住宅ローンの親子リレー返済、親子ペアローンって何?メリットとデメリット
- 2020/8/30
- 住宅・不動産ローン
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住宅ローンにおける超低金利時代は今も健在で、コロナによる不景気を受け、追加政策も期待されています。住宅ローンを組む上で低金利はかなり魅力ですが、「ローンを借りたくても年齢に問題が…」と感じる方も多いようです。平均年齢が高くなるにつれて晩婚化の傾向も強くなり、「子供ができたし、家を買おうか」といったときには、もうローンを組みにくい年齢になっているのです。これはつらい…。
そんな中、目に飛び込むキーワードの1つとしてあげられるのが「親子リレー返済」や「親子ペアローン」。住宅ローンの返済を親から子へ引き継ぐことによって、ローン金額、ローン返済期間などの負担を分け合おうというものです。今回はそんな親子リレーとは何か、4つのメリットと3つのデメリットを紹介します。
そもそも親子リレー返済ってなんだ?
親子リレー返済とは、親と子で一緒に住宅ローンを契約、親から子へとローン返済を引きついでいく融資形態です(この場合の子は、各金融機関で定義された条件を満たす後継者のことを指します)。バトンリレーのバトンのように返済が親から子へと引き継がれていくのが親子リレー返済の所以です。
親子リレー返済は低収入でローンを組むことが難しいので子供に協力を得る、もしくは逆に子が親に協力をあおぐといった場合や、親が高齢でローン返済期間が短くしか設定出来ないため、子の協力を得てローン返済期間を延ばす場合などに採用されるケースが多く見られます。
フラット35の親子リレー返済の場合
フラット35は、「親子リレー返済」プランを設けています。親子リレー返済の融資対象条件は各金融機関によってさまざまですが、フラット3の場合は以下のような内容です。
【親子リレー返済対象者】
- 申し込みご本人の子・孫等、またはその配偶者で定期収入のある方
- 申込み時の年齢が満70歳未満
- 連帯債務者になる方(1名)
他の金融機関では上記条件に加えて、現在、もしくは将来同居する予定の親と子であること、最終返済時の年齢が満80歳未満であること、団体信用生命保険の加入などがあげられますが、それ以上の複雑な条件は見受けられません。
親子リレー返済融資を受ける際は、より詳細を確認しなければいけませんが、おおよその条件に当てはまるか否かは、これで想定出来るのではないでしょうか。
親子ペアローンとは
親子リレーローンのように親子でローン返済する商品として、「親子ペアローン」があります。親子ペアローンは親族などで協力し合い、住宅ローンを組む商品です。
例えば二世帯住宅を購入するとき、融資額が大きくなるため、1人ではローンが組めないので、親と子がそれぞれローンを組み、1つの住宅ローンに対してそれぞれが個別に返済を行う方式が親子ペアローンです。
親子リレーローン | 親子ペアローン | |
契約件数 | 1つ | 親と子、それぞれで1つ。
合計で2つ |
返済時期 | 始めは親で
後に子に引き継ぐ |
親と子が同時期に返済 |
団体信用生命保険 | 親子、共に加入 | 子のみが加入 |
住宅ローン控除 | 2人とも適用 | 2人とも適用 |
親子リレー返済のメリットとデメリット
親子リレー返済の4つのメリットと3つのデメリットを紹介します。
メリット1.年齢がある程度高くてもローンが組むことが出来る
一般的な住宅ローンの融資条件には年齢制限があり、その上限は完済時の年齢が満80歳までです。これは住宅ローンを組むときに加入する団体信用生命保険「団信(だんしん)」が、満80歳を超えた継続保障を行わないためです。そのため、ほとんどの銀行は融資条件の年齢を、最終返済時の年齢が80歳未満までとしています。
例えば65歳である親が融資を受けたとします。すると返済期間は15年と短く、且つ、融資を受ける金額も、返済期間の短さから、かなり制限されてしまいます。そこで親子リレー返済を、例えば30歳の子と共にローンを組んだらどうなるのでしょう。子の年齢をもとにしてローン返済期間を設定するので、満80歳までのローン期間は49年有するので、35年ローンを組めます。
