リバースモーゲージ、3つのメリット&デメリットを紹介

老後で1番心配なのがやっぱりお金のこと。コツコツと積み立ててきた貯蓄と年金で生活していけるのか、不安が残りますよね。そんな不安を解消すべく登場した融資制度が『リバースモーゲージ』です。
ここでは、リバースモーゲージの特徴、メリット・デメリットをご紹介します。
老後の生活を見据えたときに、安心できる老後を送るための選択肢を1つ増やしましょう。

 

リバースモーゲージとは

『リバース』は『逆』、『モーゲージ』は『担保』という意味。リバースモーゲージとは自宅を『担保』にして、住み続けながら金融機関から融資を受けるシニア向けの融資制度のこと。通常、お金を借りる=融資を受けるとその後に毎月返済するといった義務が発生しますが、リバースモーゲージでは毎月の返済などはせずに、契約者の死後に担保としていたお家を売却して、一括返済することになります。

お金を借りて毎月債務額が減っていく通常のローンとは違い、毎月債務額が増えていくようなイメージ。その点で『逆』ローン的な意味合いでモーゲージと名付けられています。

 

リバースモーゲージのメリット・デメリット

1990年代より登場したリバースモーゲージ。だいぶ知られるようになりましたが、まだまだその認知度は高くありません。リバースモーゲージの特徴と共に、そのメリット・デメリットをみてみましょう。

リバースモーゲージのメリットその1 自宅に住み続けられる

リバースモーゲージの最大のメリットであり、1番の特徴は自宅を担保にして、自宅に住み続けながら融資を受けられる点にあります。公的年金と貯蓄だけでは心細い高齢の方にとって頼もしい限り。主だった大手銀行がこのリバースモーゲージを取扱い始めていますが、融資適用年齢は60歳前後が多く、高齢で融資を受けられるのも大きなメリットとなっています。

リバースモーゲージのメリットその2 融資金用途の自由度が高い

リバースモーゲージが登場した当初は、自宅の増改築、リフォーム資金などの用途に限られている限定型がメインでしたが、大手銀行が参入し、融資金用途は何に使用しても良い、自由型のリバースモーゲージが増えて来ました。
融資用途は『限定型』と『自由型』。自由型であればそのまま使わずに貯金しておくことも出来れば、楽しく旅行に行ったり好きな洋服を買ったりと、生活に潤いが生まれます。

融資資金の受け取り方も、当初は一部自治体による貸付事業の一環として行われていたことから、毎月数十万円受け取るといった『年金型』がほとんどでした。ですが、大手銀行の参入によって融資方法のバリエーションも増えています。最初に一括で融資資金を受け取る『一括型』もあれば、借りたいときに借入可能額の範囲内でいつでも借りられる『枠内自由引出型』とさまざまなスタイルがあります。

リバースモーゲージのメリットその3 融資条件が優しい

比較的、リバースモーゲージの融資条件、特に収入条件は厳しくありません。たとえば65歳以上を対象としている場合に収入条件などを厳しくする必要は、商品特徴から考えてありえませんからね。

リバースモーゲージのデメリットその1 対象住宅に制限がある

リバースモーゲージの担保対象は、土地付きの戸建てがほとんど。最近ではマンションも担保対象として増えて来ましたが、戸建て、マンション、共にどの地域にあるかなど立地の制約条件も限られています。一般的によく目にする地域としては、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府といった都心部がメイン。これは戸建ての建物評価額が一定年数の経過によってどんどん下がるため、担保が建物ではなく、土地がメインで評価される宅地評価となるためです。

リバースモーゲージのデメリットその2 長生きすると融資限度額を超える

契約者が長生きすることがデメリットって一見するとなんだか意味不明ですが、要は長生きし過ぎて融資された資金を使い切ってしまうことがあるということです。融資してもらったお金で生活しながら、10年後、「少し融資額が手元に残ったね」なんて亡くなる場合は大丈夫ですが、融資してもらったお金が14年目で底を尽きてしまったら? 限度額融資でお金を借りるので、そこからまた追加して融資してもらうことが出来ず、場合によっては利息だけ支払い続けるはめになる場合も。

