持ち家を賃貸物件として人に貸し出すことのメリット・デメリットとは
不動産は、使い方によってはお金を生み続ける資産です。自分や家族が住む以外に、人に貸し出すこともできます。人によっては、ローンは完済しているのに住んでいた人が亡くなったため、仕方なく放置しているといったケースもあるようです。かといって、売却をしたり取り壊したりするのも気が引ける……。そんな方におすすめなのが、持ち家を賃貸物件として貸し出す方法です。
「大家になるなんてハードルが高そう」と思う人がいるかもしれません。ですが、家賃の入出金から物件の清掃まで、何でもやってくれる管理会社があります。持ち腐れている不動産こそ、やってみる価値あり!
持ち家を賃貸で人に貸し出すメリットとデメリット
何事にも、良い面と悪い面があります。
とくに悪い面をしっかりと把握し、計画することで、失敗を防げることもありますね。しっかりと見ていきましょう!
メリット1.固定収入が得られる!
固定収入が得られるのは、賃貸で貸し出す1番のメリットといえます。
毎月まとまった収入が入ることは、魅力的です。
本業だってどうなるか分からない時代に、副収入が入ってくることは大きい! もし仕事を失ったら、住宅ローンが重くのしかかります。
一方、家賃収入があれば、住宅ローンと相殺もできるのでゆとりが生まれますね。
メリット2.修繕をして貸し出すことで空き家対策になる
人口の減少から多くの空き家が生まれて問題に……。
地方自治体でも、助成金を出すなどして対策に乗り出しています。
相続などで得た不動産も、放っておけば単なる空き家です。状態もヒドイものになっていきます。
解体費用には数百万円かかりますので、いっそのこと修繕をして人に貸し出してみてはいかがでしょうか?
少し不便なところでも、シェアハウスなどの特色を出すことで借り手が現れるかもしれません。地方の活性化にも役立ちます。
メリット3.過疎地でも需要はあり、防犯対策になる
人の出入りが少ない地域には窃盗目的の人が徘徊したり、住所不定の浮浪者が住み着いたりすることがあります。
もちろん、そのような問題を抱えている方には別途解決方法が必要ですが、知らない人に住み着かれてはかないませんね。
数年前に長期間留守にしていた自宅でボヤ騒ぎがあり、消防車が消火にあたったところ、家の中で人が亡くなっていたということがありました。家の持ち主とは面識がなく、気味の悪い事件(事故?)でした。
住まない家を人に貸すだけで防犯に効果があります。
メリット4.設備のいい分譲マンションなら高めに家賃が取れる
戸建てのファミリー向け住宅は、賃貸経営が難しいといわれています。
原因は、
- 賃貸面積が広く、家賃が高額になりがち
- 10万円以上の家賃ならばマイホームを買った方が経済的
の、2つです。
その点、マンションなら立地や設備によって相場よりも高い賃料を取れる可能性があります。
マンションには必ず、借りた方がいいか、買った方がいいかと迷っている層がいるものです。狙って訴求しましょう。
デメリット1.入居者がいなければ家賃収入はおろか維持費がかかる
どんな賃貸でも、借り手がいなければ家賃収入は入ってきません。
それどころか、設備をきれいに保つための維持費がかかります。
空き家の維持費は年間50万円ほど。火災保険や地震保険なども、かけておかねば心配です。
デメリット2.経年劣化は免れない。修繕費用がかかる
時間が過ぎれば過ぎるほど、設備もどんどん古くなり、トラブルも増えます。
そのたびに修繕をしたり、新しい設備の入れ替えをしたりしなければいけません。
【修繕の目安】
経過年数 | 修繕箇所 |
5年~10年 |
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10年~15年 |
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15~20年 |
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デメリット3.不動産の価値は下がっていく…家賃も下げることに
維持費は継続してかかるのに、不動産の価値は年々下がっていきます。
比例して家賃も下げざるを得ません。
もちろん、設備投資を率先して行い、最新のものに替えれば価値は上がります。しかし、あまり現実的ではないように感じます。
というのも、かかった費用は家賃に上乗せしなければ元を取れないからです。
重要な設備に投資をして、家賃を維持していくことが理想的ですね。
デメリット4.住民によってはトラブルが起こる
たまに取り上げられる住民による騒動。
ゴミ問題、騒音問題、猫への餌付け……。そのほとんどは、賃貸住宅に住んでいる人が原因です。
退去命令を出せればいいのですが、契約内容によってはそれができないことも。入居前の住人の選別は重要ですね。
災害リスクは保険をかければ大丈夫?
