【連載】住居確保給付金も存分に活用!「コロナで家賃が払えない」に賃貸人が取るべき行動

株式会社アートアベニューの福原と申します。弊社は首都圏の賃貸物件(約6,700戸)をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。

本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。


緊急事態宣言発令にまで発展した新型コロナウイルスの感染拡大は、賃貸経営にも影響が出始めています。

特に懸念されるのは、賃借人の収入減による家賃滞納や、家賃減額交渉ではないでしょうか。当社で管理する賃貸住宅の賃借人からも、「家賃の支払いを待ってほしい」「家賃を減額してほしい」といった相談が増えています。

まずは「住居確保給付金」の申請を勧める

居住用の物件であれば、まず始めに「住居確保給付金※」の活用を勧めるべきです。

支給の要件に該当するかどうかわからない場合でも、必ず一度窓口に相談するように促してください。要件は大幅に緩和されていますので、もし申請が通らないようなら、本当はそれほど支払いに困っていなかったり、支払えない本当の理由が浪費だったりするかもしれません。

支払いを待つかどうかの判断は、賃借人が窓口へ相談に行った後でも遅くないでしょう。

※住居確保給付金
元々は生活保護に至る手前や生活保護を脱却する段階での自立を支援するために施行された「生活困窮者自立支援法」に基づく制度。要件を満たす申請者には原則3ヶ月間、最大で9ヶ月間の家賃が各自治体より支給される。新型コロナウイルス対策として、厚生労働省は2020年4月より制度の要件を緩和。一時的に収入が減った人を対象に広く給付金を支給することとなった。

また、すでに家賃滞納が始まっている賃借人への周知も大切です。電話督促の際に制度の活用を促すのはもちろんですが、電話連絡ができない場合であっても、督促状に制度のパンフレットを同封する、ショートメールを送るといった方法で制度を知ってもらいましょう。

事業用の減額は個別に判断

事務所や店舗等の事業用物件の場合は、住居確保給付金のような制度はありません。そのため、減額交渉があった場合には、収支や今後の関係性等を総合的に考慮し、個別に判断する必要があります。

譲歩する場合には、以下のような選択肢が考えられます。

  • 一定期間減額(例:3ヶ月間、○万円減額する)
  • 一定期間免除(例:5月分、6月分家賃を免除する)
  • 保証金との相殺(例:5月分、6月分家賃を保証金の一部と相殺する)
  • 純粋な猶予(例:5月分、6月分家賃を1年後まで猶予する)
  • 分割払い(例:5月分、6月分家賃の合計を分割し、7月分以降の家賃に上乗せする)

「コロナ便乗テナント」に注意

減額交渉があった際に重要なのは、「なぜ減額が必要なのか」をしっかりとヒアリングすることです。なぜなら、減額が必要なほど困っていないにも関わらず、騒動に乗じて交渉してくる、いわば「コロナ便乗テナント」がいるからです。

つい先日も、減額が必要とは思えない某大手コンビニチェーンが、数千店舗の土地の所有者に対して一斉に地代の減額を求める文書を送付した、なんてニュースもありましたが、貸主側も銀行への返済や運営費の支払いがある中で譲歩を検討する以上、借主側には数値を用いた説明を書面で提出させるくらいでも良いでしょう。

減額の際は、口止めも含めて書面の取り交わしを

実際に家賃の減額等をする場合には、必ず書面を取り交わすようにしましょう。「言った、言わない」の防止になることはもちろん、税務上、今回のコロナ騒動で減額した分は寄附金ではなく損金として計上できることとなったため、その証拠書類にもなります。

また、他のテナント等に減額の事実を口外しないことも書面で約束させましょう。減額してもらったと聞けば、「私も減額してほしい」という別のテナントが現れるかもしれないからです。

まとめ

居住用賃貸物件で収入減を理由とする家賃支払猶予・減額交渉があった場合は、「住居確保給付金」の活用を勧めましょう。積極的に制度を知らせることで、賃借人・賃貸人双方の利益となります。

事業系の場合は、減額する必要性を冷静に見極め、適切に対応することが求められます。

もし減額をする場合は、日頃の感謝をお返しする機会と考える、あるいは、何か揉め事があった際に今回の対応が生きてくるかもしれない、と考えると、スムーズに割り切ることができるのではないでしょうか。

(この記事は2020年4月30日時点の情報を元に執筆しています)

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。http://www.artavenue.co.jp/

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