電力自由化と一括受電サービスとは?お得でも導入できない理由を考える

2016年4月の電力自由化に伴い、私たちの電気に関わる環境はガラリと変わりました。TVのCMでもさまざまな企業がサービスを展開しており、どこが安いのか?どこがお得なのか?と、気になるところですよね。そんなときに、目に飛び込むキーワードの1つとしてあげられるのが、一括受電サービスです。
ここでは、電力自由化と一括受電サービスの仕組み、関係性についてご紹介します。

 

一括受電サービスとは?

電気は各家庭が低圧電力契約を電力会社と結んでいるのが一般的です。マンションの場合も同様に、専有部=各家庭で低圧電力契約を結んでいます。一方、一括受電サービスとは、2004年4月の高圧電力の自由化に伴い開始されたサービスで、マンション全体で安い高圧電流を一括で受電する契約を結ぶことにより、電気料金を割安にするというもの。2000年より大規模工場などで開始された電力自由化から波及したサービスの1つです。

高圧一括受電

一括受電サービスは、マンション一棟単位で高電圧の受電契約を結び、マンションの敷地内に変圧器を設け、高圧電力を一括で受電。その後に低圧電力に変圧して各家庭に配電します。

高圧一括受電のメリットは、なんと言っても電気代が安いこと

高圧一括受電の最大のメリットは電気代が安くなること。このために、高圧一括受電契約を結ぶと言っても過言ではないでしょう。専有部分(各家庭)はもちろんのこと、共有部分においても電気代が生じるのがマンション。その共有部分においては専有部分よりも大きな割引率で、電気を供給するサービスも多く見受けられます。自分が普段から立ち入らない箇所の電気代を払うのはイメージとして損をしている感覚がするもの。その点において料金が縮小されるのは嬉しい限りですよね。

高圧一括受電のデメリットは、契約が10年と長めなこと

高圧一括受電の契約は一般的に10年です。中には15年契約といったこともあります。これは高圧一括受電サービスを導入する際に、高圧から低圧に変圧する設備、各戸へのメーター設備など、サービス導入時に必要な設備を一定の期間をかけて減価償却する必要があるためです。変圧器設置に関わる設備費用が別途必要ない、無料である場合でも、その実、10年単位で償却する必要があるというカラクリです。

そして、もちろん途中解約は違約金が発生します。2016年4月からスタートした電力自由化。この波は大きく、各社がこぞってさまざまなサービスプランを設け電気供給が次々と出てきました。ところが、一度一括受電サービスを契約してしまうと、今後魅力的なプランがあっても、手軽に切り替えることは出来なくなってしまいます。そのため、10年契約という壁は高圧一括受電契約の大きなデメリットといえるわけです。

オール電化対応が未整備なこともデメリットのひとつ

戸建てではオール電化を取り入れている家庭が増えて来ています。これはマンションにおいても同じです。たとえばオール電化でエコキュートを利用して、夜の間に電気でお湯を沸かして利用するのは、夜間に電気使用量が安いプランを有効に使うためです。ですが、高圧一括受電サービスには、このオール電化に対応するプランがまだありません(2019年3月現在)。後々、深夜の安価な電気供給サービスに対応するプランが提供されるかもしれませんが、いつオール電化に対応したサービスが出て来るのか、そもそも対応サービスが始まるかも不明な点はデメリットと言えるでしょう。

 

高圧一括受電に切り替えるには

では、高圧一括受電に切り替えて、電気代を安く抑えたいと考えるとき、どうすれば切り替えることが出来るのでしょうか。「一括」ですから、個別に契約することはできません。
基本的にクリアしなければいけない条件が4つあります。

  1. マンション全体の電気消費量が50キロワットを超えていること
  2. 電気の変圧器がマンション管理組合の管轄であること
  3. マンション管理組合における承認(3/4)が必要
  4. 入居者全戸の同意が必要

1、2の条件はマンションの管理会社に問い合わせて、確認すればすぐに済みます。大型のマンションであれば、おおむねクリア出来る条件です。問題なのは残りの2つです。まずは3つ目のマンションの管理組合における承認は、管理組合の総会にてその内容を打診し、3/4の賛成を得ることとなります。ここでは十分は話し合いもされる上、反対する人が1/4いてもかまわないわけですから、強力なリーダーシップがあれば概ねクリアできるというところも多くなります。

