世界のホームセキュリティは、家単位ではなく地域一体で考えるゲーテッドコミュニティだった
- 2021/10/3
- マイホーム
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日本は世界でも安全な国だと言われます。それでもオートロックのマンションは人気があるし、一軒家でもセコムや綜合警備保障などのホームセキュリティ会社と契約しているところも珍しくはありません。
それなら世界ではどのようになっているのか?
調べてみると意外なセキュリティの感覚の違いが出てきました。これが今回のテーマです。
セコムの世界ランキングは第3位!
まずは、警備会社の市場シェアランキングを見てみましょう。
世界には数多くの警備会社があります。本当はホームセキュリティに限って調べたかったのですが、そのようなデータは発見できず・・・。
そこでホームセキュリティを行なっている会社の市場シェアを調べてみることにしました。
そのランキングは以下です。
- アライドユニバーサル+G4S(英国)
- セキュリタ(スウェーデン)
- セコム(日本)
- ADT(アメリカ)
- プロセグル (スペイン)
この時点で、私はすでに動揺しました。
だって、意外ではないですか?
セキュリティに最もお金を使っていそうなアメリカの企業は第4位。
一方、治安がよさそうなスウェーデン、そして日本が2位と3位に入っているのです。
かなり不思議な結果が出ていますよね。
日本国内のセコムの市場規模は想像以上にデカかった
ちなみに日本の警備会社の業績ランキングは以下です。
- セコム
- 綜合警備保障
- セントラル警備保障
- 東洋テック
- セコム上信越
綜合警備保障は、いわゆる「ALSOK」です。
1位のセコムと2位の綜合警備保障の売り上げの差は約2倍。
これを見ても、セコムがいかに大きな会社かがわかりますが、それにしても世界ランキングで3位になるというのは意外でした。
もちろん世界がセキュリティ(特にホームセキュリティ)を軽視しているわけではありません。
たとえばアメリカでは 、世界第2位の総合メディア企業、コムキャストが、ホームセキュリティ分野に参入計画を発表しています。
では、この結果になったのはなぜでしょうか?
日本にはない「ゲーテッドコミュニティ」というホームセキュリティ
住環境の安全は、世界中の人々が興味を持っています。
特に世界の大都市の近くにはダウンタウンが隣接していて、決してセキュリティ面で安心できるとは言えません。
では、そのようなキケンな地域で、セレブ達はどうしているのか?
そこで出てくるのが、ゲーテッドコミュニティという考え方です。
ゲーテッドコミュニティとは、敷地を塀で囲み、中に入る人を制限するものです。
具体的には、そこに住む人と同伴者しか入れません。
敷地の門には守衛が立ち、銃を携帯している国もあります。恐っ!!
ちなみに、コミュニティ内の家の数は300~500戸が最も多いようで、広い敷地になっては1000円ほどの住宅が囲われているケースがあるようです。
ゲーテッドコミュニティは、1980年代に欧米で登場し、世界的に見ても治安が悪いと言われるブラジルでは近年、急増しているそうです。
また最近は、中国やフィリピンでも増加傾向にあると言われています。
確かに、これなら身の安全はかなり高度に守れそうですよね。
ゲーテッドコミュニティの特徴とメリット
ゲーテッドコミュニティは単純に安全であること以外にも、メリットがあります。例えば以下のようなもの。
- 一般人の進入を制限することにより治安が向上し、不動産の資産価値が上がる。
- 個人で警備会社と契約するよりも負担は低くなる(そのため厳重な管理ができる)
- 似た感覚の人が独自の連帯感のあるコミュニティを作れる
- プールやジムなど住民だけが使える施設を運用すれば、個人で作るより効率がよい
なんだか魅力あふれる施設ですよね。
もちろん問題点もあります。
例えばゲーテッドコミュニティは、「ここは金持ちしか住めない地域だぜ!」と主張しながら住んでいるようなもので、一般市民からのやっかみの対象になることもあります。
まぁ、海外だとあまり気にしないのかもしれませんが・・・。
また、これにより敷地内に引きこもる人がでてきます。
ある意味、面積の広い引きこもりが誕生と言うわけですね。
それはそれでいいような気もしますが、これによりコミュニティ外のことに無関心になり、いろいろな不都合もあるようです。
また、ゲーテッドコミュニティ内には独特の文化ができ、いわゆる村意識のような感覚が生まれることで、逆にコミュニティ内で犯罪行為があっても発覚しにくいという本末転倒なことも起きているようです。
これって何かが違うような気が・・・。
日本にはゲーテッドコミュニティはないのか?