2019年、台風15号と19号の被害は広範囲に及びました。
がけ崩れや住宅への浸水などの被害を受けたお宅の中には、いまだに復興の目途がたたないところもあります。賃貸経営をする立場としては、他人事ではありません。
このような異常気象、万が一の火災のためにかけているのが保険。しかし、実際にことが起これば保険金が下りるまでに時間を要するケースも目立ちます。保険金の払い渋り!
これが本当に面倒なんです。修繕費の見積もりが出ても、保険金の支払い額がはっきりしないことには修繕は進められません。
保険をかけているだけでは、災害リスクをゼロにすることは難しいように感じます。
持ち家の賃貸をはじめるために注意するポイント
持ち家を貸し出すためのポイントは、以下の3つです。
とくに重要なのは賃貸借家契約。詳しく見ていきましょう。
ポイント1.通常の戸建ては賃料が高くなりがち、工夫が必要
部屋数があり、立地もよく、家賃も数万円ならば借り手がすぐに見つかります。
しかし、1か月の家賃が10万円を越えると、なかなか借り手は見つかりません。なぜならば、高い家賃を払い続けるよりも、マイホームを持った方が効率も良いと判断されるから。
家賃を高く取るなら、庭もきれい、設備が映えるなど、それなりの理由が必要でしょう。
ポイント2.賃貸借家契約には2つの種類がある
家を貸し出す際には、賃貸借家契約を結びます。
通常のアパートを借りる場合にも結びますが、この契約には2つの種類があることをご存知でしょうか?
- 普通建物賃貸借契約:一般的な契約
- 定期建物賃貸借契約:2000年3月から認められた契約
普通建物賃貸借契約の特徴は、大家が借り手に退去を望んでも、借り手が拒絶すれば退去させられないことです。
たとえば、転勤のため5年間だけと思い貸して、いざ戻ろうとしても借り手が拒絶すれば住み続けられます。
対しての定期建物賃貸借契約は、契約期間が来た時点で更新は一切なく、確実に家を開け渡してもらう契約。契約期間を自由に決められます。
自宅に戻る年数が分かっている、もしくは確実に家に戻ることが分かっている場合は、定期建物賃貸借契約を結ぶのがベストです。
しかし、契約期間が明確になっており、いずれは退去しなければならないこの契約は、借り手がつきにくい面もあります。
契約内容については、管理会社とよくよく相談しましょう。
ポイント3.たとえ親族などへの貸し出しでも契約書をしっかり作る
誰も住まないのはもったいないからと、親戚を住まわせるケースがあります。
十分な家賃が入れば万々歳。ですが、契約書を取り交わさずにその場のノリで話が進むことが、しばしばあります。そうなってしまうと、いざ修繕をするときにどこまで大家負担で修繕をするのかでトラブルになることも……。
たとえ貸し出す相手が親戚・親族でも、契約書は必ず準備しておきましょう。
持ち家を貸し出すなら管理会社の利用がおすすめ
大家には専業もいれば兼業の方もいます。
専業の方は大家業で生活をしており、自分たちで管理しているところが多いです。
一方、兼業の場合、ほかに本業を持っており、賃貸にまで時間をかけるゆとりがありません。そのために利用するのが、管理会社です。
一般的には、持ち家を賃貸にすると決めたら、まずは不動産会社へ依頼をします。不動産会社では、入居者の募集から借り手との契約条件の交渉、賃貸借契約の手続き、入居にかかる手続きなどを代行してもらえますね。
しかし、入居後の管理を依頼するためには、管理会社もあわせて利用することがおすすめです。
管理会社を利用すれば、
- 家賃の入金確認
- 住人のクレーム対応
- 物件の清掃
なども、おこなってもらえます。
なお、これらにかかった費用は確定申告の際に申告可能です。
まとめ
転勤や相続で持ち腐れてしまう不動産があります。中には対応に困り、放置されてしまうものも……。そんなもったいない物件は、少しの手間と手続きで賃貸住宅にすることができます。副収入を得られる可能性もあるのです。
住宅ローンが残っている家ならば、なおのこと貸し出すことが吉です。不動産会社と管理会社に一度相談されることをおすすめいたします。