ソロキャンプブームが半端ない! キャンプ場経営の魅力と可能性について考えてみた

  • 2021/6/2
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ソロキャンプ、つまり一人でやるキャンプがめちゃくちゃ流行っているのご存知でしょうか?

コロナ禍で、多くのレジャーや旅行業が業績悪化するなか、唯一堅調に延びたのが、ソロキャンプを含んだキャンプ関連事業です。

ということで、不動産の学校らしく、キャンプ場運営の可能性について調べてみたいと思います。

キャンプ用品関連企業「スノーピーク」の株価からみるキャンプの好調ぶり

まず、今流行っているのはキャンプであり、中でもソロキャンプが流行っているわけですが、それがどれだけ凄いのかを見ていきましょう。

キャンプ用品をメインに扱っているメーカーで上場している企業は多くありません。アウトドア用品全般を扱っているとか、スポーツ用品も扱っているというところはあるんですが…。

そこで参考になるのが、唯一の上場企業「スノーピーク」。ここはオートキャンプ製品を中心に、ちょっとお高めなアウトドア製品の開発から製造、販売までを展開するアウトドアブランドです。

さて、この会社の近年の株価を見てみると、5年くらい1000円から2000円の間をキープしていたのですが、2020年の3月に近年の最安値である603円に落ち込みます。しかし、その後はずっと右肩上がり!

2021年5月には4000円台にまで上がっています。今は少し落ち着いていていますが、それでも3000円代前半。すごい値上がりですね。

最安値となった2020年3月といえば、コロナによる最初の緊急事態宣言が発令された頃であり、この時は当然レジャー用品は総崩れと見られ下がったものと思われますが、その後、コロナが後押しする形でソロキャンプが流行り、右肩上がりになったものと思われます。

キャンプは好きな場所で自由にやるのではなく、キャンプ場を利用する

さて、本題です。

キャンプ場経営は儲かるのか?という話に行きましょう。

まずはニーズを考えます。

日本にはさまざまなキャンプ場があります。グランピングを取り入れて、自然の中でリッチに暮らすのようなコンセプトのものもあれば、仮設トイレがあるぐらいで水道もなく、「数百円とはいえ、ここでお金取られるの?」というようなところもあります。

「これなら山奥に行って、好きな場所でテントを張ったのと同じ」と考える人もいると思いますが、それはなかなかむずかしい。キャンプ場以外の場所でキャンプをすることを「ゲリラキャンプ」と言うそうで、このマニアもいるそうですが、私有地で無断でキャンプをしたら、土地の無断使用や私有地への不法侵入にあたります。下手すりゃ、警察沙汰です。

また、自治体が所有や管理している場所でも、禁止事項が細かく規制されていることが多く、公共の場所だから勝手にテント張っちゃう、というわけにはいきません。さらに言えば、たとえこっそりテントが張れたとしても、火を使うとなると、さらにややこしいことになります。そこで多くの人は、キャンプ場を利用する選択肢しかなくなるわけです。

そして、多くの人は、「キャンプが好きだ」と言いながら、本格的に不自由な生活は望んでいないのが本音だという人が多いのです。あんまり虫がいない水栓トイレと、洗い物がでても現地で洗える場所は欲しいとか、車を乗り付けてその横にテントをはりたいとか、自分が利用するスペース(サイト)は明確にロープで仕切ってほしい、と要望は多く、結局のところ、それなりに設備が整ったキャンプ場のニーズは高いわけです。

「それってファミリーキャンプだからじゃないの?」と思うキャンパーも多いかもしれませんが、ソロキャンプでも基本的なニーズは変わっていません。もちろん、一人で行くので水はなくてもいいかとか、大掛かりなバーベキューはしないから、人で溢れかえる炊事場は利用しない。できれば静かな場所がよく、あまり人が溢れかえっていないキャンプ場がいいというのがソロキャンパーの望みかとは思いますが、キャンプ場であることに変わりはないはずです。

キャンプ場は土地さえ手に入れればなんとかなるか?

設備があまりいらないなら、田舎の土地さえ買えば何とかなるのでは?と考える人もいるかもしれません。

もちろん考え方次第なので、それもあるかと思いますが、近隣の方との交渉などが大変そう。

そこで、視点を変えると、わざわざ自分で土地を買ってキャンプ場を作らなくても、ある程度の設備を整えたキャンプ場が日本中のあちこちにあります。それを利用する方が簡単かもしれません。なぜなら、多くのキャンプ場は後継者がいないことに悩んでいるからです。

実際、「後継者がいないのでキャンプ場を売ってしまいたい」という人と、「これからキャンプをやりたい」という人のマッチングサイトなどがあり、またそれをサポートする会社もあったりするのです。

どれくらい儲かるのか?