では、アメリカ大好きの日本としては、このゲーテッドコミュニティはないのか?と言う疑問がわいてきます。
実は、それっぽいものは存在しているのですが、高度のセキュリティを高めるとまでは言えないようです。
何しろ日本では、公道封鎖ができません。
なので、やんわりと閉ざした雰囲気を作って、外部の人が入りにくくするのがやっととなります。
実は日本では、2000年代初頭頃から、あちこちでゲーテッドコミュニティっぽいものを作ろうとするケースはありました。
しかし、「地域が分断される」として古くから住む周辺住民が反対運動を起こしたケースなどもでてきて、多くの場所では実現しなかったどうです。
これも日本的、笑
日本では高層マンションがセキュリティレベルが高い
では日本では、ゲーテッドコミュニティのようなセキュリティレベルのところに住めないのかと言えば、そんなことはありません。
一軒家では無理ですが、コンシェルジュがいるような高層マンションなどでは、本質的にゲーテッドコミュニティが形成されています。
どれぐらいセキュリティで守られているかと言うと、Uberの配達員が絶対に行きたくないと言うレベル。
それでも、一般価格よりも高いUberを頼む人は多いんですけどね、笑
まず、メインの入り口にはコンシェルジュがいます。ここで出入りできるのは住民と、住民同伴の人。または住民から申請のあった人のみです。
では、Uber や宅急便の配達員はどこから入るのかといえば、マンションの裏口にある専用ゲートをくぐり、専用エレベーターを使うことになります。
そもそもここに行くにはコンシェルジュの許可が必要だったり、証明書を出さなければならなかったりします。
しかも、これ見よがしに防犯カメラが設置されているそうで、居心地が悪いそうです。
十分、ゲーテッドコミュニティです。
余談:治安のよい国のオートロック付きマンション
ここからは余談です。
私の知り合いのマンションは、「オートロック付き」が最大の特徴として売りに出されていました。
しかし購入してみると、ゴミを捨てるスペースに出るための裏口の鍵はロックされておらず、それどころかゴミを持ってドアノブを回すのがめんどくさいということで、常に開きっぱなしにされている状態。
「裏口からならマンションに入り放題」と笑っていました。
私も見に行きましたけど、壁も低くて、出入り口が閉まっていたとしても、ちょっとがんばれば壁をよじ登って入れます、笑
また別の事例では、オートロックの入力パネルの横に、「今年のパスワードは○○○○です」と貼り出されているところがありました。
そうなった理由をオーナーさんに聞くと、「パスワードを毎年変えていたら住民から、パスワードが分からなくて家に入れないという声が相次ぎ、めんどくさいから書いておくようにした。宅配便の人も便利でしょ?」と平然と言われました。
すごいですよね。すごすぎますよね!
治安がいい日本でしかありえないシステムなのかもしれません。
何はともあれ、住環境のセキュリティはしっかりと考えたいもの。
何を最優先とし、どのようにそれを守るのか。
「うちはオートロックが付いているから問題がない」と安心してしまわず、改めて真剣に考えたいものです。
以上、超都心に住みながら、日中は鍵を開けっぱなしにしている一戸建てから、ホームセキュリティについてお届けしました、笑