地方移住の補助金が最大300万円!「起業支援金」「移住支援金」とは
国が重要施策として掲げている地方創生の一環として、東京圏から地方へ移住した場合に支援金をもらえる制度が2019年4月にスタートしました。この制度には「起業支援金」と「移住支援金」という2つの支援金があり、最大で300万円の補助金を受け取れます。ただ、地方へ移住すれば誰でも支援金を受け取れるわけではありません。
そこで、今日は地方移住に役立つ補助金の1つとして「起業支援金」と「移住支援金」について解説します。支給額や支給までの流れなどもお伝えしますので、地方移住に興味がある人は参考にしてみてください。
移住支援金とは
まずは、「移住支援金」について解説します。
移住支援金とは、東京圏から東京23区に通勤していた人が地方へ移住して就業・起業した場合に、最大100万円まで支給してもらえる補助金のことです。
では早速、具体的な内容と支給までの流れを見ていきましょう。
移住支援金の対象者
移住支援金の対象者となるには、次の条件を全て満たす必要があります。
- 東京圏に暮らし、東京23区内の職場まで通勤していた人(5年以上)
- 東京圏以外の都道府県、または東京圏内の条件不利地域に移住する人
- マッチングサイト掲載の求人に就職する、または起業支援金の交付が決まった人
東京圏とは、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県のこと。条件不利地域とは、過疎地や離島、山間部といった地域のことです。
具体的な市町村に関しては、内閣府の地方創生サイト(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/ijyu_shienkin.html#an2)でご確認ください。
移住支援金は、人口や経済などが東京圏に集中すること(東京一極集中)を改善するための制度でもあります。そのため、東京近郊の人口が多い場所から人口があまり多くない地方へ移住する場合のみが制度の対象となるのです。
また、先ほど挙げた条件の中には「マッチングサイト掲載の求人に就職するか起業支援金の交付が決まった人」とありました。これは、単に地方移住するだけでなく、移住希望者と中小企業のマッチングサイト(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/shienkin_map.html)に掲載された求人に就職する、または起業することが条件、という意味です。
就職する場合に対象となるのは、各自治体が定めた企業の求人、かつ週20時間以上の無期雇用契約のみ。さらに、3親等以内の親族が経営する企業は対象外となります。
そのほかにも、
- 官公庁
- 大企業
- 風俗営業者
- 反社会勢力
などは対象外となりますので注意しましょう。
起業に関する詳細な条件は、後に紹介する「起業支援金」の見出しでご確認ください。
移住支援金の対象となる移住期間
続いて、移住支援金の対象となる移住期間について解説します。
東京圏から地方へ移住をすれば、いつ移住しても支援金を受け取れるというわけではありません。移住先の自治体が移住支援事業の詳細を公表してからの移住でないと、移住支援金の対象にはならないのです。
そして、移住先に5年以上ずっと住み続ける意思があることも条件となっています。
移住で支給される補助金の金額
移住支援金の支給額は、夫婦で移住した場合は最大100万円、単身の場合は最大60万円です。
移住支援金の支給額は、地方自治体が設定します。夫婦で移住すれば必ず100万円を受け取れるという意味ではありませんので、注意しましょう。
移住支援金を受け取るまでの流れ
続いて、移住支援金を受け取るまでの流れを見てみましょう。
就職の場合は、以下の流れで支援金を受け取ります。
- 都道府県が移住支援事業の詳細を公表
- マッチングサイトの対象求人が掲載
- 対象企業への就職活動
- 内定、就業
- 移住支援金の申請
- 支援金の支給
一方、起業する場合の流れは以下の通りです。
- 公募開始
- 起業支援金の申請
- 審査
- 交付決定
- 移住支援金の申請
- 支援金の支給
実際に地方へ移住するタイミングは、どちらの場合も公表や公募開始の後となります。
移住支援金の申請を行えるのは、就職する場合は移住と就職をしてから3ヶ月が経過したタイミング、起業する場合は移住後3ヶ月以上で、かつ起業支援金の交付が決定してから1年以内です。移住後1年以内に申請しないと移住支援金は受け取れませんので注意しましょう。
なお、移住したとみなされるのは住民票を移したタイミングです。
移住するなら注意したい点
続いて、移住に関する注意点をお伝えします。
移住期間の段落でもお伝えしたように、支援金を受け取るには移住先に継続して住み続ける意思を持っていなければいけません。5年未満で移住先から引っ越す場合、移住支援金の返還を求められることがあります。実際のところ、3年未満だと全額を、3年以上5年未満だと半額を返還するケースが多いようです。
そのほかには、支援金の条件となる仕事を辞めた場合も返還の対象となる場合があります。
ただし、
- 倒産
- 災害
- 病気
といった、やむを得ない事情がある場合は返還を求められません。
自治体によっては、支援金の条件となる仕事に再就職すれば返還対象とならない場合もあるようです。
起業支援金とは
続いて、起業支援金について解説します。
起業支援金とは、東京圏以外の自治体か東京都内の条件不利地域で起業した場合に、最大200万円まで支給を受けられる交付金のことです。
地方創生起業支援事業では、都道府県が選定する執行団体により起業に向けたサポートも受けられます。これは、地域の課題解決に役立つ事業の起業を促進し、地方創生に役立てることこそが地方創生起業支援事業の目的だからです。
では、どういった場合であれば起業支援金を受け取れるのでしょうか。
起業支援金の対象者
起業支援金の対象者となるには、以下の条件を全て満たす必要があります。
- 東京圏以外の都道府県か、東京圏内の条件不利地域で起業する人
- 公募開始~起業支援事業の完了までに個人開業届または法人の設立を行う人
- 起業地の都道府県に住んでいる、もしくは住む予定である人
移住支援金とは違い、起業支援金は地方へ移住することが条件にありません。すでに対象地域に住んでいる場合は、移住なしでも申請できます。
起業する場合に受け取れる補助金の金額
続いて紹介するのは、起業する場合に受け取れる具体的な補助金の金額です。
起業支援金の支給額は最大で200万円ですが、起業に必要な経費の2分の1までという条件があります。つまり、最大の支給額である200万円をもらうためには400万円以上の経費が必要ということです。
仮に起業支援金で200万円を支給してもらえたとすると、移住支援金と合わせて最大300万円を受け取れます。
移住支援金と同じく、起業支援金も地方自治体が主体となって実施する制度です。支給額や制度の詳細については、公式サイトの公募情報を確認しましょう。
起業支援金支給までの流れ
続いて、起業支援金を受け取るまでの流れを解説します。
起業支援金を受け取るまでの流れは、以下の通りです。
- 公募の開始
- 起業支援金の申請
- 審査
- 交付の決定
- 開業届の提出、法人の設立
- 起業に向けたサポート
- 実績の報告
- 支援金の清算
起業支援金のポイントは、交付が決定してから開業届を出したり法人の設立をしたりすることです。起業してから申請するのではなく、計画段階で先に申請する流れとなりますので、注意しましょう。
まとめ
国が地方創生に力を入れていることもあり、地方移住についてはさまざまな補助金や支援制度があります。「もっと静かな環境で子育てをしたい」「経費を抑えるために地方で起業したい」といった気持ちがある人は、地方移住を検討してみてはいかがでしょうか。補助金や支援制度を詳しく調べることで、自分にピッタリな支援制度が見つかるかもしれませんよ。