では、どれぐらい儲かるのか?

結構探したのですが、個人経営のところでの経営状況を公開しているところは見つかりませんでした。しかしキャンプ場は公営のところが多いので、こっちを探せばなんとかなると必死に探したら、ありました!

場所は大分県の長者原オートキャンプ場。http://kokonoe.net/kyk/

ここの平成30年の運営状況が公開されています。https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2065991.pdf

長者原オートキャンプ場はどんなところか?

このキャンプ場はフリーテントサイトが2箇所で計40、オートキャンプサイトが40スペース。さらにケビン棟(ログハウスのような感じ)が10棟あるところで、キャンプ場としては大きいところのようです。屋根付きの炊事舎があり、オートキャンプサイトにはミニキッチンや電源がついているという、至れり尽くせり系のキャンプ場ですね。

入場料は大人540円、小学生330円。これにオートサイト利用であれば宿泊料が1区画あたり1泊4320円(繁忙時5400円)となっています。

(その他の細かい料金などはホームページを参照のこと。金額は平成30年当時の価格です)

気になる収支は以下。

平成30年度の年間利用者数は8052人。

【収入の部】(単位:千円)

  • 利用料金    21,214
  • 自主事業収入  1,047
  • その他         -11
  • 合計              22,250

(自主事業収入とは、キャンプ場が独自に行ったイベントから得た収益)

【支出の部】

  • 人件費     12,717
  • 維持管理費     7,015
  • 自主事業費      840
  • その他        34
  • 合計       20,606

収支差額             1,644

管理は民間の会社に委託されているようですが、運営は公的なものであり、そこで出した数字としてキャッシュフローが1,644,000円です。なかなかの数値ですよね。やりようによっては利用者はもっと増えるでしょうし、利益率をあげることも可能なはず。

ちょっと話が横道にそれますが、私が過去に関わった仕事で、公営から民営になった1年目で利益率は1.5倍。2年目で利用者数が約3倍、利益額は約5倍になったケースがあります。公営事業は経営効率を求めないものであり、それでもこれだけ利益が出ているわけですから。

後継者不足に悩むキャンプ場はたくさんある

さて最後に、キャンプ場経営をはじめるにはどうすればよいのかという話です。

一般的にはマッチングサイトを利用するか、足を運んだキャンプ場の運営者がすごくお年寄りだったら、うまいこと話しを持っていくと言う二択になるかと思います。

後者はあるの?という話ですが、これがあるんですよ!

実は、仕事で関わらせていただいたある企業が、神奈川県の有名な温泉地にあるキャンプ場を譲り受けようとしたことがあったんです。

そのキャンプ場は、かなり古いのですがバンガローが10棟ぐらいあり、オートキャンプ場が20サイトぐらいあったと思います。そこの最大の特徴は温泉がキャンプ場内にあること。しかも源泉かけ流しで、キャンプ場利用者は無料で利用できました。

経営者は老夫婦で、40代ぐらいの息子が手伝っていたのですが、息子は継ぐ気がないとのことで、「いつか誰かに売るしかないか」とゆる~く先行きに不安を感じていたようです。

そこを3年間連続で使った社員がこの老夫婦と仲良くなり、「いつかこういうキャンプ場をやりたいんですよね」と話をしたことで、本格的な譲渡計画に進展しました。

結局その話は、継ぐ気はないと言う息子が妙な色気を出し、ややこしいことを言い出したので流れてしまいましたが、当初はかなり安い価格で譲り受けられる話だったようです。だっだぴろい土地と建物全部で、戸建て一軒分くらい。上物は価値はないでしょうが、温泉付きですからね。

週末になったら自分の所有するキャンプ場に温泉に入り、満点の星空の下で寝るなんて、めちゃくちゃ魅力的ではないですか?

いつかキャンプ場経営が面白いかもと思っている人は、後継者不足に悩むキャンプ場にあたってみてはいかがでしょうか?

原田園子

原田園子ディレクター

投稿者プロフィール

「不動産の学校」のディレクター兼ライター。
住宅メーカーや不動産業者をクライアントに持っています。
不動産関連の取材実績も多数あり。
不動産投資から日々の暮らし記事まで、幅広く担当します。

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