最大の問題となるのが4つ目の条件となります。多くはマンションの総会決議のあと、入居者全戸の同意を取る作業に入ります。マンションの入居者数にもよりますが、説明会を行っても全戸が参加することは難しく、書類で説明することが多くなります。こうなると、読まずに反対する人も出てきて面倒になります。

マンションが多きくなるほど、反対意見は出てくる

文字通り入居者全戸の同意が必要ですので、その中にはマンション内に出店する店舗も入ってきます。こうなると、変電設備の点検のための停電や検針器やブレーカーの取り替えなどによる煩わしさから、反対してくる人が出てきます。また、区分所有で賃貸にしている場合は、所有者だけでなく賃借人の判断も加わってくるので交渉は難航します。なにしろ、入居者全戸の同意が必要ですから、1人でも反対する人がいれば熱心に説得しなければなりません。こうなると、誰が交渉するのか?という問題もでてきます。

昨今の電力自由化に伴い、個別乗り換えできる他のサービスに魅力を感じる人も多いでしょう。たとえば200戸のマンションであれば、高圧一括受電サービス以外の電力供給サービスに魅力を感じ、反対する人がいても不思議ではありません。すでにガスとセットで安くなるプランを利用している人などもいて、価格の安さだけでは納得を得にくい状況もあります。さらに、電気代が安くなると言っても、価格にはあまり興味がない人も存在します。一括受電を巡って住民同士のいがみ合いに発展し、裁判にまでなっているケースがあることを考えると、二の足を踏んでしまうケースもあるのです。

共有部分のみ契約する方法もある

高圧一括受電サービスを利用した場合、単純に電気代だけを見てみると、高圧一括受電サービスの方がお得になるケースが多くなります。2019年現在では、東京電力管内でみれば、高圧電力の託送料金が1kwhあたり3.77円なのに比べて、低圧電力の託送料金は8.57円です。電気代金のみで考えれば高圧電力の方がかなりお得です。ただし、個別契約で魅力的な契約をしている人もいるため、価格のメリットをすべての入居者が享受できるとは限りません。そういった場合、マンションの共有部分にのみ適応する高圧一括受電サービスを契約するという手もあります。

大型マンションになると、廊下やエレベーター、共有フロア、水道ポンプなどに使用する電力は多くなります。そこを切り替えることによって、それまでかかっていた電気料金の20%~40%の削減が見込まれると言われています。

増税や電気代の上昇、他の補修代金の上昇などにより管理費の値上げも珍しくはありません。そうしたなかで、管理費にあたるマンション共有スペースの電気代が削減されれば、他の修繕費などに管理費用の内訳をまわすことが出来るので、高圧一括受電サービスは管理費改善の解決策ともなり得ます。

 

小さな集合住宅の大家さんは、低圧一括受電を導入するという手も

大規模マンションが高圧電力を一括受電し、変圧して各戸へ低圧電力を安く供給するのに対して、低圧一括受電サービスは、小規模アパートなどで低圧電力を一括受電して、大家さんや管理会社が低圧電力を分電するサービス、取り組みのことをいいます。

低圧一括受電のメリット・デメリット

メリットは電気供給の安さです。といっても、アパート入居者にとってはお得と感じられるほどの価格帯にはなりません。そもそも低圧電力で電力を買うのが一般的なので、それを一括で受電して分電されたところで、大して安くならないのは簡単に想像出来ますよね。

ただし、大家さんにしてみれば、アパートの屋根にソーラーパネルを設けて電力を各戸へ供給し、不足分を一括で管理して各戸へ供給、残りを売電することで利益を得ることが出来ます。また、そうした仕組みで成り立っているエコなアパートであることをPRすることにより、他のアパートと差別化を図り、入居者を募る宣伝にもなります。

デメリットとしては、低圧一括受電サービスはまだスタートしたばかりであること。まだ、低圧一括受電サービスのメリットがソーラーパネルや蓄電池と絡めた大家さんにメリットが生じる程度のものであるので、これから更に入居者の利点が増えれば、サービスも充実してくるかも知れません。

 

まとめ

マンションをこれから契約される方、またご自分のマンションがどの電気供給契約になっているのか、少しでもご参考になれば幸いです。これからまだまだたくさんの企業が、さまざまな電力サービスを提供してくる中で、よりお得なサービスを得るためにも、現状の契約形態をしっかりと把握しておきましょう。

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