また、長生きすることにより、その間に不動産価値、土地評価額が下落してしまうケースも考えられます。2年前後に1回の割合で土地の評価額に変動が見られますが、主要都市の地域に限定されがちなリバースモーゲージでは、評価額が下がったことで一気に融資限度額に達してしまうケースも考えられます。そうした場合は、融資が止まり、土地売却を迫られることも考えられます。

リバースモーゲージのデメリットその3 推定相続人全員の同意が必要

日本では住宅などの固定資産を子供に残すことが伝統的な慣習となっていますよね。リバースモーゲージでは契約者の死後、担保にしていた自宅を売却し債務を返却するため、自宅は子供たちが受け継いで相続する資産にはなりません。そのため、契約者の死後トラブルが生じないように、推定相続人(契約者の子供たち)全員の同意が必要。子供たち全員にきちんと理解してもらうのはなかなか骨の折れる作業で、リバースモーゲージのデメリットと言えます。

 

リースバックのメリット・デメリット

リバースモーゲージのメリットは分かっても、自分はちょっと早期引退を考えているため年齢が55歳にも達しておらず、リバースモーゲージは現実的ではないと考える方がいるかもしれません。また、家族と同居していてリバースモーゲージの対象にならない、といった場合があります。そんなとき『リースバック』といったリバースモーゲージとはちょっと変わった金融商品があるのをご存知でしょうか?

リバースモーゲージは最後に自宅を売却しますが、リースバックは最初に自宅を売却するといった手法。不動産会社などに最初に自宅を売却し、その自宅に住み続けながら賃貸料を支払うスタイルです。リースバックのメリットは最初に一括で融資を受けられること、また年齢制限が60歳以上などとくくられないこと、更にはリバースモーゲージは対象物件地域が限られていましたが、リースバックはマンション、工場などの物件も売却対象となり、その範囲が広い点が大きなメリットです。また、リバースモーゲージは最後に自宅を売りますが、それまでは自宅を所有していることになり、毎年の固定資産税などの支払いも発生します。リースバックは賃貸契約になるので、その支払い義務もありません。

リバースモーゲージ同様、長生きしてしまうと融資額を使い切ることもあります。しかもリースバックは賃貸として借りているので、融資額を使い切り、家賃が払えなくなれば出ていかなければなりません。また、毎月の家賃が周辺相場よりも高くなりがちで、かつ建物・土地の売却相場が周辺相場より安くなる傾向にあると一般的に言われています。それでも、どうしても融資を受けたい場合は、1つの選択肢としてリースバックを考えておくのも良いでしょう。

リバースモーゲージのポイント・注意点

リバースモーゲージを検討するにあたっての最大の注意点はやはり、自分達で決めてしまわないことでしょう。子供たちに住居資産などを相続させることが必ずしも正しいとは言えませんが、相続を含めて家族間がギクシャクしてしまうのは、たとえ自分が亡くなった後でも後味の悪いものですからね。

こうした融資制度、金融商品はどんどん進化を続けています。資金を借りた債務者が亡くなったあとに、その配偶者に債務権を引き継げるリバースモーゲージも出て来ました。おじいさんが亡くなっても、おばあさんに権利が移り、おばあさんが亡くなるまでその家に住み続けながら融資してもらったお金で生活が出来るスタイルです。リバースモーゲージはさまざまな銀行が提案しているので、検討する際はたくさんの銀行の条件を比較して、より自分たちに適したものを選びましょう。

更にはリバースモーゲージではなく、素直に自宅を売却し、賃貸住宅に移り住んだ方が多額の現金資産を残せる場合もあります。また、賃貸住宅ではなく老人ホームに入ることも考えられるでしょう。リバースモーゲージはあくまでも老後の選択肢の1つとして、考えておくと良いですね。

 

まとめ

『リバースモーゲージ』は老後を生きる上での有効な選択肢の1つです。大きな決断であるとともに、たとえ同居していなくても家族にも大きく関わる内容なので、よく家族と話し合ったうえで、家族みんなが1番幸せになる方法を模索しましょう。

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