自動販売機からスエズ運河まで。所有する土地から所得を得るビジネスを考える

  • 2021/5/15
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自己所有の土地から所得を得る方法はいくつかあります。その代表は不動産投資なわけですが、ほかにどんなものがあるのでしょうか?

今回は、スペースの利用をするビジネスモデルについて考えてみます。

一番身近な自動販売機ビジネス

まずは最も省スペースで実現可能なビジネスモデル。自動販売機の設置から考えてみます。

日本はさまざまな自動販売機が至る所に設置されている国。日本では当たり前すぎる存在ですが、海外の人から見ると、「ワンダフル!」の言われることのひとつだそうです。

それもそのはず。日本国内の自動販売機設置台数は全国で430万台以上と言われ、市場規模は5兆円。ちなみに、コンビニの市場規模は10兆円なので、自動販売機天国なのは間違いのない事実です。

自動販売機で売られるものは、ドリンク、タバコの他に、カップラーメン、お菓子、アイスクリーム。最近はフレッシュフルーツの販売があったり、私の家の近くに昆虫食の自動販売機が強気な価格で設置されていて驚いたものです。最近はすっかり目にしなくなりましたが、奥まったところにあるナゾの雑誌の自販機などもありましたね。ビニールに入ったやつ・・・笑

話を元に戻しましょう。

自動販売機のビジネスがどのようなものかを簡単に説明しましょう。自動販売機はマンションの敷地にあったり、コインパーキングの片隅にあったりします。

運営は、土地だけを貸すフルオペレーション型と、自分で運営するセミオペレーション型があります。フルオペレーション型は、設置はもちろん、商品の補充やお金の回収、メンテナンスまで、すべて業者がやってくれます。

もちろんどこでもよいというわけではなく、設置の前に、リッチや競合調査、通行人調査などが行われますが、設置するとなれば個人が負担するのは電気代だけ。機械の設置費用の負担もなければ、マシンのリース料もありません。それで商品が売れれば、15~20%程度のマージンがもらえます。

私有地で通行料を徴収するのは難しい

では、所有する私道を利用する人から通行料を徴収するのは可能でしょうか?

道路には、国道や市道など、自治体が所有し管理する「公道」と、個人や法人が管理する「私道」があります。私道は、明らかに敷地内に設置された道路はもちろんですが、住宅地などでは日常使いする道路として意外と多く存在しています。多くの人が密集して暮らすエリアなどでは、決して珍しいものではありません。

どこまで正確かはわかりませんが、Google マップのストリートビューで検索すると、明らかに道路があるのに入って行けないところががあります。あのナゾ現象のほとんどは私道だと言われています。

私道はアスファルトが剥がれたるなどしてメンテナンスを行う場合、その所有者が行うことになっています。通常は近隣に住む人に普通に使われている道路なのに、メンテナンスを自分でしなければいけないわけで、「負動産」などとも呼ばれていますね。袋地など特殊なケースでは通行料がとれる場合があるようですが、かなりの条件が揃わなければならず、あまり現実的ではないようです。

市道に関するトラブル

最近では長崎県で私道に関するトラブルが発生し、法廷闘争にまで持ち込まれました。

業者が私道封鎖、通行料要求 「生命に関わる!」住民側と法廷闘争へ【長崎発】

このニュースを簡単に説明すると、トラブルがあったのは、団地に繋がる私道。2018年に私道の所有権が福岡県の不動産管理会社に移り、そのときに費用が発生しています。管理会社は一旦、長崎市に土地の譲渡を提案したのですが取り下げ、地元の自治会に3000万円で購入するように打診し拒否されます。

そこで私道の所有者は、「車を持つ世帯は月額1万円、持たない世帯は月額3000円を支払うように」と求めます。

しかし、これまで通行料を請求されていなかった住民は反対。それならと私道の所有者は「私有地に不法に侵入する者に対し法的措置をとる」とバリケードを設置。それでは生活が危ぶまれると、仮処分を求めて法廷闘争となったわけです。感情論・・・。

