【連載】加入の有無が水害時の命運を分ける!台風シーズン前に見直したい火災保険・水災補償
- 2020/9/27
- 不動産投資
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(株)アートアベニューの安藤と申します。弊社は首都圏の賃貸物件約6800戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。
本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。
先日、国土交通省より、2019年1年間の水害による被害の総額が発表されました。その被害額は、約2兆1500億円にものぼり、1961年の統計開始以降では最大となりました。さらに、その86%にあたる約1兆8600億円が、9月に日本列島を直撃して甚大な被害をもたらした台風19号によるものだそうです。
台風19号では多くの建物が浸水の被害を受けましたが、水災補償の加入の有無が多くのオーナー様の命運を分けました。今年もまた台風の季節がやってきますが、皆様はしっかりと保険の加入状況を把握できているでしょうか。
大雨の降る頻度は増えている
前述した台風19号だけでなく、近頃は毎年のように各地の豪雨災害の報道を目にします。気象庁による大雨発生件数のデータを見てみると、年によって多少のばらつきはあるものの、実際にこの40年間で大雨の件数が約1.4倍に増加していることがわかります。
大雨の頻度が増えるということは、当然、浸水などの大きな被害に遭う確率も増えるということ。しかし、自然災害の発生は避けられない以上、重要になるのは万一、被害に遭ってしまった際の「備え」です。
3割が水災補償未加入。コストを理由に省いてしまっていませんか?
大雨による浸水被害の際、火災保険の水災補償に加入していれば、その被害を担保することができます。
しかし全体で見てみると、水災補償は選択式であるためか、加入率がそこまで高くないようです。組織によって統計の取り方が異なるため一概には言えませんが、例えば損害保険料率算出機構のデータ(火災保険 都道府県別 水災保証付帯率)によれば、火災保険に加入されている方のうち、実に30%以上の方が水災補償に入っていない事実がわかります。
未加入の大きな理由の一つとして、掛け金が高くなることが挙げられるでしょう。保険会社によって多少の上下はあるものの、フル補償の保険の掛け金を100とした場合、水災補償を内容から外すだけで、掛け金を約3割も下げることができます。
また、多くの場合、保険加入は物件購入時と思われますが、諸費用を安く抑えようとしたり、あまり深く考えず「ふつうの保険内容」で済ませていることも少なくないのではないかと思います。加えて、今でこそ火災保険は最長10年ごとの更新となりますが、2015年に制度が変更されるまでは最長36年の保険加入が可能だったため、改めて火災保険について深く考えるタイミングがない、という方も多そうです。
ハザードマップも確認。値上げ前に水災補償の加入検討を
昨今の水災被害が頻発する状況を受けて、2020年8月28日から、不動産取引において水害リスクの説明が義務化され、重要事項説明の中でハザードマップに基づいた説明をしなくてはならなくなるなど、一昔前よりも水災は身近なものとなりつつあります。
国交省の運営する『ハザードマップポータルサイト』を使用すると、調べたい場所のハザードマップを簡単に探すことができます。まずは一度、ご自身の所有されている物件が水災リスクの高いエリアに該当するかどうかを確認してみることをお勧めします。
水災補償は、物件の立地によってコストとリスクのバランスが大きく異なるため、全員が必ず加入すべき、というものではありませんが、もし、ご自身の所有されている不動産が水災リスクの高い立地である場合には必ず検討すべきです。
2019年10月に値上がりしたばかりの火災保険料が、2021年1月に再度値上げすることも決まっています。今年のうちに保険を見直し、値上げ前に長期(10年)の保険に入っておくのも賢い選択ではないでしょうか。
株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/