憧れのデザイナーズマンション住まいは快適か? 探し方とメリットとデメリット
巷でよく聞く「デザイナーズマンション」。
実は定義自体はっきりしておらず、不動産会社やウェブサイトにより意味合いが異なってきます。一般的などんな物件がデザイナーズマンションと呼ばれていて、どんな魅力があるか、またその一方でどんな不都合があるのかをみてみましょう。
デザイナーズマンションとは? 実は、明確な定義はない
一般的に言われているデザイナーズマンションの概念について、まずは確認してみましょう。
デザイナーズマンションは、通常の物件よりもこだわりがあり、見た目のデザイン性が高くなっています。建築家やデザイナーがコンセプトをしっかり立てて設計デザインした物件のため、価格が通常の物件の間取りと比べても高く設定されていることがあります。
ただし、「XXXという条件がある場合、デザイナーズマンションである」といった法律的拘束力もないため、デザイナーズマンションとは、自称となっています。
デザイナーズマンションは、部屋の内装だけでなく、マンション全体の空間もデザインされています。外観や庭、エントランスなどオリジナリティーあふれるデザインが施されています。そのため、マンションとしての価値が高まり、人気物件となる傾向があります。
かつては、外観や内装、庭、室内、全てにおいてこだわって作られた物件をデザイナーズマンションと呼んでいましたが、近年では、古くなった物件や通常の物件の価値をあげるために、リノベーションや改築をして、室内のみオシャレに生まれ変わった部件もデザイナーズマンションと呼ぶことがあります。この場合、外観やエントランスは一般的な賃貸マンションであることが多いです。
デザイナーズマンションの魅力
デザイナーズマンションは好きな世界観の中で生活ができるというのが醍醐味でしょう。自分の好きな建築家やデザイナーが建てた物件に住めることに魅力を感じている方ならば、十分に価値があります。また、仕事などで家にいることが多い方も1日の大半を多く過ごす場所にこだわりを持って、生活の質を上げていくのは快適です。
また、居住用だけでなく、人の訪問が多い事務所としての利用価値も非常に高く、居住用と事業用を兼用したい人にぴったりです。
さらに、デザイナーズマンションを選ぶ傾向にある人は「暮らしの質や心地よさの追求」にこだわっている人が多く、自然にコンセプトに共感する人が集まってきます。そのため、価値観が似た人が集まり、マンション全体や近隣環境がより魅力的になると言われています。
デザイナーズマンションはどうやって探す?
—大手不動産会社から探す
大手不動産会社では、「デザイナーズ特集」が組まれています。こういったところからであれば、気軽に比較して選ぶことができます。
ホームズ
オシャレなデザナーズマンション・物件特集
アパマンショップ
デザイナーズ賃貸物件
CHINTAI
デザイナーズの賃貸物件
—デザイナーズマンション専門サイトから探す
リノベーション済みやデザイナーズマンションを中心に取り扱っている不動産会社もあります。会社で通常の賃貸物件や古い物件を改築、リノベーションして、内装をデザイナーズ風にしている会社もあります。
R-STORE
リノベ百貨店
リノッタ
グッドルーム
不動産会社を通してやりとりした方が安心ですが、すでに住みたいと思っている物件があれば直接大家さんと交渉するのもありです。好きな建築家やデザイナーの名前を検索すると理想の物件に出会えるかもしれません。
デザイナーズマンションの落とし穴
おしゃれでかっこいい物件に住めると思いきや、デメリットもあります。デザイナーズマンションに住むと決心する前に、デメリットを確認しておきましょう。
1.デザイン優先、生活動線は後回しで住みにくいことも
デザイナーズマンションというくらいですから、物件はこだわったデザインで建てられています。そのため、デザインが優先され、実際の生活のしやすさや居住性は後回しになってしまっているケースがあります。
そのひとつが、コンクリート打ちっ放し物件。コンクリートの質感を活かした物件ですが、コンクリートは、冬は寒く、夏は暑いという特徴があります。この場合、クーラーやエアコンなどの冷暖房設備がなければ、体調を崩すやすくなるかもしれません。そして、冷暖房の効率も悪くなります。設置費用に加え、高額な利用費が発生することがあります。
また、収納がないデザイナーズマンションも多く存在します。季節の衣類や年に数回しか使用しない機材などを収納するスペースがない場合は、出しっ放しになってしまいます。こうなっては、せっかくの洗練されたデザインの中に、生活感が出てしまいます。これではデザイナーズマンションの意味がありません。
