介護保険申請のタイミング?入退院後の介護リフォームについて解説
- 2020/5/10
- ライフスタイル
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高齢家族が病気やけがで入院となった場合、退院したら自宅で介護をしなければなりません。
高齢家族が自宅で生活するなら、転倒防止のために手すりを設置する、床をフラットにするなどのリフォームを行いたいですね。
介護が必要になれば、介護保険でさまざまなサービスを受けられます。介護用のリフォームも、介護保険で補助金がもらえる対象です。
この記事では、介護用のリフォームについて、介護保険を申請するタイミングや流れを解説します。
入院時に介護保険を申請するタイミングとリフォーム内容
実際のところ、入院中は医療保険の適用となるため介護保険が使えません。
それでは、どのタイミングで介護保険を申請すればよいのでしょうか。
介護用にリフォームするなら入院中の申請がベスト
結論からいうと、介護のためにリフォームするなら、介護保険の申請は退院する前に行うのがベストです。
なぜなら、介護保険を使うためには、支援や介護が必要な状態だと判断される必要があるからです。支援や介護が必要かどうかの判断には、介護保険を申請してから1カ月程度かかります。
入院している間に介護保険を申請し、退院したらすぐに改築の準備に取り掛かれるようにしておきましょう。
ちなみに、支援や介護の認定は、介護の必要性が低い順に、自立(非該当)・要支援1~2・要介護1~5の8段階に分類されます。介護や支援の必要がない自立(非該当)に分類されると、介護保険は使えません。
介護保険の対象になるリフォーム
続いて、介護保険で補助金がもらえるリフォームの内容をお伝えします。
具体的には、
- 手すりの設置
- 段差をなくす・スロープにする
- 床や通路の材料を滑りにくいものに変更
- 引き戸や折れ戸などに扉を変更
- 和式トイレを洋式トイレに変更
- 以上のリフォームを行う上で必要な工事
が介護保険の対象です。
紹介したリフォーム以外は介護保険の対象ではないため、気を付けましょう。
また、介護保険では、介護用のリフォームに対する補助金を「住宅改修費」といいます。 この場合の住宅とは、介護を受ける本人の自宅のこと。
そして、リフォームするマンションや家に介護を受ける人が住んでいなければならないため、基本的には、入院中や施設に入所している場合は住宅改修費の申請ができません。
- 支援や介護が必要な状態だと認められている
- 本人の自宅である
- 本人が家にいる
といった条件にあてはまるリフォームに対して、介護度に関係なく20万円まで支給されます。
20万円は分割が可能なため、20万円の工事1回でも、10万円の工事2回でも大丈夫です。最大20万円の支給額のうち、基本的には1割、収入がある場合は2割~3割を本人が支払います。
ケース別にベストな申請のタイミング
退院したらすぐにリフォームしたい場合、介護保険は早い段階で申請した方がよいでしょう。
しかし、帰宅してから受けたい介護サービスによっては、しばらく様子を見た方がよいケースもあります。以下のケースを参考にしてみてください。
退院時にはリフォームを終えていたい
先にお伝えしたとおり、支援や介護が必要だと認めてもらうには1カ月ほどかかります。
ただし、支援や介護が必要だと認められた場合、介護保険を申請した日から介護保険の対象になります。つまり、介護認定の結果を待つ間に実施したリフォームも、さかのぼって住宅改修費の対象になるということです。
先ほどお伝えしたとおり、本人が入院中のリフォームは、介護保険の対象になりませんが、退院の予定が分かっているなら、帰宅する前に住宅改修費の事前申請を行えます。介護保険やリフォームの流れは後ほど詳しく説明しますので、そちらをご覧ください。
また、もし本人が帰宅できなかった場合、入院中のリフォームは全てが本人の支払いとなるため気を付けましょう。
リフォーム以外の介護サービスの利用を検討している
帰宅してから、デイサービスやホームヘルプといった介護サービスの利用を考えている場合、介護保険の申請は退院日近くになってからの方がよいかもしれません。
介護のためにリフォームする場合、リフォーム代は介護度に関係なく20万円までだとお伝えしました。しかし、そのほかの介護サービスは、介護度が高いと利用料金も高くなるかもしれません。
