【連載】火災保険料の値上がりが大家さんを直撃! 見直しの検討・事前準備は万全ですか?
2022年10月に火災保険料が改定されます。「保険料の実質的な値上げだ」と各所で話題ですが、皆さん、準備や対策は万全でしょうか?
『え? 何か対策がいるの?』と驚かれた大家さん、たくさんいらっしゃるのではないかと思います。実際に私も、不動産所有者の皆さまと面談するなかで保険料改定の話をしますが、改定のニュースは何となく知っていたけど特に何もしていない、という方がほとんどです。たまたま保険の更新時期が近かった、ということでもなければ関心を持ちにくいのかもしれませんが、そもそも自分に火災保険の話は関係ない、と考えている大家さんも多いように見受けられます。
ですが、実際には火災保険は、大家さんにおおいに関係のある話です。なぜなら、私たちが大家さんの保険を拝見すると、実に7割以上の物件の保険に見直しポイントが見つかるからです。物件の投資分析を勉強されている方はたくさんいらっしゃいますが、火災保険の内容まで、論理的・合理的に考えている方は少数派ではないでしょうか。
今回は、どんな大家さんが火災保険の見直しをするべきかを解説していきます。
『火災保険の更新が近い』『なんとなく保険に入った』は特に見直しの価値アリ!
大家さんは保険の見直しを!…と言っても、もちろんすべての方が当てはまるわけではありません。ただ、次のような大家さんは見直しでメリットを得られる可能性大です。
① そろそろ火災保険の更新が近い方
火災保険は、これまで最長10年の長期間加入できたのですが、今回の改定で契約期間は最長5年までに短縮されます。2022年10月を超えてすぐ更新を迎えてしまうという方は、改定に先んじて10年契約を結んでおくことで、長期契約による高い割引率が適用されることと、契約期間中に再度値上げがあっても、更新のタイミングまではその影響を受けずに済むという2つのメリットを享受できます。
② 建物の持つリスクに対して、保険金額が高すぎる設定の方
火災や地震による損壊リスクは、建物の立地や構造によって異なりますが、最近の建物は耐火性能や耐震性能が改善されており、万一の際にも全壊までは至らない場合がほとんどです。一方で、物件購入時に借入をした場合には、たとえ物件が全壊したとしても残債を返済できるくらいには補償がほしいところです。
本来、受け取る保険金の金額設定をする際は、これらを踏まえて「過不足のない金額」を検討するべきなのですが、建物の購入時や新築時に、金融機関や仲介業者に促されるまま、『なんとなく』で保険金額を設定してしまっている方が多いようです。特に、保険金額を高めに設定して、必要以上に掛け金を支払っているケースは少なくありません。保険金額を見直すと、その影響は保険料の支払額に大きなインパクトをもって返ってきます。更新時期が先の方でも、保険見直しを試していただく価値はあるのではないでしょうか。
③ 不要な特約が付いている方・必要な特約が付いていない方
万一の備えとして、オールリスク型の火災保険に加入している方もいらっしゃると思います。しかし、中身をよく見ると、「これは外しても良いのでは?」という特約が含まれていることが珍しくありません。
例えば、水災リスクの極めて低いエリアの建物に水災の特約は不要かもしれませんし、最近増えている「室内での孤独死」などに備えた家主費用補償特約も、孤独死リスクの低いファミリー物件では外してしまって良いように思います。
逆に、水災リスクの高いエリアにもかかわらず、保険料を下げるために水災特約を外してしまっていたり、施設賠償特約が付帯しておらず、事故による損害賠償責任が担保されていないような状態では、いざという時に使えない保険=結局は「割高の保険・掛け損の保険」になってしまいます。保険料を下げるというだけでなく、建物に応じて異なるさまざまなリスクを担保できるよう特約を付保し、「保険を最適化する」という観点からも、定期的な保険の見直しは非常に大切です。
■火災保険の最適化はプロに見てもらうのが近道
冒頭でも解説したとおり、多くの物件は火災保険に見直しポイントを抱えています。何となく契約した火災保険にずっと加入しているという方は、保険の内容が適切かどうか、支払っている保険料がリスクに見合っているかどうか、この機会に保険の見直しをしてみましょう。
ちなみに、見直しの際はプロにアドバイスをもらうことを強くオススメします。なぜなら、火災保険は自分でインターネットから契約する場合も、代理店を通して契約する場合も、保険の内容が同じであれば保険料は変わらないからです。
支払うお金が同じなら、プロに相談できたほうが断然お得ですし、安心ですよね!
アートアベニューでも保険見直しのご相談を承っておりますので、本記事をご覧になって、ご興味をお持ちいただいた方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
筆者:(株)アートアベニュー 安藤
弊社は首都圏の賃貸物件約7000戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。
株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
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