メリット2.月額の返済負担を減らすことが出来る
例えばマイホームを65歳の親が3,500万円で購入するため、銀行から融資を受けるとします。返済期間は80歳までなので15年。そのときの月々の支払金額は250,000円となります。
例として・・・
- フラット35
- 頭金なし
- 金利:年1.550%
- 元利均等返済
- 返済期間:15年
- ボーナス払いなし
そこで30歳の子供と親子リレーローンを組みました。他の条件は上記と一緒です。すると返済期間は息子さんの30歳を基準とするので、完済時の年齢を満80歳とすると、返済期間は最長で35年でローンを組むことが可能です。35年ローンとした場合、月々の支払金額は124,000円です。
親だけのローン | 親子リレーローン | |
返済期間 | 15年 | 35年 |
返済金額 | 250,000円 | 124,000円 |
親子リレーローンを組むことによって、返済期間を延長したら返済額が少なくなるのは当然ですが、こうして具体的な数字を目の前にすると、メリットが実感しやすいですね。
メリット3.融資額を増やせる
親と子、それぞれ2人の収入を結果的に合算した分の融資を受けることが可能になるので、親と子がそれぞれ別個でローンを組むより、多くの融資を受けることが可能になり、選べる物件の選択肢が増えます。
メリット4.親と子、それぞれが住宅ローン控除対象
親子リレーローンは、親と子それぞれの持ち分割合に対して住宅ローン控除の適用を受けることが出来ます。しかも、子の住宅ローンは、返済がまだ始まっていなくても、住宅ローン控除の対象です。
ここで1点、注意することがあります。子の住宅ローン控除期間は子の返済が始まる前から始まっており、その対象期間は対象住居にすみ始めてから10年間です。返済が始まってから控除を受けようとしても、対象期間が終わっているなんてこともあるので、気を付けましょう。ちなみに、住宅ローン控除の還付に関して、5年以内であれば、ローン控除申請を行うことが可能です。とはいえ、大きな金額になることもありますので、申請忘れは気を付けましょう。
デメリット1.団体信用生命保険の加入対象が受け継ぐ子のみ
親子リレーローンも団体信用生命保険へ加入しますが、対象者は子のみになります。すると、親が保険対象者ではないので、親が亡くなってしまった場合、債務がそのままリレー形式的に子に引き継がれてしまいます。
もちろん、親も子もお互いに健康であるのが一番ですが、万が一のことを想定して、親が健康であるならば、掛け捨ての保険などに加入し、万が一に備えてローン残債が生じた場合、補てんできるようにしておくと安心ですね。
デメリット2.新規融資が受けずらい
親子リレーローンの返済途中、例えば子が遠方へ転勤、もしくは離婚などで同居を解消する場合が発生する場合もあるでしょう。そんなときに親はそのまま現住居に住み、子が新たに住宅を購入しようとしても、すでにローンが存在するため、新たにローンを組むことが難しくなります。
デメリット3.相続間のトラブルになりやすい
購入した住居は返済の割合に応じてそれぞれの持ち分があり、親と子が共同で住宅を保有する形式が一般的です。手続きが煩雑になるのが嫌だからと、子の名義にしてしまうと、親の返済分が贈与税の対象となってしまうため、親の保有分は親の死後、相続対象となります。
子が1人の場合はそのまま相続すればいいのですが、子に兄弟、姉妹がおり、相続出来る物が住宅メインとなった場合、その住宅を巡って相続トラブルになるケースをよく耳にします。こうした相続間トラブルを避けるためにも、将来的な計画も併せて、親族間でローンを組む前によく話し合う必要があるでしょう。
さいごに
返済期間が長くなり、月々の返済額もおさえられるとなると、親子リレー返済がとても魅力的なものにうつりますが、そのネーミングの通り、親子間のリレーですので、相続などに関わるトラブルは事前によくコミュニケーションを取って、解消しておく必要があります。親子共々夢のマイホームを手に入れるため、華麗にバトンを引き渡せるよう、家族間でよく相談しましょう。