一見すると私道の所有者が無茶を言っているように見え、「なぜ長崎市への譲渡を取り下げたんだ」と感じますが、これにはやむにやまれぬ事情が見え隠れします。これが難しいところ。

長崎市では、「市道として認定できる私道に関してだけ寄付を受け付ける」という規定を設けています。寄付を受けるのに条件を出しているのは強気ですよね。

ちなみに市道になる条件とは、

  • 原則として幅員4.0m以上
  • 道路側溝の構造がコンクリート3面張り
  • ガードレールや側溝蓋の設置 など

と結構強気。

しかも、寄付できる条件にするために所有者は道路整備をしなければならず、そのために数百万から数千万の費用がかかる可能性があるそうで、これじゃ取り下げて当然ですよね。

しかし、ここに、聞き捨てならない裏話が!

この整備を行うために長崎市が業者に対して、9割の助成金を払うことが可能だそう。しかし、これを伝えていなかったんですって!
信じられない・・・

自治体の伝えもれが、周りに回って法廷闘争にまで行ったとは、何とも皮肉ですよね。

通行料は無料の自動車専用道路に払う通行料って何?

全く状況が異なりますが、高速道路など全国にある自動車専用道路を通るとき、当然のように払う通行料。しかし、道路行政の基本方針では、道路の通行料は無料と規定されていることをご存知でしょうか?

では、なぜ高い金額を取られているのかといえば、1956年に施行された道路整備特別措置法で、道路を設置するの際してできてしまった借金を返済するために料金を徴収しているということになっているんですって。何とも・・・。

平均3千万円の通行料がかかるスエズ運河

通行料といえば、最近座礁事故が起こり、通行を止めたと話題になったスエズ運河。ここの通行料がとにかくすごいんです!

スエズ運河はエジプトにある中東とアラビア海とヨーロッパ(簡単に言えば、地中海と紅海)を結ぶ航路を結ぶ人口の川です。この航路がない時代、南アフリカの先っちょの喜望峰をぐるっと回って行くしかありませんでした。このような状況下でアラビア海とロンドンを往復する場合、距離は2万1000km。ところが、スエズ運河を通ると1万2000kmに大幅に短縮できるわけです。タンカーの場合、10日ぐらいの違いが出るそうで、みんなが使いたがって当然ですよね。海賊もいないし。 

そんな事情もあって、年間19000隻もの貨物船が通行しています。この通行料は、船の重さ、種類、リスクに応じて計算され、平均で3000万円!!

それでも、遠回りをする十日間で余計にかかる燃料費や人件費を考えると、こちらを利用する方がいいらしいです。

ちなみに、今回の船の座礁事故が起こり、運河は航行不能となりました。その損害額は、1時間430億円にものぼるそう。そりゃ、世界が騒ぐはず。

で、気になるスエズ運河の通行料は、誰がもらっているのかと言うと、その多くはエジプト政府に入るそう。なんとエジプトの GDP の2.5パーセントがスエズ運河の通行料だということで、これは大変な金額ですよね。

ちなみにこのスエズ運河、日本とヨーロッパを結ぶ重要な航路でもあるわけですが、調べてみると、おもしろいことがいろいろあります。例えば、運河を通行できる航路は1レーンのみ。南北どちらかの一方通工で運営されているということ。
また運河内は海水が自由に流れるため、夏には北へ、冬は南への水流が流れるということ。自由だ!

と、どんどんと個人でできる話から離れていきましたが、結果として、身近にはじめられる自動販売機ビジネスが庶民には一番現実的なのかもしれません。ジュースなら、1本売れて20円。少ない・・・

原田園子

原田園子ディレクター

投稿者プロフィール

「不動産の学校」のディレクター兼ライター。
住宅メーカーや不動産業者をクライアントに持っています。
不動産関連の取材実績も多数あり。
不動産投資から日々の暮らし記事まで、幅広く担当します。

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