東京23区内にもあるらしい。限界集落ならぬ限界団地街

限界集落と聞くと、かなり田舎~に限定される話に聞こえますが、実は都会でも、というか、23区内でも限界集落と言われているところがポツポツ出てきているそうです。これって、結構、大変なことだと思いませんか?

と言うことで、都会の限界集落の話をしつつ、「終の住処」について考えたいと思います。

 

限界集落の定義

限界集落の定義をご存知でしょうか?

基本的には、50%以上の人が65歳以上で、冠婚葬祭などの共同生活がしづらくなっていて、農業用水や道路を含むインフラが維持できず、ますます不便になり、結果的に限界が近づきつつある集落のことを指すそうです。

少し古いデータですが、2015年の国土交通省の調査によると、「今後10年以内に消滅する恐れがある」と予測される集落は全国に570あるそうで、今年は2023年。

つまり、調査から8年目なわけで、どれくらい確かなデータだったのかを知りたいものです。

また、「いずれ消滅する恐れがある」とみられる集落とあわせると、3,614集落にもなるそうで、ちょっと恐ろしい感じもします。

 

都会の限界集落はちょっと事情が違う

一方で、東京をはじめとする都市部の限界集落は、事情が違うようです。

例えば、そこそこに大きい団地で起こっていて、町全体を見ると限界感はなくても、その団地街が孤立していて、さまざまな不便が起こる感じだとか。

そういえば筆者が以前に取材に行った団地は、築50年(くらいだったと記憶)。

自治会長さんにお話をうかがったんですが、「住んでいる人はほとんどが70代。みんな、じじいとばばあだな。がはは」とおっしゃっていました。ちなみに、自治会長さん自身は80代。めちゃくちゃ元気でしたけどw

そこは以前、団地内に小さな商店がいくつか並んでいて、団地内だけでも十分生活ができたそう。飲食店も何軒かあり、夏祭り的なものなんかを企画したりして、コミュニティとして充実していたようです。

でも、だんだんと住民が歳をとり、子どもはどんどんと都会に…ではなく、もっと住みやすいところに出てしまい、年寄りだけが残ったと。当然と言えば、当然なんですけどね。

10年程前には敷地内にコンビニができたそうなのですが、今一つ売れなかったようで、数年でクローズ。

「普通の人なら10分ほどで行けるスーパーに、ここのみんなは20分かけて行って、少しだけ買って帰ってくる。もう自転車にも乗れない人が多いしね」と話していました。

これはかなり問題で、その自治会長さん曰く、「若い人にもっと入ってきてほしいし、ちょっと生活を助けてくれるとうれしいんだけど」とおっしゃっていました。

「そんな状況なら、他のところよりも安いんですよね、家賃」という話になったら、本当に安くてビックリでした。

地域相場の7割ぐらいの金額らしく、「そこをうまくPRすれば、若い入居者さんも増えそうですよね」なんて話をしてその場は終了しました。(そもそも取材は別テーマだったし、笑)

でも結果として、家賃が安くても、若者は住まないんですよね…

 

家賃が安くても若者が住まない理由

その後、「おじいちゃん、おばあちゃんしかいない団地に住んでつらかった」という若者の話を聞く機会がありまして、「確かに、それは無理だな」と思ったので、紹介しますね。

もちろん、前出の取材に行った団地ではないです。念のため・・・

団地の状況としてはほぼ同じ。大型の団地群があって、団地と住民が一緒に高齢化して、いつの間にか買い物をするところもなくなって、家賃が大幅に下がっていました。ちなみに、分譲タイプの団地です。

ここのスーパーはもっと離れていて、筆者は徒歩では行けない距離。バスで出かけるような場所で、めちゃくちゃ不便だそう。

って、何十棟もある団地なんですけど、みんなどうやって暮してるんだろ?って思うような環境だったそうです。

週に2回くらい、敷地内に移動式の八百屋さんのような商店が出店しているようで、そこに越してきた若者は、「みんなヴィーガンなのかな?」と真剣に思ったとか。

その若者(男性)は、田舎ではひい爺ちゃん、ひいばあちゃんも一緒に住むようは大家族で育ったため、年寄りを敬ったり、手伝ったりすることには全く抵抗なし。

むしろ、喜んで手伝ったそうで、例えば、買い物に行って荷物が重いという人がいれば運んだし、電球が切れたといえば休みの日に交換しに行ったりしていた。

なんとも麗しい話ですよね。

ところが、この地域のおじいちゃん・おばあちゃんは、若干頑固者の集まりというか、若干わがままで、それをいさめる人もいなかったんだそうです。それどころか、「若者は年寄りを手伝って当然」というスタンスで、実際にそう言われたことも1回や2回ではなかったそう。

そして閉鎖されたコミュニティの中で噂はどんどんと広がり、気がつけば仕事が休みの日に、2軒、3軒と高齢者の家を回るのが当然となってしまったそうで、たまに友だちと遊びにいったりすると、「どこに行ってたんだ?」と言われることも増えてきた。

しかも、手伝いをしても、最初のうちはみんなに感謝されたけれど、そのうちやってくれて当然という人が多くなって、中には、「ずっと待ってるのに来てくれないじゃないか!」と文句を言う人まで出てくる始末。

「俺って、ただの便利屋じゃね?」って考えるようになって、結局、団地を出る決意をしたという話を聞いたんですよね。

この男性がお人好しだったのも原因のひとつかもしれませんけど、実際に起こりがちな問題だなと感じました。

 

行政がカバーすべきという意見はあるけれど・・・

こういった問題は珍しいことではないようで、住民の入れ替えがなくなったら、都会でも限界集落に向かっていると考えるべきかと思います。

住民サービスを充実させるのは、ある意味行政の仕事だし、実際に「行政がなんとかしろ」という意見も出ているそうです。でも、実際、行政に大きな満足を求めるのはちょっとムリなのでは…と感じている私としては、「むむむ・・・」という感じなんですよね。

誰でも歳を取ることは避けられないし、それ自体は悪いことではないはず。でも、老害と言われるような状況になりがちなのも事実なわけです。

じゃぁ、年寄りは年寄りだけです住めばよいかと言えば、そうはいかない。やはり、「むむむ・・・」なわけです。

 

場所を選べば限界にはならないはず

自分が住む場所(地域)が限界集落化するとは、あまり考えない人が多いかと思いますが、荒っぽい言い方をすれば、なる場所はなります。

でも、ならない場所はならない。

例えば、あるマンモス団地(分譲タイプ)は、今でも住民が入れ替わっていて、メンテナンスが行き届いています。

また、団地でも建て替えが進んでいるところもある。お金が少ない高齢者には、リバースモーゲージを丁寧に説明していて、不安なく建て替えに賛成しているところもあるようです。

そういったところに共通するのは、交通の便が致命的に悪くはなく、治安もそれほど悪くない。これは最低限の条件となるのかなと思っています。

また、団地が立つところだけが人口密集地で、あとは人が住んでいない場所はかなり厳しい(どことは言いませんけど)。

団地は今でも安い住居として売られていますが、先々まで見て購入するのがよいのかもしれません。

何はともあれ、終の棲家はあまり不便すぎるのは、ある意味、命にかかわります!

あれこれ考えられるうちに、しっかり考えて家選びをしたいものです。

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