【連載】不動産の空き室を外国人で満室にする方法(後編)

前回からの続きで外国人を集客する賃貸マンション経営、民泊経営で美味しい状況をどうやって大いに活用するのか。それには外国人が住みやすい環境、住みたいと思う環境を作ることが大事です。

一見すると、それは外国のような住環境を作ることだ、つまり洋室で外国語による懇切丁寧な案内がされている施設であるべきだと考えてしまいます。実際、駅構内や道路に見られる標識や案内図は日本語の下に英語、中国語、ハングルなどで翻訳されています。しかし、本当にそういうサービスが外国人に好まれるのでしょうか。外国人が求める「お・も・て・な・し」はそういうことでしょうか。

外国人で賑わう観光地は京都、浅草など純日本的な場所だと報道されています。また、日本へリピートする外国人は有名な場所ではなく、日本人も知らない、昔からの日本の景観を残しているような秘境・奥地だったりします。つまり、彼らは日本でしか味わえない「日本らしさ」をそこに求めているのです。私達もかつては日本にいるのと変わらないような雰囲気で落ち着くハワイを観光のメッカにしていた時期がありましたが、やがてその国本来の文化に触れたいとか、日本では味わえないまさに「異郷」観を求めるようになって行ったのです。

確かにトイレまで和式にこだわる必要はないと思いますが、建物の外観、部屋の内装といった佇まいは日本らしさにこだわるべきだと思います。
母国でも味わえる雰囲気や、そのような造りだったら他にいくらでもあるような洋式の造りでは競争になります。大正ロマンや江戸の風景を醸し出すような日本独特の建物は彼らの憧れの物件となるのです。

ただ、外国人を純日本風の建物に受け入れても、彼らが日本的な生活様式に右倣えするわけではありません。生活様式まで日本風にどっぷりつかることはあり得ないと思います。例えばトイレを和式に統一することはあり得ないと考えます。

そうなると、彼らの生活様式とその物件に住む日本人や、他の国の外国人とトラブルになる危険性が生じます。それは是非避けたいところです。そこで、予め日本のルールを彼らに教えておき、且つ、それを遵守してもらうことが必要です。夜中に友達を呼んでどんちゃん騒ぎをするなどということは、今では日本人の若者もやりがちですが、そのような行為が外国人には当たり前の文化として根付いている場合もあります。つまり常識内の範囲だというわけです。

ですから、そういった日本のルールを事前にしっかり理解してもらうことが大事です。中にはそのままその部屋に居ついてしまって、一人に貸した部屋にいつのまにか二人が住んでいたということもよく聞く話です。

また甲という人に貸した部屋にいつの間にか乙という人が住んでいて、甲はどうしたのかと尋ねると本国へ帰ったというような事態になっていたという話もよく聞きます。日本人ではあり得ないことが外国人に賃貸する場合にはこのようなことが起きます。

それから、最近の問題は南京虫が彼らの身体に付着して彼らの住んでいる部屋にやって来て、部屋から物件全体に広がって行くという問題も発生しています。南京虫はカメムシのような姿ですが、樹液などのかわりに血液を吸います。血を吸わなくても半年以上生きていて、普通の殺虫剤ではびくともしないようです。あっと言う間に広がってしまう繁殖力もあります。

こうなっては後の祭りです。外国人、特にアジア圏の人を受け入れる場合には注意が必要ですし、特に民泊などで短期に貸すような廉価な物件にはこのような危険性がありそうな人が客としてやって来る可能性があります。

以上、このようなことに気を配りながら来る2020年には是非外国人で皆さんの物件を満室にしてください。

行政書士グリンエア法務事務所 所長  吉田幸弘
NPO法人市民生活支援センター 前理事長
5年度に渡って、相続税、贈与税、所得税、(法人、個人)住民税の申告相談受付。著書では「大家さんが是非知っておきたい法律の話」を面白く、わかりやすく解説している。昨今の安易な「墓じまい」を危険視し、安全な墓じまいの為の「傳の会」を発足、作家の顔も持ち、amazonで発刊されている「影山一族」は三春町、田村市、須賀川市、フランス・リヨン日本人会の寄贈図書になっている。
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