管理会社社員が語る、実は迷惑なお客様~お部屋探し編~

  • 2019/11/20
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お部屋探し、申し込みから入居、入居から退去、退去時の清算まで、お客様と長く付き合うのが不動産の賃貸業界です。お客様は神様……では、ありません。賃貸と聞けば身近に感じますが、法律行為ですので、あなたと家主の関係を正常に保つことが不動産管理会社の役目です。長いお付き合いをしていく上で、迷惑と思われて得なことは1つもありません。あなたが思う「普通」「常識」「大丈夫」は、常識から外れていないでしょうか?

今回は、ありがちな困ったお客様の例を紹介します。




 

理想的な営業マンが本当に良い人とは限らない

あなたが思う営業マンのイメージはどのような感じでしょうか。

「営業ってうっとうしいな」
「決めて帰らないといけないのかな」
「良い物件を紹介してくれないのでは?」
などと不安に思う方も多いです。

しかし、裏を返せば

  • うっとうしくない→親身になって話を聞いていない
  • 決めて帰れなかった→せっかく物件にめぐり合えたのに良さが伝わらなかった
  • 良い物件をたくさん紹介してくれた→良い物件を紹介し過ぎたあまりに迷わせてしまった

ということです。

あなたの生活スタイルに合わせて空き物件の中から吟味したもののみを紹介し、物件についてのストーリーや家主のエピソードを語り、あなたの知識が間違っていればしっかりと軌道修正してくれる。そんな営業マンが理想です。

しかし、営業マンが力を発揮するためには、あなたの腕も重要なのです。もしかすると、腕の良い営業マンをあなたが潰してしまっているかもしれません。

実例を交えて、賃貸物件を選ぶ際のNGポイント迷惑なお客様を紹介します。

1.ネット情報のみでお部屋を決める

ネットが普及・拡大したことにより、誰もが情報を集めやすくなりました。

ところが、実際に決めるまでには実に9割以上の方が不動産管理会社に足を運んでいるのも事実です。

また、ネットでピッタリの物件を見つけて「この物件に住みたいです!」と言われる方が、まれにいます。

しかし、
「イメージと違った」
「住みにくかった」
「駐車場が狭かった」
と、早々に退去されるも多いのです。

部屋の良し悪しをしっかりと見極めるためにも、営業マンの話にも耳を傾け、比較になる周辺の物件を2カ所ぐらいは見てから部屋を決めましょう

2.しつこく家賃交渉をする

お部屋を決めたのは良いものの、「家賃を下げてよ」「いくらまでなら下がるの」としつこく聞く方がいます。

住人にとっては生活していく上で重要な問題ですが、それは家主にとっても同じことだという理解も必要です。

たとえば、あなたの勤務先から「労働時間は変わらないけど会社の売り上げが少ないから給料を下げてもいいよね」なんて簡単に言われたら、腹が立つと思います。

家主も同じで、家賃収入からローンの返済や修繕費・税金といった支払いなどを行うため、家賃の値下げは死活問題にもなりかねません。

家賃は下げるお願いをするものではなく、下がるように交渉するもの。「下がり幅の見極め」「下げる換わりの条件提示」があって、はじめて交渉のテーブルに乗れるのです。

単なるお願いでは、家賃を払い続けられないお客様、常識のない失礼なお客様と判断され、入居自体を断られる可能性もあります。入居中や退去時に家主の不満が爆発する恐れもありますので、くれぐれも気を付けましょう。