部屋の作りが複雑で、家具の配置が難しい場合もあります。おしゃれにデザインされた部屋に見合う家具を配置しなければ違和感たっぷりの部屋となってしまうため、こだわって住みたい人は、家具の配置、色味やデザインも考慮しなければなりません。例えば、ホームセンターのカラーボックスではなく、おしゃれな棚を配置するなど、部屋に見合った家具が追加で必要となるでしょう。さらに、独特のデザインであれば、一般的に販売されいる家具や家電が設置できない危険性があります。例えば、天井を高く、窓を大きくして開放感のあるデザインとなった部屋では、量販店で売られているカーテンでは、サイズが足りなかったり、合わなかったりするだけでなく、特別な接続器具が必要になる場合もあります。
2.立地が不便なことも
デザイナーズマンションはそもそも出回っている数が多くありません。また、デザイン重視で貸したいのには理由がある場合もあり、例えば駅近ではなく、不便な場所に建てられているケースもあります。駅が近ければ、デザイナーズマンションにしなくても借り手がいるからです。そのため、物件を決定する際に重視される駅からの距離やスーパーや病院など生活に必要な施設を十分に確保できないこともあります。デザイナーズマンションに住みたい場合は、そういった希望がなかなか叶えられない可能性を考慮しておかなければなりません。
3.他の物件に比べ、家賃は高くなる
こだわりのデザインという付加価値だけではなく、実際に使われている材料などが高額である場合は総じて物件自体の価格が高くなるため、家賃も高くなります。大家さんは、それだけお金をかけて物件を作っているわけですから、当然と言えば当然です。
もし、駅から遠くて、独特の間取りで、コンクリート打ちっ放しで寒い物件で、さらに家賃が高いとなると、考え直した方がいいかもしれません。
4.リフォームされた物件の場合、共有部や外観はそのまま
古い物件や通常の物件をリフォームして、デザイナーズマンションとして貸し出している賃貸物件も多くあります。大家さんが他の賃貸物件との差別化を図り、若い世代を呼び込むための工夫です。この場合、デザイナーによってデザインされたわけではなく、工務店やリノベーション業者によって、デザイン性が高くおしゃれに生まれ変わった物件といえます。
そのため、デザイナーズマンションの賃貸物件よりも価格が安くなる傾向にあります。
しかし、もともと古い物件を改装しただけの場合は、マンションの外観、共有部分やエントランスは古いまま。部屋だけが新しく生まれ変わっただけのため、「デザイナーズマンションに住む」というステータスを求めている人には不向きと言えます。
このように、デザイナーズマンションの定義も広範囲になっています。
5.生活の制限
こだわりがつまったデザイナーズマンションですが、建物全体がデザイナーによってデザインされた場合、物件によっては意外な規約があるケースもあります。例えば、外観重視のためベランダでの洗濯物干しが禁止されていたり、布団を干せなかったり、玄関前にものの設置(傘立てや靴箱、デコレーション等)が禁止されていたりと、マンションの住民総出で外観や美観を保つために協力し合わなければなりません。また、住民の意識も高く、それが住みにくさの原因となるケースもあります。
デザイナーズマンションの選び方
デザイナーズマンションも通常の賃貸物件も、選び方は同じです。生活スタイルに合った間取り、立地、周辺環境が重要です。
好きなデザイナーのマンションだからと言って、会社や学校から遠く離れていて、さらに家賃が高いとなると、体力的にも金銭的にも疲弊してしまいます。
通常の賃貸物件を探す際に、はずせない条件(トイレ風呂別、駅近、間取り、周辺環境等)をしっかり決めた上で、デザイナーズマンション探しを始める方が良いでしょう。理想のデザインのデザイナーズマンションが見つかっても、はずせない条件と比べて、妥協できるかどうか判断しましょう。
自分の生活スタイルにあわせたデザイナーズマンション探しを
デザイナーズマンションの数や人気はどんどん高まっていますが、デザイナーズマンションに住みたい場合は、通常の賃貸物件と多くの違いあることを理解しておかなければなりません。デザイナーズマンションは住む人を選ぶといっても過言ではありません。デザイナーズマンションに見合った、生活スタイルやインテリアを導入できるかどうかが大きな鍵となります。
見た目の魅力と居住性を天秤にかけたときに、その部屋で豊かに生活できるかどうかを見極めて、自身にあったマンションを探しましょう。