【連載】安すぎる管理料が利益を減らす!?そこが知りたい「管理料の仕組み」
株式会社アートアベニューの原田と申します。弊社は首都圏の賃貸物件約6500戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」をおこなっている不動産管理会社(PM会社)です。
本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などを紹介します。
不動産投資を成功させるためには運営コストをいかに抑えるかが重要なため、削減できるコストは徹底的に削りたいものです。不動産投資と聞いて真っ先に浮かぶランニングコストといえば、不動産会社に支払う「管理料」ではないでしょうか。自分の手で管理をすれば、管理料を実質ゼロにすることも可能です。
不動産投資をする上で切っても切れない管理料。今回は、その仕組みについてお伝えします。
管理料金は料率が決まっていないからこそサービス内容で比較すべき
管理料には仲介手数料のような規定がないため、各管理会社によってその料率はさまざまです。
格安で管理サービスを提供している会社もあれば、相場より高い管理料を設定している会社もあり、その料金に対するサービス内容も管理会社によって異なります。基本の管理メニューにどういったサービスが含まれるのかといったことも、管理料に差が出るポイントといえるでしょう。
ちなみに、弊社で提供しているサービスは以下のとおりです。
「管理料を払いたくないから自分で管理する」という場合は自分ひとりで対応できるかどうか、また自分で対応した場合の時間と労力は管理料を払うよりお得かどうか、といった点についても表の内容をよく見て検討すべきでしょう。
管理料を安くできるのは別のところにもうけの仕組みがあるから
サービスが充実するほど管理料が高くなるのは当然です。
では、「他社に比べて格安の管理料」という状況は、どのようにして生まれるのでしょうか。
管理会社にとって管理料は重要な収入源。なかなか値引けるものではありません。にもかかわらずその収入源を値引くということは、その値引き分を何か別のもので補っている可能性があります。
【ケース1】物件販売時に十分な利益を確保している
自社で販売した物件をそのまま管理する場合、不動産会社は物件を買ってもらった時点で管理料の何倍もの利益を得ています。
つまり、管理料を数%値下げしたところで大した損失にはならないということです。
また、販売がメインで管理業務が苦手。だから管理料を安くしている、という事情もありがちなので注意しましょう。
【ケース2】修繕・メンテナンス費用で利益を確保している
修繕費やメンテナンス費用から補てんすることで、管理料を安くしているケースもあります。
特に退去時の修繕は次の入居者を確保するためにも手の抜けない工事です。費用が高額になるのもやむを得ないと考えるオーナーは多いため、その心理に乗じて利益を大幅に上乗せして修繕費を請求する会社も存在します。
【ケース3】入居者の客付け時に回収している
空室が生じた場合、自社で次の入居者を客付けできれば、入居者から仲介手数料(最大1ヶ月分)を得られます。
その他、広告料や付帯商品の販売など、1契約に付随する利益は管理料よりも高額。客付けが強い会社は、管理料の割引分をここから補填できます。
ですが、他社が入居者を決めてしまえば仲介手数料を得られないため、こうした会社は自社で成約できるよう物件情報を囲い込もうとしがちです。また、空室がないということは「商品がない状態」でもあるため、空室という商品がある状態を歓迎します。
情報が世間に公開されなければ空室期間は長くなり、オーナーは空室損失を被ることになります。これを歓迎するというなら、その会社はオーナーと全く逆の立ち位置にいるといえるでしょう。
目標を達成するために必要かどうかという視点が大切
賃料5万円の部屋を管理料5%で依頼した場合、オーナーの支払うコストは2,500円です。仮に1%安い4%の管理料で依頼できたとしても、その差はたったの500円。はたして、その500円のために運営コストの高額化や空室損失による収入減といったリスクを負うべきでしょうか。
冒頭に不動産投資はコスト管理が重要と書きましたが、最終的なゴールは不動産資産の最大化のはずです。管理料を抑えることは確かに重要ですが、それにばかり目を奪われず、そもそも自身の目標達成に必要なサービスが提供されるかどうか、その価格は適正かどうか、といった観点から管理会社を見定めることが大切です。
株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/