多くの場合、入院直後よりも退院直前や帰宅してからの方が介護度は低くなるでしょう。ただし、介護度が高いと利用できる介護サービスが増えるといったメリットもあります。
どの程度の介護サービスを利用するかをイメージして、介護保険を申請するタイミングを考えてみましょう。
リハビリでの回復が見込めそうな場合
リハビリで介護の必要がないくらい回復できそうなら、たとえ退院前に介護保険を申請しても、改築工事をするかどうかは帰宅後の生活状況を見て考える方がよいでしょう。
なぜなら、介護認定の結果が自立(非該当)だと、リフォーム費用の全てが本人負担となるからです。
自立(非該当)と判断された場合、市区町村が独自に実施しているリフォームへの助成制度もありますので、介護保険以外の方法も検討してみましょう。助成制度の支給される金額や条件は市区町村によって異なるため、一度、窓口で相談してみてください。
介護保険の申請とリフォームの流れ
続いて、具体的にどのような流れで介護保険を申請するのかを見ていきましょう。
1.要支援・要介護認定を受ける
まずは、介護認定を受けるために「要介護認定申請書」を提出しましょう。提出先は、本人の住民票がある市区町村です。本人が入院していて動けない場合は、家族でも申請できます。
介護保険を申請する場合、主治医から意見書をもらったり訪問調査をしてもらったりしなければいけません。入院中に申請を行いたい人は、病院にも事前に相談しておきましょう。
2.地域包括支援センターに相談する
介護保険でサービスを受けるには、本人の状態に合わせたケアプランの作成が必要です。ケアプランは、要介護の場合はケアマネージャー、要支援の場合は地域包括支援センターに依頼できます。
介護認定の結果がまだの状態で入院中にリフォームを開始する場合、まずは地域包括支援センターに相談しましょう。
リフォームのケアプランが完成したら、改築工事を行う業者と契約し、工事の見積もりを依頼します。
3.リフォームの事前申請をする
介護用にリフォームして住宅改修費を受け取る場合、市区町村に事前申請しなければなりません。
事前申請で提出が必要なのは
- 住宅改修費支給申請書
- リフォームが必要な理由を書いた理由書
- 改築工事の図面
- 改築工事の見積書
- リフォーム前の写真(日付入り)
などです。
本人が入院中のリフォームは、理由書に退院予定があると明記しましょう。
また、介護を受ける人が家の持ち主ではない場合、家を所有する人の承諾書も必要です。
事前申請をせずにリフォームをすると、住宅改修費が支給されませんので気を付けてください。
4.改築工事の開始・支払い
リフォームの事前申請が承認されたら、改築工事のスタートです。
介護用にリフォームする場合、住宅改修費は改築工事が終わってからの支給となるため、いったんは工事費用の全額を本人が支払う必要があります。
ただし、市区町村が「受領委任払い制度」を実施している場合、本人の支払いは自己負担分のみです。受領委任払い制度は、介護保険の支給分を市区町村が工事業者に支払う制度です。
介護保険の支給を申請するのに必要となるため、工事業者から領収書を受け取るのを忘れないでください。
5.住宅改修費を申請する
改築工事が終了すると、
- 改築工事の領収書
- 改築工事の内訳書
- リフォーム後の写真・図面
などを市区町村に提出して工事完了を報告します。
市区町村によっては、所定の書類が必要なこともありますので、前もって確認しておきましょう。
また、入院している間にリフォームをした場合は、本人が退院してから完了の報告を行います。
6.住宅改修費が支給される
事前申請で提出した書類と完了後に提出した書類を市区町村が確認し、必要なリフォームだと判断されると住宅改修費を受け取れます。
先にお伝えしたとおり、介護保険で支給されるリフォーム代は20万円までです。被保険者の自己負担額は1割~3割ですので、最大額のリフォームを行った場合、14万円~18万円が支給されます。
まとめ
介護のために自宅をリフォームする予定なら、介護保険は退院する前に申請の手続きを進めるのがオススメです。入院中に申請して介護認定を受けることで、すぐにリフォームできる状態で退院を迎えられます。
もし退院前に改築工事をスタートさせたいなら、地域包括支援センターや市区町村の窓口に前もって相談しましょう。