【連載】目標は2月満室!立地の不利を覆す入居促進キャンペーンとは

株式会社アートアベニューの片平と申します。弊社は首都圏の賃貸物件約6500戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」をおこなっている不動産管理会社(PM会社)です。

本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などを紹介します。

2020年の繁忙期がスタート! 目指すは2月中の満室見込み

年明けとともに急増する、お部屋探しの問い合わせ(反響)。

ピークは1月と2月で、弊社では1か月間に数千件ものお問い合わせが入ります。
※以下の図を参照


そして、肝心の「申込」は反響につられるように1月から上昇し、3月にピークを迎えます。

無論、3月に申込が多い理由の中には、前入居者の退去が3月であるために内見ができず、やむを得ず3月の申込になってしまうものが含まれます。それらを除けば、弊社が管理するような東京圏の物件の場合、引き合いが多ければ1月または2月中には申込ベースで満室とできるのが一般的。

賃貸経営を考えると、より早く賃料を生み出すことが収益を最大化しますので、この時期は2月中に申込ベースで満室にしておきたいところです。

即効性を求めるなら「期間限定キャンペーン」が効果的

さて、満室にするとしても具体的には何をすればいいのでしょう。それを知るために、まずは借り手のニーズを確認します。

株式会社リクルート住まいカンパニーの『賃貸契約者動向調査(※)』によると、”部屋探しの決め手”第1位は家賃、続いて路線・エリア、最寄り駅からの時間など、「立地」に関するものが多数ランクインしています。
(※)2018年度 賃貸契約者動向調査(PDF)|株式会社リクルート住まいカンパニー

そもそも好立地ならば空室に頭を悩ませることもないわけで、知りたいのは立地に強みがなくても空室を埋められる方法です。

”決め手”上位のうち、立地や築年数など大家さんがコントロールできない項目を除くと、残されたものは次の通りです。

大家さんがコントロールできる「部屋探しの決め手」ランキング
【借り手のニーズ】   【大家さんができる空室対策】
1.家賃    ⇒ 家賃を下げる
2.間取り   ⇒ 間取り変更(大掛かりなリノベーション)
3.初期費用  ⇒ 初期費用減額など入居促進キャンペーン
4.設備・仕様 ⇒ 人気設備の導入(小規模なリニューアル)

家賃を下げて空室を埋めるのは戦略でも何でもなく、あくまで最終手段ですので、その他の空室対策によって満室にしたいところです。

とはいえ、この時期は入退去の期間も募集期間も短くなりがちなうえに、反響が多い時期も残りわずか(執筆時点で1月中旬)。このタイミングでは何よりも「即効性」が求められますので、時間がとられる「大掛かりなリノベーション」などは今やるべきではありません

そこで、スピーディかつ一定の効果が見込める空室対策としておすすめなのが、期間限定の「入居促進キャンペーン」です。隠れたニーズに強く訴求するようなキャンペーンを打ち出せれば、好立地の物件でなくとも多くの反響が期待できます。

成功の鍵は「ニーズマッチ」と「わかりやすさ」

参考までに、弊社が過去20年で試行錯誤してきたキャンペーンの中から、成功例と失敗例をご紹介します。

成功例「3月1日まで家賃発生日相談します!キャンペーン」

特に学生さんから好評です。

通常、お部屋を契約すると契約開始日から家賃が発生します。しかし、このキャンペーンなら1月や2月に契約しても3月1日まで家賃が発生しないため、早期の申込を獲得しやすくなります。

大家さんとしては1月2月の家賃も欲しいのが本音ですが、その分、広告料やフリーレントを節約できるなら収支上は同じはず。

加えて、メリットが2つあります。

1つは、優良な学生さんなら4年間(大学院に進めば6年間)退去がないこと。

もう1つは、契約開始が1月や2月であるため、将来の退去も同じ1月や2月に起きやすいことです。

3月退去が早期満室を遠ざけることは冒頭で述べた通り。次の募集や内見を1月2月のピークに行なえるのは、非常に有利です。

失敗例「【仲介業者さん向け】契約してくれたら部屋ごとに金額を変え、合計で上限5万円まで商品券プレゼントするキャンペーン」

もう、タイトルを見ただけで分かりにくいですね。

案の定、仲介業者さんからの反応がありませんでした。後日、業者さんに感想を聞くと「なんだか難しいので、よく見なかった」とのこと。キャンペーンはシンプルで分かりやすいものに限るという教訓を得ました。

おわりに

最後まで読んでいただいてありがとうございました。この繁忙期、皆様の物件が満室稼働することをお祈りしています!

 

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。http://www.artavenue.co.jp/

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