重いのが瓦です。
軽い屋根材を使っているなら、耐震性には心配ありません。注意が必要なのは、重い屋根材を使っている場合です。
重い屋根材を使っている住宅は、重心の位置が高くなります。そのため、地震の際は揺れが大きくなりやすいのです。とはいえ、たとえ重い屋根材を使っていても、1階にバランス良く耐力壁を配置していれば耐震性は高まります。
耐力壁とは、筋交いや構造合板を入れた壁のこと。ただの壁とは違って地震の揺れや重さに耐えられるため、耐力壁は耐震性能を高めるためには欠かせない存在です。
重い屋根材を使っているのに1階の耐力壁が少ない場合や、耐力壁の配置バランスが良くない場合などは耐震性に不安があります。もし購入予定の住宅に重い屋根材を使っているなら、一度しっかりとプロにチェックしてもらった方が良いでしょう。
◇チェックポイント10.基礎の強度
最後に紹介するのは、基礎の強度です。
基礎には、
- ベタ基礎
- 布基礎
- SRC基礎
- 杭基礎
などの種類があります。
耐震性が高いのは、これらの基礎に鉄筋コンクリートを使っている住宅です。ただし、基礎にひび割れや傾きを見つけたら要注意。そのまま補強をしなければ、耐震性に問題が残ります。
鉄筋コンクリートを使っていない基礎の場合は、基礎を補強したり作り直したりする必要があるかもしれません。基礎についての知識がない人は、プロに相談してみましょう。
まとめ
今日は、住まいの耐震性を自分でチェックする方法を紹介しました。
中古物件を購入する予定のある人は、これら10個のポイントについてまず自分でチェックしてみましょう。そのうえで、不安がある場合はプロに依頼して耐震診断をしてもらうと、より安心できますよ。
また、現在は多くの自治体が耐震診断の費用に対する補助金を支給しています。補助金の条件などは自治体によって異なりますので、公式サイトをチェックするほか、「耐震診断 補助金 ○○(市区町村名)」といったキーワードで検索してみてくださいね。