マンション管理業には宅建業の免許は不要!管理会社を選ぶポイント
マンション管理業を委託する管理会社を選ぶ際、宅建業の免許があるかどうかを確認した方がいいのだろうか、とお考えではありませんか?
マンション管理業は宅地建物取引業には含まれないため、宅建業の資格がなくても営業可能です。管理会社を選ぶポイントは別のところにあります。今回は、不動産管理・マンション管理に免許が不要な理由を、不動産業と宅建業の違いについて説明します。
そのあと、マンション管理業に適用される法律の解説と、管理会社を選ぶポイントについても解説しますので、ぜひご一読頂き、管理会社を選ぶ際の参考にしてください。
不動産業と宅地建物取引業(宅建業)の違い
不動産管理業やマンション管理業は、不動産業の一種です。宅建業も不動産業の一種ですが、管理業とは業務範囲が違います。まずは、この違いについて、もう少し詳しく説明します。
不動産業とは不動産に関わるすべての業務のこと
不動産業とはとても広い範囲の言葉で、不動産に関わる全ての業務を含みます。
- 不動産の売買:土地や建物などを売ったり買ったりする業務
- 不動産の仲介:賃貸物件を借りたい人と貸したい人、売りたい人と買いたい人を仲介する業務
- 不動産の賃貸:所有する不動産を借りたい人に貸し出す業務(大家さん)
- 不動産の管理:不動産(賃貸物件や分譲マンション)を管理する業務
マンション管理業は「不動産の管理」業務に当たります。
不動産業と宅建業は同義ではありません。不動産業には、売買、仲介(「媒介」ともいわれます)、賃貸(土地や住宅・ビルの大家)、管理(分譲マンションの管理、賃貸物件の管理等)など、様々な業種が含まれます。一方、宅建業は、不動産業のうち、売買や仲介といった取引(流通)を取り扱う業種のみが含まれます。したがって、住まいの売却や購入に当たっては、宅建業について理解しておく必要があります。
宅建業とは建物の流通にかかわる業務のこと
宅建業とは、不動産業として紹介した業務の中で、土地や建物の流通に関わる業務のことを指します。つまり、以下の業務です。
- 不動産の売買:土地や建物などを売ったり買ったりする業務
- 不動産の仲介:賃貸物件を借りたい人と貸したい人、売りたい人と買いたい人を仲介する業務
これらの業務には宅建業の資格が必要です。
賃貸住宅やマンションの管理業は宅建業には含まれない
不動産の賃貸業務(大家さん)や賃貸住宅・マンションなどの管理業務は宅建業に含まれません。これらの管理業務は、宅建業の免許がなくても営業できます。ただし、賃貸住宅やマンションの管理業もまた、守らなければならない法律がありますので、次項で詳しく説明します。
マンション管理業に関する法律と賃貸住宅管理業の登録制度
マンション管理業を営むには、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に定められた通り、国土交通省の管理するマンション管理業者登録簿への登録を申請しなければなりません。また、賃貸住宅管理業については、国土交通省より、賃貸住宅管理業の登録制度が設けられています。
宅建業の免許は必要ありませんが、どちらも一定の条件を満たして登録を受けることで、快適な住環境を守り、安心して管理業務を委ねられる業者を選ぶ指針となります。
マンション管理業者は、国土交通省の管理するマンション管理業者登録簿への登録を義務付けられています。この法律によれば、マンション管理業とは、管理組合から委託を受けて、基幹事務と呼ばれる以下の仕事をすべて業務として行うこと、と定められています。
【マンション管理業務の基幹事務】
- 管理組合の会計の調定
- 出納
- マンション共有部分の維持または修繕の企画または実施の調整
マンション管理業者登録簿への登録は、マンション管理業を営めるだけの財産的な基盤と事務所設備を持っていることが求められています。また、事務所ごとに管理業務主任者を置くことも必要です。管理会社は、自身が国土交通省への登録を済ませていることを、標識として明示することも義務付けられています。
マンション管理業務は、他にも重要事項の説明や契約が成立したときの書類交付、管理組合が積み立てている周縁費用などの財産を分別して管理、管理事務の報告などの内容が定められています。
賃貸住宅管理業の登録制度も、内容的にはマンション管理業とほとんど同じです。マンション管理業のように法制化されているわけではありませんが、求められる業務内容はマンションと同様です。
マンション管理を託す管理会社を選ぶときのポイント