3.決めるつもりがないのに何度も来店する

賃貸物件めぐりが趣味になっている方もまれにいらっしゃるようですが、本気で探されている方の邪魔であり、大変に迷惑です。

また、決めるつもりもないのに「家賃はいくらまで下がるの」と聞かれる方がいますが、決めるかどうか分からない状態では答えようがありません

前述でお伝えしたように、家賃交渉については「○○円だったら今すぐに申し込みます」といった条件提示が必要です。

4.無理な条件で物件を探す

たとえば、探しているエリアの相場が2DKのアパートで家賃5万円だとします。そこへ「2DKで家賃2万円代の築浅物件ありますか」と聞かれても、返す言葉がありません。

エリアによって、アパート・マンション・借家の相場は異なります。

相場が分からないのであれば、まずは営業マンから相場を聞いた上で

  • エリア
  • 家賃
  • 間取り

などを決めましょう。

的外れな条件のままでは、探す気がない・決める気がないのと同じです

5.キャンセル時の手付け金は返金してもらえるものだと思っている

「申込金」「手付け金」の違いをご存知でしょうか。

物件を決め、申込書にサインした後に支払うお金が「申込金」です。申込金を支払った際に、不動産管理会社から預かり証を受け取ります。

受け取った預かり証は、キャンセルの返金時に現金と引き換え、または成約後に領収証と交換する必要があります。無くさないように保管してください。

申し込み後に気が変わることもあると思いますが、審査を通す前、契約書へのサインや重要事項説明を受ける前であれば、申込金は原則、返金してもらえます。審査が通らなければそもそも契約できないため、もちろん返金してもらえます。

審査が通った場合、契約書へのサインや重要事項説明を受けたら「申込金」から「手付け金」という性質に変化します。「申し込み後、審査が通ったら申込金は手付け金に変わります」という一文が申込書に記載されている場合も多いです。

この手付け金は「解約手付け」とも呼ばれ、あなたの都合でキャンセルする場合は支払った手付け金を放棄する必要があります

たとえ申込金だとしても、申し込みをキャンセルできない場合もあるため、注意が必要です。

たとえば、あなたが「カーポートを付けてくれるのであればこの物件に決めます」と言い、家主がその条件を承諾したとします。すると、設置が完了、または設置を始めた時点で「履行の着手」とみなされ、キャンセルができなくなるのです。

場合によっては、申込金・手付け金の放棄どころか、設置費用の一部負担、初期費用を全額入金した上で退去として扱われ、清算せざるを得なくなる可能性もあります。

6.申し込み後に連絡がつかなくなる

中には、多忙なせいで連絡がつきにくい方もいらっしゃいます。

しかし、申し込んだきり、3日たっても1週間たっても連絡がつかない方もいるのです。

一生懸命に準備したにもかかわらず、家主から責められ、途方に暮れている悲しそうな営業マンも見かけます。

決める気がなくなり、それを営業マンに言いづらいと感じるお客様もいるのかもしれません。ですが、営業マンにとっては連絡が取れない状況の方がよっぽど迷惑なのです

理由が何であれ、計画に変更があるときは必ず連絡しましょう。

6.こだわる理由がよく分からない

防音性が高く外観が良い、理想の構造として人気が高いのがRC造(鉄筋コンクリート造)ではないでしょうか。

しかし、実際には「何となく」という理由からRC造が良いと思っている方が多くいるようです。

木造であっても、鉄骨造であっても、防音・外観が良い物件はいくらでもあります

まずRC造の「高い防音性」ですが、あくまでも構造上のことです。隣の部屋がうるさくすれば音は聞こえますし、上の部屋がジャンプすればもちろん下の階に響きます。

さらにRC造は音の反響が大きいため、たとえばあなたが3階に住んでいたとしても、壁を伝って1階ロビーの工事音が聞こえることもあるでしょう。

また、「外観が良い」と感じる理由は高級感があるからだと考えられます。RC造は丈夫で耐火性にも優れますが、丈夫なために補修が困難です。外壁内工事、排管交換などが必要になった際には、いずれも大掛かりな施工が必要となります。

丈夫な構造から気密性が高く、室内に湿気が発生しやすいため、コンクリート側の壁がビショぬれになることもあります。こまめに喚起をしなければカビが大量に発生することも……。

喚起をしなかったことによるカビの発生は入居者の管理責任ですので、退去時に請求される可能性があります

「RC造が良い」と思い込んで営業マンに言っているとしたら、物件の選択肢をあなた自身で減らしてしまっているかもしれません。

まとめ

営業マンの話を全てうのみにする必要はありませんが、あなたの常識を一度取り外して、話に耳を傾けてみましょう。あなたの態度によっては、「説明しづらい人だな」「機嫌が悪いのかな」「この人は苦手だな」などと営業マンも感じているかもしれませんよ。

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