マンション管理業は、宅建業の資格は不要ですが、国土交通省へ登録をする必要があります。そのため、マンション管理を託す管理会社を選ぶ際は、登録業者かどうかを確認することは最低限必要です。そのほかに、管理会社を選ぶポイントもまとめましたので紹介します。
管理会社の担当者は有資格で経験豊富か
管理会社から派遣されてくる担当者のレベルが高いかどうかは、管理業務の質に大きく左右されます。特に、以下のことは必ず確認しましょう。
- 管理業務主任者の有資格者率
- 担当者が資格を持っていて経験豊富か
管理業務主任者の有資格者率が8割を超えていれば、かなり意識の高い管理会社と言えるでしょう。自分のマンションにやってくる担当者は、もちろん管理業務主任者の資格を持っていることを確認してください。さらに、マンションの管理業務について経験を積んでいるかどうかもチェックしましょう。未経験の担当者ならベテラン担当者と一緒に行動して、指導が行き届いているかどうかも見ておきたい部分です。
管理業務におけるレベルの高さ
管理業務をどこまでやってもらえるかどうかも、チェックしておくべき重要なことです。事前に分かるレベルは限られるかもしれませんが、月次報告書のサンプルを見せてもらうなどして、できる限りチェックしておきましょう。
- 月次報告時に会計だけでなく滞納者への対応や管理員の業務報告なども挙げられているか
- 設備点検の立ち合いに社員または管理員が立ち会うこと
月次報告書で会計報告しか掲載していない管理会社は、サービスレベルが低いと考えてください。滞納者が誰か、フォロー状況はどうなっているかの一覧は最低限必要です。入居者や駐車場・駐輪場の入れ替わり状況や、管理員の業務報告、日々の掃除についてもきちんと報告が挙げられているフォーマットになっているか確認しましょう。
マンションの設備に不具合が起こったときに、不具合の原因を明確に説明し、どういう手段の修繕方法があり、選択肢がある場合は管理組合に選択肢を提示できるだけの技術力を持った担当者がいることが望ましいです。
また、設備点検の立ち合いには、できれば管理会社の社員がいた方が、「点検担当者もきちんとしなければいけない」という意識が強くなります。管理員立ち合いの場合は、通常勤務の時間外でも立ち合いに対応してくれる方がサービスレベルは高いです。
その他修繕業務へのかかわり方や滞納者への対応など
管理会社の担当者と管理業務の内容についてチェックポイントをいくつか挙げましたが、他にも見ておきたいポイントがあります。それは、マンションの場合避けて通れない修繕業務と滞納者への対応です。
修繕業務に関しては、社内に修繕専門の部署があり、技術的に明るい社員が在籍しているかどうかを確認したいところです。修繕関連部署には、一級建築士や一級建築施工管理技師などの有資格者がいて、アドバイスできる仕組みになっているかどうかも聞いてみましょう。
大規模修繕にはあまり関わらないか、すべて任せてもらえないならタッチしないという姿勢の管理会社もあります。当然大規模修繕にもかかわってもらえるだろう、と思っていたら当てが外れてしまったということにならないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。
滞納者に対してどのような対応をしていくのか、そして対応状況をどのような形で報告してもらうのかという点は、特に重要な部分です。放置されてしまうと管理組合にとって負担となりますので、フォロー体制がしっかりしている管理会社を選びましょう。多くの場合、6ヶ月までフォローし続けてくれる管理会社が多いのですが、それより短い期間で打ち切る管理会社もありますので、事前に確認してください。
管理会社がどこまで仕事を担当してくれるのかについて、細かく認識合わせをしておかないと、あとあと困ったことになりかねません。ここで説明したことだけではなく、他にも気付いた点はすぐ質問をして、疑問を一つずつ解消していきましょう。
まとめ
マンション管理業には宅建業の資格は必要ないことを説明しました。不動産業全体の中で、宅建業は不動産の流通に関わる業務を担当します。具体的には不動産の売買や賃貸・売買の仲介が宅建業の仕事です。
宅建業の範囲に入らない不動産の管理業は、主に賃貸住宅管理業や分譲マンション管理業に分類されます。どちらも国都交通省への登録制度があり、一定以上のレベルを満たしている業者かどうかの確認手段となります。ただ、同じ登録業者でもサービルレベルはかなり違いがあるため、管理会社を新しく決めるときにいくつかチェックをして、より質のいい管理会社を見つけましょう。